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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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深夜:デートの終わり、デートの始まり

 露店を適当に冷やかせば、極々稀にあるという掘り出し物があった。

 ちょっとした工芸品、漆器に陶磁器で良い物が見つかった。スキルの恩恵で見つけたそれらはフィリスのところに(王侯)客として来()るような連中()に使っても大丈夫な品々だ。売ってる奴には言わないが、適正価格より桁が二つほど少ない。まとめて買う。

 それらを購入してあたりを見渡せばそろそろ夕方。夕飯の準備をするべきだろう。

 帰り際に商店街に寄り、食材いくつかと唐辛子、コショウを購入。ついでに油を買ってラー油でも作ろうかと思う。


 今日一日でずいぶん長い時間アラスティアと一緒にいたが、彼女の反応は昼食時の肉以外に特に変化が無く、辛い物が好き、という事以外あまり分からなかった。いや、逆に工芸品や宝飾品にまったく興味がない事を知った、と前向きに考えよう。俺の得手たる甘い物が通じないのは対策を考える必要がある。



 今日の夕飯はパスタの予定。オリーブオイルが見当たらないのが残念だが、ペペロンチーノとカルボナーラでも作ってみようか。マードックさんが辛いのが苦手という可能性を考慮する必要があるので、2種類作れば問題ないだろう。どっちも好きで取り合いになったら笑って済ませるけど。


 メニューを考え、予想される反応をいくつか考えているとアラスティアが俺の服をつまんだ。


「アルにお願いがある」

「ジョーク?」

「真面目な話。今夜、時間がほしい」

「夜、ね。明日に響かない程度ならいいけど。昼から用事があるし」


 戦闘中のように真剣な眼で言うアラスティアに少々気圧されつつも、時間を作ることは了承する。

 その後は一言も喋らず、家に戻っても静かにしていた。何なんだろうね、いったい?



 今日は乱入者もなく夕飯は予定通りに作って終わった。

 マードックさんは辛いのがダメらしく、ペペロンチーノは一口食べただけでギブアップ。普段カレーのような辛い物を作らなかったから気が付かなかったが、味覚の趣味について知らなかった相手はアラスティアに限った事ではないらしい。

 そんなわけでペペロンチーノはアラスティアが独り占め、カルボナーラは男二人で全部食べた。

 こうやって趣味が分かれると、作る時はどちらか優先にする必要があるね。





 食事を終え、洗い物を終わらせてからアラスティアの部屋に行く。

 アラスティアの部屋は本来急な来客用に用意してあった部屋なのでそれなりに片付けてある。本人(おきものさん)の資質から物が増える事は無く、オヤツなども食べたりしないので掃除がとても楽だ。


 部屋にいたアラスティアの姿は完全装備。

 壊れた胸甲(ブレストプレート)は≪自動修復≫でも付与されていたのか、以前見たままの状態まで戻っている。


「その格好ってことは……」

「もう一回、戦って」


 やっぱりかー。

 なんとなく、そんな気はしていたのだ。壊れた装備の修復が終わったから、再戦。

 俺に負けた事は置いといて、こっちで俺にチョコチョコ付いてきた理由。アラスティアの興味というか行動方針を考えると、戦う事が第一としか思えなかったし。


「殺し合い禁止。この条件が飲めるならいいけど」

「構わない。ただ、今度は全力で(・・・)戦って」

「いや、前回も全力でやったし」

「嘘。2回戦に備えて余力を残してたはず」

「切り札を切れと?」

「うん。今度のは、お互い(・・・)全力で戦いたい」


 俺の切り札、回数制限があるから使いたくないんだけどね。

 しかし、お互い、か。第二形態通り越して第三形態と戦わ(やら)されそうな予感がするんだが。


「俺が戦うメリット、無いんだよね」

「報酬は出す。半分は先払いできる」

「モノは聞いてもいい?」

「先払いのは(イクサ)神珠(シンジュ)。後払いのはまだ秘密」


 (イクサ)神珠(シンジュ)……。

 うわ、かなり欲しい。ここで使う切り札って補充が可能なんだよねー。戦の神珠があれば他の切り札も開放できるし、命のやり取りじゃない……。

 やるしかないよね! うわー、テンション上がってきた!

 明確なご褒美とリスクの少なさに俺の顔に笑みがこぼれる。肯定的な意志を感じ、アラスティアの表情が一瞬緩むが、この後の戦いを思いすぐに引き締まる。


「場所はどうする? 16階層まで行くか?」


 あとは周辺被害だけ考慮すればいい。まさかここでとは言わないだろうし。


「街から少し離れた所。私、今はダンジョンには入れない」


 む。微妙に人目に付きそうなチョイスだな。

 でも、夜だし外壁の外から少し離れれば、結界はって誤魔化すだけで何とでもなるか。音と光を遮る結界……アラスティアにも手伝わせれば消費も重くないし、いけるな。


「よし、戦おう」


 俺は再戦に応じることにした。

 このとき微妙にアラスティアの顔が赤かった気がしたが、俺はスルーしてしまった。



 そうと決まれば急いで移動する。明日の事もあるし、夜更かしは最小限にしたい。

 街の門をくぐるわけにはいかないし、いつものように空を飛んで街から10kmほど離れる。

 二人がかりで戦場を整え、ポーションで互いの状態を全快させる。

 今回の装備は防御重視。魔法戦を意識し、魔法ダメージを軽減する事を優先する。結果、手持ち唯一の全身鎧に双剣という出で立ち。

 アラスティアは前と寸分変わらぬ装備だが、放つ威圧感は前回の比ではない。



 20mほど距離をとり、向き合う。


「じゃ、始めようか」

「今度は勝つ」


 互いに構え、一言だけ言葉を交わし、相手に向けて駆け出す。

 銀の月だけが見守る深夜の戦い(デート)が始まった。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


最後、富士見書房の某タイトルを彷彿とさせるような展開ですが、書いている本人も分かってやってます。

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