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Forbidden fruit
爛熟せしその果実 心を惑わす香りを放つ
善悪を司る樹からは食すことを禁じると神は云った
それは決して禁忌の所業に成り得ないと笑いながら蛇は云った
誘われその実を手に取り唇に触れた瞬間
その者は楽園の者ではなくなる
死が定められた世界で生きる運命へと堕ちる
爛熟せしその果実 危険な輝きに虜になる
禁じられたものには通常にはない強い魅力を感じるもの
抗えぬその実の力は唇に触れた瞬間
その者を善悪を知る者に変える
無垢な心を忘れずいられたあの日と引き換えに
いつまでもその実の味を忘れることはできないだろう
それ程に虜になった者は危うい
禁断の果実 美しき世界に影を落としとこしえに…