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Brownie
昔聞いた話 それはそれはきれい好きな妖精がいて
寝ている間に家を掃除してくれるんだって
だから見たこともないその妖精に「いつもありがとう」って
気持ちを伝えたくて私は茶色いお菓子を置いとくんだ
私の心にはそれはそれは汚れたものがたくさんあって
寝ている間にきれいにしてくれないかななんて
そう願うことを許して 妖精が「いつもありがとう」って
手紙をくれた日に私は透明な涙を流したんだ
子供の頃は真っ新だった部屋もいつしか埃に塗れて
自分では片付けることもできずにただ昔を羨む毎日
それでも私は笑うんだ
そして見たこともないその妖精に「いつか会いたいな」って
気持ちを伝えたくて私は茶色いお菓子をまた焼くんだ