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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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放課後:結局アルにはそれしかできない

お気に入り200件になりました。

ありがとうございます。

 俺に迦月の悩みの手助けは出来ない。

 じゃあ出来ることといえば――


「決闘? 儂にお主と戦う理由など無かったと思うのじゃが?」


 この間ダンジョンに潜ってから4日。休みを挟んでから最初の平日。

 こちらでも五月晴れと言って通じるのか、そんなことを考えたくなる気持ちのいい晴天。学園の授業終了後、俺は迦月に決闘状を叩き付けた。

 迦月は俺の決闘状に困惑している。

 当たり前といえば当たり前だ。先日ともに戦った相手から決闘状を叩き付けられるなど、意味がわからない。互いの連携が機能しなかったことも特にないし、喧嘩のひとつも無かった。あった特殊な出来事といえば相談事ひとつで、それとて迦月は曖昧な態度を取ったがそれが理由で決闘など、普通はしない。


「理由は秘密だけど、互いに(・・・)全力全開で戦いたい。そのための決闘だよ。名誉がかかれば多少は本気を見せてくれると思うし?」

「……命のかかったダンジョンで、手抜きなどせぬ。ちゃんと本気で「本気だけど全力は見せてない」」


 言い訳をしそうだったから、それを強く否定する。

 もう分かっているぞ、と目線で訴えかける。

 その意思は伝わり、迦月は大きく息を吐く。


「分かって()るなら言わずに済ませよ。これは我が家、国にも関わる密事である。儂の一存で勝手はできん」

「だから報酬を用意してみた」

「物に釣られるよう……で、は……」


 俺が用意した報酬。それは刀だ。

 今の俺が出来る全力で鍛えた刀。炉とインゴットの都合で最高の出来ではないが、この世界ではチートと呼べるレベルの一品のはず。刀身には風属性と神属性を付与(エンチャント)して風の守りの突破と退魔の力を与え、ある程度でも≪気≫を扱えるなら攻撃力強化をする特殊能力を持たせた。拵えには身体能力の強化だけでなく、刀を扱うものになら自然と手に馴染む付与(エンチャント)をかけてある。ついでに鞘には納めた刀の修復機能もつけて多少手入れを怠っても使い続けることが出来るので連続戦闘も楽になる。

 ゲーム内価格で5000万Gぐらい。最上級クラスの連中ならもう一段階上を目指すだろうが、普通のレベルカンストプレイヤーなら主力にならなくとも補助に持ちたいと思える逸品。

 俺の見立てでは、迦月は90レベルぐらい。欲しいと思うのは間違いないと断言できる。


 この刀、あまり人目に付くのはよろしくないので布を巻いて持ち歩いていた。

 その布を取り鞘から刀をわずかに抜いて刃を見せれば、それだけで迦月の言葉は封じられる。

 その結果に満足した俺は納刀し、鞘を持ち迦月に手渡す。

 魅せられた刃にどこか現実感の無い表情でそれを受け取る迦月は、自分の手で刀を抜く。

 刃長は70cm。打刀の本差としては最小で、脇差よりやや大きいといった「速さ」を重視した造り。

 抜けば玉散る氷の刃、ではないが、陽光を受け輝く刃に魂奪われた表情の迦月。半歩後ろに控えるメイド二人もまた、見惚れて声を出せずにいる。


「勝ち負け関係なしに、これを出す。それでどうかな?」

「妾が手を抜くとは考えないのか?」

「だから決闘なんだけどね。手を抜いた場合、命の保障は無いよ?」

「はっ、そのような条件を妾が飲むと思うのか」


 強気で逃げる迦月。

 まあ、本気を出されたところで命の補償はしないどころか、圧殺する気でいるけど。

 “アラスティア”の手を真似ただけだし、上手くいくかはやってみてから考えるってのが今の方針。

 苦笑し、刀を取り上げる。


「まあその時は。他の手を考えるさ」

「うくっ」


 取り上げられた刀を未練がましく見る目を無視し、最後通牒を突きつける。

 こちらで見た最高品質の武器を一回り上回るどころか10馬身差をつける形で引き離したかのような刀。

 それはこの決闘を受けるだけで手に入るものだが、逆に言えばこの場で受けなければ二度と手に入らない可能性がある――可能性があるではなく、二度と手に入らないものだと理解させる。


「すぐに答えがほしいってわけでもないけど、明日のうちには教えてほしい。それまでこの刀は預けておく」


 そう言って刀を放り投げ、この場を去る。1日かけて決闘を断れないレベルで魅了するために。

 迦月はそれを慌てて受け取り、安堵の表情。

 迦月が持ち逃げする事は、おそらく無い。もし逃げたとしても、リア経由で転移して追い詰めることもできる。その可能性は無いだろうけど、保険はある。

 魅せ、追い込み、最後に猶予を持たせて懐柔を図る。俺の拙い交渉術ではこれが限界だが、やれるだけやった。

 俺はさっさと帰って戦いの準備を始めた。




 作った武器はやりすぎたって気がしないでもないが、たぶんなんとかなるだろう。

 もし決闘が無しになれば俺が自分で作ったとか、そんな可能性は考えないだろう。見た目から想像できないと思うから。

 普通に全開で戦った後なら思いつくかもしれないが、今度の戦いで魔法剣を使う心算(つもり)は無いから思い至るかは5分5分かな? いやむしろ「戦闘能力が高い=生産能力が低い」と思う可能性に賭けた方がいいか?

 考えてもしょうがないから出たとこ勝負でいくしかないな。ばれたとしても誤魔化そう。


 装備は、完全に魔術師スタイルでいくか。

 召喚系のアイテムは使うと16階層再攻略がまた遅れるから使わないでおこう。

 魔術補助の魔術札(カード)系アイテムは普段使わないし、ここで使ってしまうか。迦月の戦闘手段がアレだから、この魔法とあの魔法をメインに……。

 戦闘中はポーション類の使用を双方禁止って言った方がいいよな……こちらが有利す

ぎる。身体能力強化(バフ)ポーションの効果は圧倒的だからなー。その他の身体強化と併用できないけど。




 手持ちの装備、アイテムの中身を確認し、懸案事項を潰し、いつでも相手を出来る様に準備する。

 迦月の性格その他を考えれば明日決闘に持ち込めるだろう。

 戦うのが、楽しみだ。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


以前、「騎士になるほど戦うのが好きじゃない」と書きました。

仕事で戦うのと、趣味で戦うのは違うという事です。

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