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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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平日:反省会でさらに失敗

 決闘が終わり、けが人を回復させたら全員で反省会の時間だ。

 まず俺の反省点。全員に一度は見せ場を作った事。最初の莉理さんのは折り込み済みだったが、迦月と楓さんについては完全に失態である。

 迦月を倒したと勘違いしたのは特に大きく、擬態を見抜けなかったというのは迦月の中に「俺に通用するスキル」が存在すると教えてしまった。本来ならそれすら許さないほどの一撃で倒せたはずである。初見の≪天使封剣≫(シールエンジェル)、作る武器のリーチなどは不明で回避や防御は困難。しかも天使の攻撃で体勢を崩した直後だという好機だった。ここまで状況を整えたにもかかわらず、一撃で決める事ができなかったというのは……っ!


 俺の反省点はここまでにし、次は迦月の反省点。

 一言でいえば、「遅い」。

 迦月の武器は何よりも速度である。俺が何かする前に接敵し、攻撃させずに倒そうとするのが本来の仕事である。

 にもかかわらずジャベリン付きでバックステップされたとはいえ、≪炎の鞭≫(フレイムウィップ)を許すとか。しかも自力回避せずに、莉理さんを盾にするために足を止めたのはいただけない。自分の役割と利点を思い出しましょう。

 最後の死んだふりは良かったけどね、そこから有効打につなげるための選択をミスしてたから活かしきれて無かったよ。


 次に莉理さん。

 不意打ちされても身体が自動で反応するようにしましょう。

 暗殺者の油断を突いてくるタイプの攻撃を防げないなら、護衛失格です。あらゆる状況を想定し、どんな攻撃にも反応するようにしましょう。

 最初の魔法防御は見事だけど、そのために迦月を後ろに下げるとか、過保護すぎです。アンタ、ヒーラーでしょうが。


 最後、楓さん。

 最初の数手、何もできなかったみたいですね。攻撃に対し回避を試みるのはいいですけど、その後のリカバリーが遅いのは致命的です。行動は迅速に。選択は戦う前にする。

 最後の6射は良かったけど、あれがもっと早ければもっと違う展開があったかもね。


 三人まとめて言うと、経験が足りない。

 格下ばかり相手にしてたら成長しないよ?




 自分の分を含め、さっきの戦いを酷評をすると迦月らの周囲がお通夜のような空気になる。まだ生きているのにずいぶん暗いじゃないか。負け知らずだったの? たまには負けた方が成長するよ。


 しかしよく観察すると、迦月らは落ち込んではいるが絶望とは全く違う表情をしている。もちろん、負け犬の諦めた目とも違う。

 チクショウ、上手くいかなかったか。

 三人で戦ってもダメだと分かればもっと落ち込むと思ったのに。



 ここで心を折るつもりだったのに上手くいかず、この後どうするかを考えてしまう。

 何事もなかったように16階層に呼んでも来ないだろうし、また決闘とか言ってもやってもらえないしやったところで効果も見込めない。


「アル殿、少し良いか?」

「ん? おぉ、何?」


 いつの間にか思考に没頭していたようで、声をかけられ驚いてしまった。


「アル殿はなぜ妾たちをあれほど挑発し、戦うように仕向けたのか? 違うなどとは言ってくれるなよ? あそこまであからさまなら子供でも分かる。ただ、そこまでした理由が知りたいのじゃ」


 んー、これ、正直に言っていいかな?

 まあ、こちらの考えを知ってもらうのも一つの経験か。でも全部話すとドン引きするだろうし、当たり障りのないところまででいいか。


「負かして上手く考えれないようにして、学園ダンジョンの16階層に連れていくつもりだったんだけどね。目標は20階層のワープゲート解放まで行こうかと思っていたけど、失敗したね」


 嘘は言ってない。

 ちょっと肩をすくめておどけて見せるが迦月の表情は厳しい。

 学園に入る生徒にはもれなく「16階層挑戦禁止」が言い渡される。普通なら1年に数人ぐらいなら挑む奴が出ても不思議は無いのだが、口頭にもかかわらずここ何年かは誰も挑んだ奴はいない(リア談)ほど強烈な訓戒である。

 迦月ほどの立場となれば、何らかの誓約書を書かされてもおかしくは無いだろう。

 それを破って進むとなればいったいどれほどの理由がいるのだろうか。


「アル殿は16階層に挑むつもりなのか? 先ほどの戦いから只者ではないと分かるが、いくらなんでも無謀と過信が過ぎるのではないか? お主ほどの戦士であれば、火中のクリを拾う愚などせずともよかろうに」

「いや、十分な準備をすれば攻略できるから。リア(元ボス)もいるし、なんとかなるって」


 あそこまでやったのに迦月が俺を心配してくれるのは意外だが、思わず反論してしまう。別に無謀と言うほど無茶をする訳じゃないんだし。

 この反論に常識人・迦月は困った顔をして幼子を諭すように厳しく言う。


「分かっておらんな。過去挑んだ者たちも「これだけ備えたのだから大丈夫」と可能性を信じて進み、死んだのじゃ。己を特別と信じるのは、過去の者たちと違うと言うのはさほど根拠のない妄想の類よ。今一度考え直せ、アル殿。妾はお主に死んでほしゅうない」


 100%善意の忠告だが、この言葉の強さを考えるに、今後俺の行動を制限しようと動く可能性が出てきた。下手すると学園側と結託して俺を抑えつけに来るかもしれない。

 いや、あれだけ痛めつけた相手をそこまで心配できるって、この子はどれだけ善人なんだか。かなり予想外の方向に話が動いてる気がする。


 別に力押しができない訳ではないが、この程度の事でフィリスを頼りたくはないし、無駄な手間をかけさせたくもない。

 なのでこの場を切り抜けるために自信の源、根拠を指さす。


「16階層はすでに攻略したよ。そこにいる元ボス(元アラスティア)が証拠ね。ほら、無謀じゃないだろ?」


 俺に指さされ何故か手を振って返すリアを見て、迦月が固まった。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


7/14 1:22 誤字修正

×自身の源 →

○自信の源

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