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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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決闘前日:人生うまくいかないものである

 なんか狙われてる。

 フィリス邸で授業を受けていたら、俺を監視する目があった。マップを確認したら赤点3つ。おいおい。

 教官や一緒に授業を受ける一部兵士の皆さんも謎の視線には気が付いてる。でも、事が起こるまではスルー推奨っぽい。まあ皆は狙いが分からないだろうし。


 それにしても迦月に決闘を挑んだ翌日からこの展開か。少し予想の斜め上をいったな。

 迦月自身が言わなくても周囲が勝手に何かする可能性は考えていたけど、暗殺者か何かかね?

 授業中に仕掛けてくるほど愚かでもないだろうし、今は授業を受けますか。




 授業終了後、現在時刻は午後3時ぐらい。

 俺は人気(ひとけ)のない路地を歩いている。

 もちろん監視者3人と直接ご対面するのが目的だ。


 スラムの一画にある少し広めの交差点という、襲いやすそうな場所で足を止める。もちろん周囲200mに人影は無い。

 マップを確認すれば三人が3方向に分かれて囲むように移動している。先行してれば良かったのに。

 挨拶代わりに問答無用で動かなかった奴に≪氷嵐≫(ブリザード)を叩きこむ。うむ、HPが半分以上減った。追撃でもう一発。

 二発目を叩きこんだところで残る二人がこれ以上はさせないとばかりに斬りかかってきた。反応が遅すぎる。二発目を撃つ前に動かなきゃ。

 迎撃という事で≪氷の攻性防壁≫(フリーズ・ウォール)を即時展開。二人とも壁にぶつかって即座に離脱。触った部分は凍りついて凍傷確定だね。

 ゆっくり歩いている最中に準備ぐらいしてるさ。あからさまに誘っただろうが。すでに存在を知っているのに魔法使いが何も対策を打たないと思うとは何事か。訓練が足りん。


 つまらない相手に対する不平不満は横に置き、相対(あいたい)したので相手を観察する。

 忍者というか、黒子のような服装で肌の露出が無い。頭巾で推定獣耳を隠しているので種族も不明。武器は匕首(あいくち)。いかにもな暗殺ファッションじゃないか。推定レベルは60~70ってところかな? たった三人で俺を囲むとか。自殺志願者じゃなかろうか。「迦月に決闘挑んだってことはそれなり以上の実力者」っていう考えができないのかね?


 一人ぐらい生け捕りとか、そんな面倒な事は考えない。

 ≪氷の攻性防壁≫(フリーズ・ウォール)を展開しっぱなしなので時間をかけたくない。二人まとめて≪広域化・氷嵐≫(ブリザード)を二発同時に叩きこむ。

 完全に死亡した事を確認すると、頭巾をとって中身を確認。案の定、三人ともごま塩頭(白髪混じりの黒髪)にネコミミ装備のおっさんである事が分かった。

 迦月の関係者だろうし、見なかった事にするか。このことを教えるのも面倒だし。死体は灰にしとけばいいよな。


 俺は証拠隠滅(死体を灰に)すると家に帰った。





 夕飯後、迦月の自室に行く。

 ノックをして返事を待つ事しばし。


「アル殿ですね。入っても大丈夫ですよ」

「では、おじゃまします」


 楓さんの許可をもらい部屋に入る。

 部屋の中は和風に染められている。畳を持ち込み茶を沸かす囲炉裏まで設置してあるあたり、徹底している。日本なら消防法で許可が下りないぞ、絶対。

 しかし部屋の住人は和風では無かった。莉理さんと楓さんはいつも通りのメイド服。迦月でさえ、ワンピースという今まで見た事の無い和風を無視した装いだ。いままでバレバレでも男装していたというのにどんな心境の変化だろう、さすがに驚いた。

 迦月は俺の顔を見て苦笑する。


「アル殿には隠しようもないほどバレておるのは知っておった。が、部屋の外で会う時は形の上でも男装が必要だったのじゃよ。建て前という奴じゃな」


 納得した。

 男装する事に意味があるのであって、男だと認識されなくても良かったということか。どうりで雑なわけだ。


「妾の男装の事などどうでもよい。今宵の訪問は決闘の事であろう?」

「そうだね。返事、貰えるかな」


 迦月はややすっきりした顔をしている。

 そして、渡した刀を取り出すと、無造作に俺に投げつけた。


「これが返事じゃ。やはり妾に勝手は出来ん。気遣いは有り難く受け取っておく。それと、その刀で1日戦わせてもらったが、ずいぶん気が晴れたよ。その刀をお主から借りた事は、確かに無駄ではなかったと付け加えておくとするかのぅ」


 軽くほほ笑む余裕を見せる迦月。

 効果はあった。だが、迦月の心にある壁を一つ乗り越えるには至らなかった事に俺は嘆息する。


「りょーかい。ホントにまた何か考える羽目になるとはね」


 自信はそれなりにあったので失敗すれば少しは落ち込む。

 滅入ったまま刀を抜き放ち、刃の真ん中を指で挟み、折る。

 刀身はインゴットに戻して剣を再制作かな。俺に刀は扱えないし。


「じゃ、おやすみ」


 背を向け部屋を出ようとすると肩を掴まれた。

 振り向けば迦月が凄みのある笑顔を浮かべていた。はい?


「のぅ、アル殿。今、お主は何をした?」

「へ? 物騒な性能の刀が他に漏れないように使えなくしただけだけど……」

「それをわざわざ妾の前でやる必要はあったか?」

「二度と手に入らない事を直接見せたつもりだけど……」

「1日とはいえ相棒と言うべき刀を目の前で折られる者の気持ちは考慮したのかのぅ?」

「んーー。全然?」

「このうつけ者が!!」


 迦月、大絶叫。

 え?


「いいじゃろう、決闘じゃ! その性根を叩き直してくれる!!」


 え?


「場所は兵士訓練所、時は明日の朝一番で構わぬよな! 全身全霊をもって叩き潰してくれるわ!!」


 え?


「その首洗って待っておるがいい!!」


 え?



 展開に付いていけずに呆けていると、莉理さんに首根っこを掴まれ部屋の外に放り投げられた。

 えーっと。

 結果オーライ?

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


7月9日 1:34 誤字修正

自身はそれなりにあったので → 自信はそれなりにあったので

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