表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
86/231

情報分析:ミューゼルとお店②

「なるほど! 小麦粉の種類と特徴と配分ですね!」

「そうなんですよね、牛乳と卵の質が安定しなくて……」

「え? そんな物を混ぜるんですか? 隠し味……確かに少しなら……」


 メモ片手に俺の話を聞くのは白のワンピース姿のミューゼル。

 夏の前だけに暑いと感じる今日この頃、涼しげな薄着を着るのは当然の選択と言える。少々飾り気が少ないように思えるが、それは屋台で働く事を意識しているからだろう。調理をする人間に、装飾過多の恰好は合わないから。髪留めが精一杯のおしゃれなのだ。

 リア同様この子も銀髪なんだけど、リアの銀髪が白に近いシルバーブロンドならこの子のは金に近いプラチナブロンドだろう。光が透けて見える時の色合いが違う。

 昔はツインテールだった気がするけど、今はアップにしているからずいぶん印象が違う。我ながらよく分かったものだと自分を褒めてあげたい。



 早めの昼食をとり、そのまま空いている(うらぶれた)喫茶店に行き、料理談義で色々と話し合う。

 話してみて分かったが、ミューゼルはお菓子関係に傾倒している。≪料理≫スキルを伸ばす時、作れる料理の種類もリミットとして機能するので出来るだけ多くのレシピに挑む事をお勧めしておく。

 専門分野を持つことと狭い範囲だけを見続けるのでは意味合いが違うし。


 他に気になった事。

 ミューゼルは、オシャレに疎いようだ。

 髪留めを褒めてみたのだが、これはウォレス(親御)さんの贈り物で、自分で選んだ訳ではないらしい。髪型とか細かいところまで口出しされてうっとおしいのだが、母親のいない(・・・・・・)自分を育ててくれる父の言葉には逆らいにくいようだ。って、ウォレスさんの奥さん、死んでるのかよ!? マードックさんもそうだし、意外と嫁さんの死亡率が高くないか? 聞いた話だと父親が死ぬ事の方が多いってのに。


 いや、それは横に置いといて。

 基本的に服とか小物は選んでもらう事が多く、自然そちらは人任せになってしまったようだ。つまり、オシャレな格好はあまり効果がないのか?

 料理バカというか、情熱が一方向しか向いていない娘さんである。俺の予想をはるかに超える成長をしているようだ。


 そうなると、気合を入れてオシャレをしてきた意味がどこまであったのか。あまり考えたくは無い疑問が思い浮かぶ。

 いや。本人がオシャレをしない事とオシャレな人に良い感情を抱く事に、関連性は無いと信じよう。きっと意味はあった。たぶん。



 微妙な気分を隠しながら料理談義は続く。

 ミューゼルが俺の事を覚えていたのはあの時に渡したパンケーキが理由だった。10歳と11歳の男の体はそう大きな変化を見せてくれなかったようで、すぐに思い出せたとの事。

 もちろん、その時に食べたパンケーキの味がいまだに忘れられないとも言っている。むしろそっちの印象が強かったようだ。

 ミューゼルが作るパンケーキも自分の考えをしっかり反映した高品質なものなんだけどね。記憶が美化されてるのかも。


 ミューゼルはあの時のパンケーキが俺の作ったものと知っている。だからか、お菓子の作り方について年下の少年に根掘り葉掘り聞いて来るのは如何なものか。いや、都合はいいんだけどさ。


 俺の知っているお菓子のレシピより、アレンジの方が応用性があり興味を惹いたようだ。売り物がパンケーキだけに、そっち側に意識が集中しているようだ。今度ホールケーキでも焼いてみよう。


 こちらが話す事が減ると、今度はミューゼルのターンになる。

 聞きたい事がいろいろあったらしく、この街の流通事情から作れるお菓子、その原価とか、多少は経営関係の話題も絡めてくる。味だけではなく値段も気にするのは料理人というより経営者の範疇だが、何も考えずに作る事をしないのは好感が持てる。経営方面に話が移った時に「店を持ちたいのか」と聞いたら「じゃなきゃ屋台なんてやってません」とあっさり答えてくれた。クエストは第二段階までクリア。

 あとは他の街でのお菓子の話。産地とか知って無くても、お菓子は作れる事は作れる。が、原産地を知る事で基礎を、この街での使われ方からその応用(ニーズ)を思いつくことができる。変化したという事は、余所のお菓子がこの街で求められているお菓子の在り方に当て嵌められたってことだし。

 もし複数の街に店を構えるような大店を持てるなら、街ごとの特色を今のうちから考えるのは悪い事ではない。海外のフランチャイルズが同じ名前の商品でも味を国ごとの特徴に合わせるのに近い。

 ファンタジー世界では多少大きな町は日本江戸時代の藩に近いのだからね。伯爵以上=大名ってことで。同じ国ではあるが、違う国並みに独自の文化が発展してるのだ。



 ある程度時間が経ち、2時をそれなりに回ってからミューゼルと別れる。

 最後まで笑顔でいたが、ミューゼルが見えなくなった段階でテーブルの上に潰れる。

 疲れた。

 夢を持ち、熱意あふれる人間というのはとてもタフでバイタリティに溢れている。運命の女神(フラグ)が俺を空っぽというのも分かる気がする。さすがにあそこまでぎっしり詰まってはいない。




 今回得た情報から、ミューゼルのクエスト攻略について考える。


 今後会って話をするのは簡単になった。料理関係の話をすればいいのだから。

 服装については、今の気合を入れたオシャレを継続する方向でいいだろう。いい印象というのは信頼みたいに一瞬で崩れるだろうし。

 今日の話を協力者(ターシャさん達)にして、俺とは違う目線で解析してもらおう。



 問題は「未来のヴィジョン」である。

 料理店を持ちたいというのであれば、俺はどこまで手を貸すべきだろう?


 このままアドバイザーというか、料理に詳しい人として相談乗ったりすればいいのか。出資者として経営に加わるレベルまで関わるか。それとも常連客となればいいのか。少し悩む。

 ミューゼルが大店を目指すのであれば、ある程度深く関わるのが正解という気もするが。


 すぐに答えを出さなきゃいけない話でもないし、1週間ぐらいなら悩んでもいいだろう。一回この問題は保留にする。



 最後に。

 今回は女神様(フラグ)の助力で簡単に事が進んだけど、なんか言いようのないしこりと言うか、不快感が残った。

 感情を、女神の力で操作する。

 それがどこまで有効かは知らないけど、あんまり気分のいいものじゃないね。

 助けてはもらったけど、もし次に会う事があれば、今後は使用を控えるようにお願いしてみよう。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