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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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幕間:攻略会議

「第一回、乙女会議ぃ~!!」

「「「「……」」」」


 フィリスがハイテンションに拳を天に突き上げる。

 リヴリア、迦月、お付きのメイド二人はそれを冷めた目で見ていた。


「の、ノリが悪いよみんな!?」

「……残念なフィリスは無視しまして、司会進行は私マリィが務めさせていただきます」

「残念!?」


 無駄にテンションをあげる主人(フィリス)扱下(こきお)ろし、マリィが替わりに前に立つ。

 フィリスは不満そうだが、「目的」の為に一歩下がる。



 場所は小さめの会議室。

 アルヴィースの依頼でとある男爵邸が襲われてから2日目、彼に関わる女性陣が集まっていた。

 参加者はフィリス、マリィ、セレスティア、女兵士(アウラ)、リヴリア、迦月、莉理、楓の8人。

 セレスティア以外は全員先日の襲撃に何らかの形でかかわっていたメンバーだ。

 アルヴィースとそれなりに縁がある女性メンバーと言った方が正確か。


「議題は『アルヴィースの不調について』です。原因についてはそこのフィリス(残念娘)とリヴリアさんは何か知っているようですので、まずはどうやって情報を引き出す(口を割らせる)か、からですね」

「また残念って言った!」


 先日の襲撃でアルヴィースの様子がおかしかった事に気が付いた面々は、それぞれが各々の理由で情報を求めていた。

 その結果がこの集まりである。


「そんな事にこだわるから残念なんですよ――リヴリアさん、とりあえずどの程度話せますか?」

「扱いが酷い~」

「昔似たような事があって、アルが酷い目にあった。今回の事で思い出して暴れて、落ち込んだ。私たちからはそれだけ」

「フィリス、貴方から何か言える事はあるかしら?」

「無いわよ? むしろリアちゃんはちょっと喋りすぎ?」


 まずはざっと概略だけリヴリアが話す。その大雑把な内容に対しマリィはフィリスに補足を求める。

 しかしフィリスは首をかしげながらマリィに「補足は無い」と返した。

 何があったのか知りたいが、それをここで聞き出すことの困難さと不誠実さからマリィはこの「原因特定」を打ち切る。


「フィリス、何か対策はありますか?」

「私たちは裏切らない、仲間だってことを示し続けることね。年単位で時間はかかるでしょうけど、それ以上の対策なんて必要ないわ」

「リヴリアさんからは?」

「フィリスに同意。現状維持を最優先」


 正しく原因を知る二人に対策の提示を求めるが、答えは「何もしなくていい」。

 ある意味アルヴィースへの立場が中立のマリィは、二人の反応から今回の件が思ったより危険ではないのかと考える。扱いが難しいけど、気にするほどでもない。その認識に安堵する。


 しかし、この決定に安易に従えない者もいる。

 迦月だ。

 彼女だけは、狂気と憎悪に染まった瞳を直接見ている。


「そのような悠長な事で本当に良いのか? あれは火急に対策を採るべき事じゃぞ?」

「不用意に恐れて余計なリスクを呼ぶ方がよっぽど危険よ。それとも何か案があるのかしら?」


 迦月の言葉にフィリスが反論する。

 迦月自身、アルヴィースを害する事が出来ると思っていない。なにせ、自分たちパーティをソロで、無傷で捩じ伏せる相手だ。戦闘能力については、殺し合い(・・・・)になった時点で負けるヴィジョンしかない。


「相手の自覚を促し、歩調を合わせてもらう。それだけじゃよ」


 アルヴィースの普段の様子から、問題行動は見られない。

 ただ、今までの所業を聞く限り、やはり悪党とみられる人間には容赦の欠片もない。

 今はいいが、その振る舞いが大勢にとって危険視される可能性を迦月は説く。


「無理よ。本人はすでに自覚してるわ。忘れる事が出来るとも思えないし……」


 迦月の案はフィリスによって否定された。

 アルヴィース自身も問題視するそれは、解決の糸口が見えていない。強引にやろうにも、そのためのきっかけを要する。

 襲撃後の様子からいえば、()の深さを知るだけにとどまった。




 誰もがアルヴィースを助ける案を考えるが、良案など早々思いつくものではない。

 会議の場は少し静かになる。

 が、それをリヴリアが破る。


「追加で一つ情報」


 全員の目を集め、それを確認してからリヴリアが口を開く。


「このあいだ、アルを襲った。性的に」

「抜け駆け!?」

「フィリス様、驚くところ違います」


 リヴリアの告白にフィリスが突っ込む(ボケる)がちょうど隣にいたアウラがさらに突っ込む。


「嘔吐。じんましん。過呼吸。酷かった」

「「……」」


 フィリスと迦月が絶句した。

 マリィは「なるほど」と理解を示し、セレスティアは6歳ながら状況を想像し痛ましそうな表情を浮かべる。

 莉理、楓、アウラはそこから一歩踏み込みリヴリアの意図(・・)を読み取ろうとする。


「つまり、女性と、その、関係を持てるようになれば、正常になると言う事でしょうか?」


 莉理が生真面目そうな表情のまま、頬を赤く染めてリヴリアに聞く。


たぶん(・・・)。細かい理由は知らない。でも関係はある(・・・・・)

「ちょっと待ってね~? たぶんああで、ああなったから……。うん、確かにその方向で何とかなるかもね?」


 リヴリアは推測と言いながらもある程度の情報から断言をし、フィリスもまたその考えを支持する。

 ただ、フィリスは今までの行動を反省する羽目になり、それに付き合ったマリィもまた、多少の後悔を覚える。



 ただ、一つの方向性が示された事で迦月のメイド・楓とフィリスの部下・アウラは顔を見合わせ今後すべき事を確認する。


「アル君を誘惑する?」

「無理やりは駄目だから誘うだけ?」

「女の子の体に反応はしてたわよ」

「おっきな胸が好きみたいよね」

「フィリス様やリヴリアさんならイけますか?」

「迦月様では無理そうね。莉理ちゃんはソッチ(・・・)には疎いし、私の出番かしら」

「一応、私もですよね。……そうなれば嬉しいのですが、セレスティア様が…………」


 二人は確定事項を周囲に聞こえるように話す。

 言われたフィリスは赤面し、戦力外宣言を部下から告げられた迦月が憮然とし、話題にすら出なかった者は自分の胸を見下ろした。無論、子供のセレスティアは将来性を母に見出しているので余裕がある。



 この日の会議は、夜まで続いた。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。 

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