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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
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哨戒任務:ソウルフード

 ミューゼルはパンケーキを作ることに対して思い入れが強く、貪欲な部分がある。理由が少し気になったので聞いてみた。



 いくつか理由はあるが、その一番大きなものは死んだ母親とパンケーキを作ってうまくいかなかった記憶。それが母と死に別れる前の、最後の記憶だったことだ。


 俺が街を出る前、あの時渡した食べたパンケーキがとても美味しく、家でも作れそうだと思い母親と一緒に作ろうとしたらしい。


 準備に何日かかけて、失敗した。

 母親に慰められたがとても悔しく、その悔しさは今も残っているらしい。

 そして、その翌日、母親が倒れた。

 高熱を出し、何日も寝込み、そのまま息を引き取った。


 俺が街に戻ると決めた、前日の話らしい。

 つまり。ペナルティメーカーが忠告に来た、その日の出来事。

 今まで神様たちから聞いた言葉を信じれば。俺は助ける力が(・・・・・・・)あると認められ(・・・・・・・)ていたにも関わらず(・・・・・・・・・)何もしなかった(・・・・・・・)


 俺は何も知らなかったし、神に従う義務などないし義理もない。

 神様が、任せれば不幸から救い出してくれると勝手に期待し。俺は、期待されていることも知らずに自分の理由で何もしなかった。


 責任は、ない。

 俺は誰も彼も救えるヒーローの類ではないし、できることをたまに積み重ねるだけの凡人以下だ。

 ゲーム時代のステータスというアドバンテージはあるが、デメリットを内包しているのでそれを十全に活かすことすらかなわない。


 だから、俺が気に病む理由など、ない。

 だから、“こういう事もある”と知っておく。



 感情その他をできるだけ抑えつけ、折り合いをつけさせる。

 それでも納得しきれない部分は、ミューゼルに優しくすることで補うとしよう。





 現在、5日目。残りは9日。

 クエスト補正かそういう性格だったのか知らないが、ミューゼルとはすごい勢いで話を聞けるようになっている。

 このままミューゼルとの約束を守ったりしていけばクエストは達成できると考えよう。楽観視は危険だが、焦ったところで何も出来ない。


 レミットさんと迦月について考える。

 レミットさんとはミューゼルにしたように、何度か会って話をすれば、クエストはある程度自動で進行すると思う。

 迦月については楓さんが協力者になってくれる可能性が高いので、迦月自身に会いに行くこともするが、楓さんと個別に会う事も考えた方がよさそうだ。

 ギャルゲー(恋愛ゲーム)やってる方々は、毎日このような苦労をしているのか。真似したくないなぁ。





 すでに時間は17時を回っているので、レミットさんに会うのは諦める。

 代わりに迦月か楓さんに会えないか、屋敷に戻ってみる。


 3人は屋敷にいた。

 現在は莉理さんが単独行動をしているけど楓さんは迦月に付いている。莉理さんの自由行動タイムなのだろう。いつまで二人が一緒なのか知らないので、しばらく楓さんに接触するのは……いや、逆に好機か? フォローしてくれるであろう楓さんと二人でいるなら、会いに行く価値はあるかもしれない。

 お土産にあんみつを用意して、俺は二人のいる迦月の部屋に向かった。



「あんみつ……懐かしいのぅ」

「莉理ちゃんを呼んできますねー。アル君、迦月様の護衛、お願いね」


 目論見はあっさり崩れた。

 ちょっと考えれば分かった事かもしれない。3人の為に作ったあんみつだ。3人で一緒に食べようと言いだすのは容易に想像できたはずだ。あんみつは、また後で出せば良かった……っ!


「何を一人百面相しとるのじゃ、お主」

「己の考えの浅さを恥じていたんだよ……」


 落ち込んだ俺に、迦月は怪訝そうな顔をした。

 が、それも長くは続かない。


「しかし、久しぶりに故郷の味が楽しめるとはのぅ。少し見知らぬものも混じっておるが、美味そうじゃなぁ」


 お付きの二人を待つので目の前でお預けを喰らった迦月は目を輝かせ、よだれをたらしそうな表情をしている。


「久しぶり? 迦月の故郷ってウルスラだっけ? そっちの材料は手に入るはずだろ。 なんで久しぶりなんだ?」

「……誰も、料理できんのじゃ。それに、味噌がない」


 セイレンは輸入食材を多く取り扱っている。

 やろうと思えば他の国の食材ぐらい簡単に集まるはずだ。

 そう思ったが、料理できないという回答が。ここの料理人なら和食ぐらいは作れたと思ったんだけど。なのに料理できない?


「厨房の人にいえば良かったんじゃないの? 料理長ならウルスラ料理ぐらい作れたと思うけど」

「味噌汁を、知らんと言われたのじゃ……。かろうじて焼き魚に大根おろしをかけて食べる事はできるが、足りんのじゃよ、大事なものが」


 味噌がない事は気が付いていたけど、輸入を依頼すれば済むような気もする。迦月たちって貴族みたいな立場なんだし、商人にいえばコネが出来ると喜んで調達するよね。

 その事を指摘すると、思い至らなかったようで驚かれた。


 その直後にメイド二人が来たので手配を依頼する。なんだかんだいって俺も味噌汁が恋しいし、味噌が手に入るまでに昆布、煮干しとネギとわかめと豆腐の調達ルートを確保する事に。

 味噌汁のレシピは俺が知っていると言うと3人は安堵した表情を見せる。味噌をいくらか駄目にしてでも作り方を模索する心算だったようだ。手に入ってすぐ作る事を約束する。



 その後、味噌汁の具で揉めることになるのだが、その内容は割愛する。

 シンプルなものが一番だと思うのだが。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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