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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
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戦果報告:戦争が終わる手段はちゃんと選ぼう

 人の性癖を突くのはやめて欲しい。

 俺の悪夢(トラウマ)は思いの他深く、気が付いたら学園を駆け抜け街中にいた。

 我を忘れていても≪穏形≫の効果は継続していて、人目に付く事がないのは幸いだった。爆走していたんだし、普通なら多数から奇異の目で見られる事になるだろうから。



 街中に出たてしまったし、時間もいい頃合いだからレミットさんのお仲間に声をかけに行く。

 そのままターシャさんのところに行けば、ちょうど合流できるだろう。


 セイレン西にあるエルフのコミュニティへ顔を出す。

 今レミットさんは学園で訓練と言うか、リハビリをしているようだ。

 一人でいても仲間を失った傷は癒えない。一応フォローをした事でこの街にとどまる程度には回復したが、再びダンジョンに潜れるようになるまで、PT(仲間)と共に戦えるようになるまで、まだ少しの時間が必要なようだ。

 もしフォローをしなかったら。もう森に帰っていたのだと思うと、自分のやった事が誇らしく思える。

 一度会って話がしたいと伝言を頼み、相手の都合に合わせるようにする。

 こういう時、ゲーム中のようなウィスパーやチャットができれば楽なんだが。ゲーム時代はそういった機能がデフォルトだったから、アイテムによる長距離通信とかは設定上にも無かったんだよね。このあいだフィリスのところで遠距離通信用のマジックアイテムを使わせてもらったが、あれは俺にも再現できない。残念。





 次はターシャさんたちである。

 彼女らは夜のお勤め(・・・)を終えたら昼まで娼館で眠り、その後に帰宅する。

 途中の屋台で昼食と言うか朝食と言うか。そんなご飯を食べて行くのが常なので、今くらい(3時ごろ)がちょうどなのだ。



 部屋の方に行くと、昨日とは違った風情の連中が廃墟アパートを囲んでいた。

 数は8。練度はともかく、ちょっと厄介な相手である。


 なにせ、俺とほぼ(・・・・)同じ年代なんだから(・・・・・・・・・)


 相手は10代前半の男女。

 恰好は普通の街の住人。

 安物のズボンにシャツとカットソー。二人一組で行動している。

 マップによる敵味方判別がなければ騙されて、ノコノコ姿を晒しながら会いに行っただろう。

 人目に付く位置に配置されていて、殺しにくい(・・・・・)ように配慮している事が分かる。戦闘能力ではなく、隠密能力ではなく、堂々とする事で弱さ(・・)を武器にする。

 非常に、面倒だ。


 一見すると年の割にちょっとレベルが高め(20レベル前後)の子供たち。もしかしたらごく普通の子供を雇っただけかもしれない。


 表情を見れば操られている可能性は低い。魔法の方も反応なし。自分の意志で動いているだろう。

 しかし、自意識でこんな事をするその理由が分からない。教育(洗脳)だったら嫌だな。

 だから、この場で殺すのは論外。眠らせても周囲に人通りがあるのですぐ起こされて終わり。麻痺や他の状態異常を使ってもいいが、大騒ぎになる可能性があるのでやりたくない。


 ここはちょっと趣向を変えて、幻術に挑戦する事にした。

 幻術を使うには精霊魔法の光系統の≪擬態の仮面≫(イミテートフェイス)で顔だけ変える手もあるが、それだけだと身長でばれる可能性があるので、高下駄やらローブで身長を30cmほど盛る。

 黒髪黒目よりもファンタジーなんだし髪の色は水色にしてみた。顔立ちも変えるが、タントリス教官を参考にする。ゼロから考えるのって難しいんですよ?


 先ほど眠らせてもさほど意味がないと思ったが、一瞬だけ上手く時間を使う状況であれば有効かも、という事で他の呪文を時限式で起動するように仕掛け、その時を待つ。



≪眠りの霧≫(スリープミスト)


 街中で使っても問題にならない閃光の魔法で、一瞬だが視界を奪い俺はその隙を突く。


 閃光に気を取られなかった連中には≪眠りの霧≫を使う。

 レベル差があるから一回で一組潰せた。


 4組全ての視界を遮る必要は無い。騒ぎに気を取られたわずかな間に死角ができる。そこをくぐり抜けターシャさん達の廃墟アパートへと足を運んだ。

 トラウマによる視線感知は異常に正確なので、見られず入れたと確信できる。

 治すのが惜しくなるほど便利だ。



「大店を持ちたいほどの子なら、オシャレは有効よ。ほら、清潔でオシャレな店員のいる店と、汚い感じのダサい店ではオシャレなお店に人は流れる。ダメな服装の店員で客は呼べないの。美味しいものを作るだけで上手くいく事は無いわ。経営ならアピールするために貴方を引きいれようとするかもね」

「難しいね。考えればわかるけど、自分では気が付かなかった」

「アル君も~、お店をやった事がないんだから~。しょうがないかな~?」

「難しいですね」

「難しいのよ」



 今日の戦果を報告すれば、二人は上機嫌で次の話をしてくれる。

 ただ、自分なりのゴールを考えておくようにも言われた。


『恋人になりたい訳じゃない』


 嘘偽りの無い正直な感想である。



 仲良くできればそれでいい。


 この考えではダメらしい。相当失礼なのだとか。

 そういえば楓さんも似たような事を訴えていた気がする。

 迦月の身内(恋人)と呼べるところまで仲良くなって欲しい、と。



 俺としてはこちらに恋人を作るのは避けたい。

 人間だもの、それなりに仲良くする相手は欲しい。

 だが、恋人を作り、子供を儲け、生涯続く「責任」まで欲しいとは思えない。異世界からの転移者としては、そういった可能性にも気を配らないといけない。帰る時の為に。



 個人的に負ける(クエストをあきらめる)気はないが、勝利する(ハーレムを作る)より和平を結ぶ(友達エンド)を目指したい。

 まあ、慣れない事ばかりで上手くいくとは限らないけど。

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