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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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休日:デー、ト?②

ゲームの中でやりたい食事シーン、各種イベント。

それらを可能にした世界では、食文化はかなり発展している事になります。

 この世界は多様な食文化を持っている。チョコやカレーが庶民にも簡単に食べられる生活というのはそれなり以上に流通が発展していないと難しいのだが、お約束イベントのためにそれらを可能にする基本設定がこの街にはある。

 だから、屋台も突っ込みどころ満載のレベルで数と種類がある。ファンタジー系異世界にきて、おでんやラーメンの屋台があると知った俺の衝撃はどれほどだったと思う?



 屋台めぐり。

 それは予算と胃袋の戦いでもある。


 今回の俺に予算を自重する理由は無いが、胃袋については相当シビアに考える必要がある。

 現在俺の身体は11歳。身長140cm程度のお子様である。

 要するに、容量が小さい。

 戦闘で激しく動くのだが、この身体は燃費がいいのかあまり空腹に悩まされない。日本人の感覚で分かりやすく言えば、菓子パン一つで食事終了、2個目は半分でもう無理。その程度しか入らない。育ち盛りの子供じゃないのか?


 なので、最初に食べる物については一切の妥協をしない。≪鑑定≫≪目利き≫スキルで値段と質と状態を徹底的に見極め、最高の味を探す事にした。

 ターゲットは肉。ついでに飲み物も探すことにした。



 セイレンの大通りのうち、中央よりやや南側に屋台通りがある。

 ここは朝から盛況で、この時間は朝飯用のお粥やパン、サンドイッチもどきなどがメインになる。

 しかし、夜勤の人とか生活習慣の違う人をターゲットにする屋台も存在し、タレを付けて焼く串焼き肉の焼ける香ばしい匂いも漂っている。


「気になったんだけど。今は食事が必要なんだよね。何も言われなかったからマードックさんと同じぐらい作ってたけど、足りてる?」

「あれぐらいでいい。それ以上はいらない」


 ってことは成人男性と同じ量を食べれるわけか。俺の倍ぐらい?かな。


「こっちは小食でね。そんなに食べれないから俺の買うのとは別に何か食べないと足りなくなる。そこら辺は自分で調整して」

「……さっきご飯食べたばかりだし、まだいらない」

「いや、今ここにいるのは昼飯の物色だから。後で食べたい物を探すんだよ」

「適当でいい。アルが決めて」

「普段はどうやって昼飯を選んでたんだよ……」

「お店の人のおススメ」

「値段で選びやがったな、店の奴ら……」


 2食で銀貨5枚(5000円相当)も使うわけだよ。


「いままで食べたので、何か気に入ったのはあった?」

「アルの料理」


 パンは買ってきたやつで、朝はスープと目玉焼きで固定、昨日の夕飯がステーキとサラダ、一昨日は確か魚のムニエルとポトフみたいな煮物、その前は食べずに寝たか。


「特に美味しかったのは?」

「アルの料理はどれもおいしい」

「……いや、何か一つ選んでくれ」

「じゃあスープ」


 今朝食べたからだろうね。ホント、適当に選びやがった。

 なんか、あまり食事に興味は無いのか? ケーキとか甘い物は試してないし、そっち方面から攻めた方がいいかな?

 このままいくと屋台めぐりは不発に終わりかねん。ちょっとテンション下がるな。



 一通り屋台を確認し、目ぼしい屋台の料理人と言葉を交わし、昼飯の取捨選択をする。


「作る料理は時間帯ごとに変えるのが一般的だよ。ついでに、店主も変わる事が多い。よって、美味しそうな料理を作る人を見つけたらすぐにそこで買うか、後の予定を確認するように。朝と昼では作る店を変える人がいるからね」


