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戦憶
散らした千億の命の叫びが…
壮年の戦士 追憶の戦場
幼き頃は強さに憧れ若かりし頃は力を求めた
どんな理論も必要などなくただ思うままに剣を振るい
己の為すべきことをした それが正義と信じ疑うことなどなかった
気付けば反逆者の汚名を背負っていた
誇りを捨て汗も涙もなく拭うこともせず
ひたすら立ちはだかる者を切り伏せた
双眸が映す紅蓮の景色
幼き頃の過ちを知り若かりし頃の罪は痕となった
無情な論理に翻弄されてもなお戦うべく心を奮い
夢を彷徨いながら生きた それは懺悔の証 ただただ世の為人の為
気付けば悪逆非道も厭わなくなっていた
怒りに塗れ血も涙もなく拭うこともせず
ひたすら孤独に負けぬよう抗った
己が未来を慮ることすら困難を極める時代だった
時を重ね今ようやく最期の審判を迎える瞬間に身を委ねる
そうして咎人の烙印を抱いたまま何人に惜しまれることもなく
往年の英雄はその身を二つに分かたれ
飛び散る鮮血に看取られながら旅立った




