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山神の嘆き
枯れた林に佇む小さな祠 夜になれば密やかに灯る弔いの光
季節を謳い萌える緑も今は昔 追懐する繁栄もむなしく
守り手はいなくなり喰い尽くされた木々は骸と化した
渇いた孤独に震える山神の涙に今はもう
雲を呼び雨を降らせ川を創り樹木を育て
再び生い茂らせる力はない
響く囃子も記憶が生み出す幻 灯籠に揺れる燐火
共に楽しんだ祭りは何処
すべて燃える焔が焼き払い為す術なく滅びを辿った
また逢える時まで勇壮に己の限りを超え闘い抜いた魂よ 眠れ
剥き出しの山肌は祈りの還る場所
天を舞い海と遊び地に思いを馳せながら
再び生まれ落ちる瞬間を待て
郭の巫女に轡を噛ませかなしき運命の贄とし
霞の如き儚き存在を消し去るように懇願したとて叶うはずもなく
雲を呼び雨を降らせ川を創り樹木を育て
家族を生き返らせることができるなら
天を舞い海と遊び地に思いを馳せるその命に
生き過ぎたこの心を捧げよう




