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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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幕間:レミットの審問会

 学園の中にある建物の一つ、管理棟にとあるエルフの少女が向かっていた。

 少女の名はレミット。アルヴィースに助けられた事のある学園生だ。


 管理棟に向かう足取りは重く、表情は暗い。

 それはそうだろう。

 彼女は今から尋問(・・)されに行くのだから。



 管理棟の一室には男女合わせて20数人が集まっていた。その中には小奇麗な格好をした貴族然とした者も混じっている。


 部屋は日本の学校の教室とさほど変わりない広さで、壁際四方に机と椅子が並べられている。

 レミットはその部屋の中央に置かれた椅子に一人座らされた。



「ではこれよりオルコック公爵家長子、ポオタケ=リル=オルコック様行方不明事件に関する聞き取り調査を行います。皆様、発言は手を上げ許可を取ってからお願いします。許可なく発言することが2回あった場合、強制的に退出させます。ご注意を」


 レミットの正面に座るのはこの街の領主、白楼族のフィリス。

 彼女はまず、全員にこの集まりの目的と基本ルールを告知する。その言葉に何人かは不快そうな顔をしたが、彼らを含め全員が黙ってうなずく。

 俺を確認してから、フィリスは質問を始めた。




 しばらくしてフィリスの質問(ターン)が終わる。

 レミットへの質問内容は行方不明になった日の行動、その前後でのポオタケと接触はなかったか、それらを証明できそうな人、最近の生活について、だ。

 それらに対しレミットは、友人(リヴリア)とダンジョン13階層に潜り仲間の遺品を探していた、その日より前はひきこもっていたしその後は会っていない、一緒に潜った事についてはゲートの管理者に聞けばわかる、最近は授業には出るがダンジョンに行っていないと答えた。


 この質問は形式上の事で、裏付けまで済んでいる。

 矛盾する発言がないか、それを見るためであり、そこに不正がない事を善意の観客(野次馬)に証明してもらうためにやっただけだ。


 フィリスは途中でリヴリアの名前が出た事に一抹の不安を感じているが、それらをおくびにも出さず淡々と質問を終えた。

 フィリスにはリヴリアがアルヴィースを上回る戦力という認識が出来る。しかし、他の人にしてみればリヴリアが無名の新入生(そこまで強くない)女子という認識の為に「15階層を余裕で攻略できる」ポオタケパーティに勝てるとは思えない。

 結果、戦力的な意味合いから「レミットがダンジョンでポオタケを殺した」という想像はなされない。


 普通は。



 聞き取った内容が事前に調べた内容と一致し、レミットが無関係であると結論付ける一同。

 しかし、それに納得できない人もいた。

 彼は手を上げフィリスに発言の許可を求める。その相手が何をしたいか分っているフィリスはウンザリした内面を隠し、発言の許可をする。


「その女は嘘を言っている!! その女が仲間を集め、孫を手にかけたのじゃ!!」


 怒声を発したのは白髪の男性。50を過ぎている様に見えるが190cmもあるその体は鍛え抜かれ、巨大な岩のようだ。身体には生気が満ち、実際より10歳は若く見える。今はその瞳に炎のような激情を宿し、憎々しげにレミットを睨んでいる。


「ですがレミットさんの前に入ったのはアルヴィースという少年一人です。また、この少年はレミットさんらよりも3時間ほど前に入った事が分かっています。本人はもっと浅い階層にいたという事です。先行者が彼一人である事、レミットさん達は戦力不足が理由で早々に探索を断念して帰った事などを省みても、到底ポオタケ様を害することができたとは思えません」


 資料を片手にフィリスが言う。

 アルヴィースの実力(16階層で訓練中)を正確に把握している身でありながらさらっと嘘を混ぜる。本人に確認しなくても、何があったかをフィリスは正確に想像できる。


「高価な道具を使えばその程度の戦力差はひっくりかえせる! きっとそ奴が卑怯な手を――」

「オルコック卿、発言は挙手してからお願いします。次はありません。それと、その日のポオタケ様のパーティはいつものように高級な魔法のかかった装備(マジックアイテム)で身を固めていました。それを出しぬける物など一介の学生の手に入る事はないでしょうし、装備の補助があっても一人でどうにかなるほどのものとは思えません。また、今の発言はポオタケ様の実力を疑うかのようなものです。あの方は稀少な上級精霊魔法を身に付けた、わが校でも実力上位の戦士です。何らかのイレギュラーがあったと考えるべきではないでしょうか?」


 発言を遮られ真正面から切り捨てられたポオタケ祖父だが、天才と褒め称えるべき孫の実力を思い出して口を閉じた。

 実力で、人を相手にポオタケ()が負けるわけがない。祖父としてそれを信じることにしたのだ。


「そういえばフィリス様は今、何らかのイレギュラーと仰いましたが、心当たりでも?」


 ポオタケ祖父ではなく、他の参加者の一人がおずおずと質問する。

 フィリスは残念そうに首を横に振る。


「過去、通常ではありえないボスが出てきたという報告があります。それに近い何か(・・)が起きたと考えています。また、それらが予測できないからこそイレギュラーであり、これ以上は推測推論の世界になるのでこの場で申し上げる事はできません」


 ダンジョンについて分かっている事は意外と少ない。

 パターンを読んで見せても、それを崩す例外(イレギュラー)が出てくる事など日常茶飯事だ。例えばダンジョンは毎週1回変わるが、週に2回以上変わったという事例もある。


 つまり、今は「何も分からない事が分かった」という状態である。



 その回答を聞くと、他の参加者も「普段とは違う何かがあった」ことで自分を納得させた。

 信用できる人(フィリス)が過去の事例という分かりやすい説明をする。そこまで事件に興味を持てない人には、話題の落とし所をあてがわれれば大衆など簡単に納得する。そんなもんである。


 それ以上の質問なども無く、この場は解散となった。





 フィリスは思案する。

 アルヴィースのクエストをについて、リヴリアから聞いてる。レミットがヒロイン候補である事も。

 色々と聞きたい事はあるが、この場で接触すればいらぬ誤解を受けかねない。

 あとで話し合う機会を持つとして、今は様子見と自重する。



 レミットは帰り道で今後の事を考える。

 アルヴィースに言われた通りの展開であった。言い寄られていた自分が疑われる事、自分では実行能力の低さから容疑者から外される流れまで、全て、である。

 このあとリヴリアと積極的に交流を深めていけば、リヴリアが新しい仲間でありあの日も一緒に行動した理由を補強する材料になると勧められた。

 しかし残念ながらレミットは貴族エリアに入る事が出来ない。また、中へ連絡手段を持たないのでレミットはリヴリアと接触を持てないでいる。最近はリヴリアを学園で見かける事は全くない。

 このままでいるのはあまりにも良くない。

 だが、どうすればいいか分らない。


 レミットは知らないが、アルヴィースが朝から夜まで一人でダンジョンに篭る為にリヴリアはダンジョンに行く気にならず屋敷にいるだけの毎日を送っている。授業はすべて教官が出向くので出かける必要がないのだ。



 学園に通い続ければいずれ会える。レミットはそう結論付けた。

 しかしレミットは知らない。

 アルヴィースとリヴリアが休学(ニート)状態になり、そのままでは当分会えない事に。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。 


幕間はこれで終わりです。

明日から3章スタートします。


7月27日 日本語修正

×「ですがレミットさんの前に入ったは →

○「ですがレミットさんの前に入ったのは

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