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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
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逆風状態:鍋と昼寝と放置プレイ?

 本日用意したお昼ご飯は鍋になります。

 鍋に肉の脂を置き、強火で薄く伸ばします。

 次にネギを焼き、油に香りをつけます。

 薄く切った肉を焼き、専用の出し汁を入れます。

 火を弱め、野菜と焼き豆腐を入れます。

 しばらくしたら肉を追加します。

 火が通ったものから各自取って食べましょう――



 近くで個室を貸し切って調理を開始する。

 目の前でいきなり鍋を始めた俺を、迦月たち3人は呆然と見ていた。

 仲良くなるには、同じ釜の飯、一つの鍋を食すのが基本じゃないかな? ということですき焼きにしてみた。


 6月からすき焼きとか、季節感を無視しているのは分かる。

 だが、いい牛肉が手に入ったので、この選択肢もアリじゃないかと俺は言いたい。



 この鍋は美味しいと言ってもらえたが、微妙に納得いかないという顔をされた。

 生卵がなかったのが原因かもしれない。

 もしくは、〆のうどんが少なかったか?

 完食していたので気に入らなかったという事はないと思うのだが。





 食事が終わり、食後の休憩に入る。

 といっても、3人とも昼寝をしている。

 ……目の前で眠れる程度に信用してくれるのは嬉しいが、話の一つも出来ないので正直暇である。

 この場を離れる訳にもいかないし、大きな音を立てれば寝ている3人を起こしてしまう。

 仕方がないので、頭のなかで新しい戦術と≪固有戦技≫(ユニークアーツ)を考えておく。


 ≪固有戦技≫(ユニークアーツ)について簡単に説明すると、自分の使える戦技を複数組み合わせ、強化する事で必殺技を作るスキルだ。10個まで設定でき、自由に入れ替えできる。

 作成された≪固有戦技≫は一つのスキルとしてカウントされ、レベルが上がるごとに合成できる戦技、強化できる項目が増えていく。入れ替えするとレベルはリセットされるので安易に入れ替えする人は少ない。

 俺の『蒼嵐走破(ソウランソウハ)』は戦技だけでなく魔法も使用しているが、これは魔法剣士の戦技≪魔装・絶剣≫≪魔装・纏衣≫というものを組み合わせた結果であって、魔法そのものを合成している訳ではない。使う魔法を入れ替えたりしているのはそういう理由だ。


 俺の≪固有戦技≫はパーティ仕様とソロ仕様のどちらにも対応している。

 だが、こちらでパーティ(足手まとい)組むの(仲間にする)なら多少入れ替えをする必要がある。

 幸い、入れ替えても惜しくない≪固有戦技≫が一つあるのでそれを外す事を考えているのだが……入れ替えで覚える新しい≪固有戦技≫のヴィジョンが決まりきらない。


 仲間を守る戦技にしようと思う。

 範囲防御(薄く広く)個体防御(とにかく硬く)の切り替えができるというだけなら魔法で十分なので、≪固有戦技≫ならではの何かが欲しいところだ。攻性防御にしてしまう事も考えるのだが、反射とかだと相手を回復しかねない事もあるのだし……。



 適当にあれこれ考えていると時間はあっという間に過ぎてしまう。

 先ほどのはデータをあれこれ考えるのが好きな人なら、「実際にやらなくても考えるだけで楽しい」という感覚は理解してもらえると思う。


 食後から20分ほど昼寝をした迦月たちが目を覚ます。

 3人はこのあとすぐに座学があるので、特に話をすることも無くこの場は別れる事になった。

 これでは本当に、ただ食事を持ってきただけである。

 心に隙間風が吹いたが、多少は仲良くなれたはずだと、自分に言い聞かせて俺もこの場を後にした。





 気を取り直して、ミューゼルのところに向かう。

 新商品の売れ行きを確認するためだ。

 てくてく歩いていつもの場所に行くと……ミューゼルがぼーっとしていた。

 パンケーキを焼いている様子はなく、気が抜けた表情で立ち尽くしている。材料はまだあるので、売り切れたわけではないようだ。


「ミューゼル?」

「……」

「ミューゼルさーん?」

「…………」

「……ていっ」

「ふぎゃっ」


 声をかけても返事がないので、デコピンで正気に戻してみた。熱くなった鉄板の前なので威力は押さえていたのだが、おでこを押さえたミューセルが恨めしそうにこちらを見ている。


「どうしたのさ? ぼーっとして」

「……新作だけ、売り切れたんです」

「まあ、初日なら物珍しさに買う人も多いと思うよ?」

「いつものは、まだほとんど売れてません……」

「普段から2枚買う人ならともかく、普段の客も1枚しか買えない訳だし? しょうがないんじゃない?」

「『次もあるのか?』って聞いてました……」

「あー」


 俺の提案したレシピがあっさり客を持っていったので、凹んでいるようだ。


 しかし、これは俺のレシピが優れている証明にはならない。単純に慣れの問題だ。普段から食べ続けている「定番」は確かに美味しいが、たまには別のが欲しくなる。それが人間だ。刺激とは新鮮なものが優遇されるという、ただそれだけの話である。

 俺はこの事を実例を交え、30分ほどミューゼルに説明する。

 時間はかかったが、一つのお題を与える事でなんとか立ち直らせることに成功する。



『新しいメニューを考えてくること』


 クエストやってる俺が非公式なりにクエストを発行するとか、何の冗談かと思うが、これも人生である。色々諦めた。




 新たな、短期的な目標を得たミューゼルはこの日多少の売れ残りを出したが、意気揚々と帰っていく。

 とりあえず蜂蜜やクリームとか、トッピング関係のアイディアを渡してあるので、しばらく屋台の様子を窺うに留めておこうと思う。新作ができるまで邪魔するべきではない。クエストについては失敗しても構わない。この分ならクエストの成功自体は必要じゃない気がする。





 さて。けっこうな時間を使ったが、次はレミットさんのお仲間のところに顔を出そう。

 本人に会うのは後にして、外堀を埋めてみようと思う。直接会ってもクエストの為のきっかけがあるような気がしないし。

 話しやすいけど、精神的な距離を詰めにくい感じがするんだよね。


 向こうに着くのは16時ぐらい?

 何か有益な話が聞けるといいんだけど。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


8月14日 誤字修正

×kれでは本当に →

○これでは本当に

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