 これは今朝、マードックさんから頂いた注意事項だ。

 それに従い俺は行動する。全ての店の中から特に腕のいい人を探し出し、出される料理の組み合わせで最善を目指す。

 肉の串で美味しそうなものを出す人が何人かいたが、他に食べるものも欲しい。野菜多めのサンドイッチを付けて栄養バランスを整えるとして、その組み合わせで最近食べてないような味付け……。


 悩んだ末にピリ辛の焼き肉串とシャキシャキ野菜のサンドイッチ。これで行くことにした。

 肉の方は香辛料をふんだんに使っているから、サンドイッチはレタスを白パンではさみ、マヨネーズを塗っただけのシンプルなものを選んだ。



 調味料関係、塩と砂糖に醤油や酢はそこらで売っている。味噌だけ何故か見当たらないが、「さしすせそ」はほぼ手に入る。マヨネーズがあるのには少し笑ったが、よくよく考えると卵には病原菌がいる事もあり、マヨネーズに加工する事で殺菌できるのだから時代考証を無視して存在しても違和感が無かったりする。材料は全部この時代にあるし、卵を安全に食べる生活の知恵的な話という事で。


閑話休題


 普段から使う調味料はそれなりに買ってあるのだが、唐辛子やラー油なんて滅多に使わない物は買っていない。俺のレパートリーからは少し外れる。

 なので、唐辛子を使った肉串をチョイス。これをメインにする。


 辛い物。よくよく考えると、こちらに来てからカレーを食べていない。今度どこかに食べに行くか。カレールーもこちらで売っていない物の一つだし。洋食屋にはあるんだけど、半分秘伝のレシピ扱い。流通してません。いや、レシピは知っているけど、わざわざ自分で配合する気にならないから。マードックさんに話して一般販売用のカレールーでも商品に加えてもらうか?



 少し思考が脱線したが、自分の分に1本、アラスティアの分としてもう2本ほど肉串を購入した。

 サンドイッチとドリンクを用意して二人並んで食べる。


「「いただきます」」


 一口かぶりつけば唐辛子だけではなく、他のピリピリした辛さがあり、実にスパイシー。肉の焼き加減なども含め、実に美味しい。ゆっくり咀嚼する。

 そして、ふと横に座るアラスティアを見れば……何故か肉串を食べ終え、サンドイッチを無視して俺の持つ食べかけの肉串をじっと見ている。


「えっと……食べる?」


 あまりの展開に驚きながらも肉串を渡せば「もっと味わえよ」と言いたくなるほどの勢いでアラスティアは肉を食べつくす。

 食べ終えた後の表情が、「満足」ではなく「もっと食べたいなぁ」と言っていたので肉串を追加5本も購入した。1本でいいかと頼んだら、アラスティアに服を引っ張られ、「もっと買って」と脅されたからだ。

 食べきれるか不安だったが、瞬く間になくなる肉を見れば心配が杞憂だったと思い知らされる。

 そして食べきった後の満足気な顔を見れば、今まで食べたどの食事よりもおいしいと思ったであろうことは想像に難くない。

 少々悔しいのは、しょうがないだろう。

 この肉串は銀貨1枚とそれなりの値段だし、材料の差もあるんだと自分に言い聞かせる。


 それにしても、アラスティアは辛い物が好きだったわけだ。俺の料理に大した反応もなかったのは、辛さが足りなかっただけか。まあ、まだ一緒にご飯を食べるようになって日も浅いし、こうやって今日分かっただけでも早い方ってことだろう。なにせ、今までダンジョンにいた時は食事不要の神様生活だったから、本人にすら情報の蓄積が無かったんだし。



 運よくアラスティアに幸せな食事というものを教えることに成功した。きっと好き嫌いがあり、だんだん自己主張もできるようになるだろう。そうすれば、俺が気に病む事は無くなる。いや、もうあとは時間が解決してくれるわけだし、今この段階で俺が気にするほどの事ではないと思う。


 とりあえずすっかり忘れていた俺の肉串を追加で買い、なぜかアラスティアにももう一本買って、今度は露天市場でも冷やかしに行くことにした。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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