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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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戦闘後:アラスティア

ベタと言われたっていい、馬鹿一なんてどうだっていい。

だけど、この展開だけは、やらせてもらう……っ!

 1分が経過した。アラスティアは死んだまま(・・・・・)である。



 俺の一撃はアラスティアのHPを0まで削りきった。

 ゲームの時はしばらくすると起き上がり、第二形態、魔法解禁バージョンと戦うことになった。

 とりあえず第二形態云々は置いといて、HPMPスタミナがもうほとんど枯渇しているので、それらを癒す為にポーションがぶ飲みをしながら様子を見ていた。減ったままだと痛いしフラフラするし、力が入らないのだ。


 で、さっきも言ったが1分経過した。

 さすがにまずいと思い、左胸に手を当てる。心臓は(・・・)止まっている(・・・・・・)


「消えゆく魂、輪廻の環より今一度還れ≪死者復活≫(レイズ)、傷つきたおれたる者、この光によりその身を癒せ≪蘇生≫(リザレクト)!」


 慌てて復活魔法を使う。アラスティアのHPが約1割まで回復した。

 ≪蘇生≫、俺だと3割まで回復するんだけど……。いや、純然たる近接戦闘職とHPを比較したら負けるのは当たり前なんだけど、3倍以上かぁ。攻略サイトに載ってた通りの情報なら、HP4000だっけ? まぁいいや。


 気を取り直して≪蘇生≫を連発してフル回復しておく。HPが5割を超えたところでアラスティアに反応があり、9割程度で目を覚ました。前回のエルフ娘(仮)はまったく目を覚まさなかった事を考えると、≪死者復活≫直後に目を覚ますかどうかは個人差なのかな?


「…う…っん……」


 アラスティアは身体を起こし、ちゃんと動くかどうか確認するために軽く運動している。

 一通り確認が終わると、俺を睨んだ。


「さっきの剣は反則」

「使わなきゃいけない状況に追い込んだ奴のセリフじゃねぇよ」

「違う。あれは、この世界(・・・・)で使っちゃいけない呪いの(たぐい)。多用すれば神敵認定」

「どうせオマエ以外にゃ使えねぇよ……」

「……私のせい?」

「うむ。あそこで戦おうとしなけりゃよかったんだよ」

「反省。だからアルもそれは封印」


 ≪ゼロの魔剣≫(あの剣)は魔剣とは名ばかりで、剣関係の戦技全般が使えない。汎用戦技すら範囲外の規格外。詠唱の長さとか代償とか、使いにくさもあって氷漬けのアラスティア以外にはまず使えない。

 この魔法はその昔『捻じ曲げられた永劫に続く混沌の大地』ってステージで覚えたんだけど、ボスの撃破報酬だけにヘルプの説明以上の情報がない。『無垢にして白痴の君』という外なる世界の神を奉る神器らしいが、使いすぎると発狂するって一文にインパクトがあって他はあまり覚えがない。他にも同系統の召喚魔法が使えるけど、そっちも封印指定だろうね。


「この話はおしまい。あと、いっこ聞きたい」

「? 何?」

「何で助けた?」

「……なんとなく」


 他のボスみたいに倒したら死体も残らず消えたのであれば、何も気にしなかったと思う。その場合は復活して第二形態だっただろうけど。

 でも、死体が残って生き返らせる手段があって、相手とは少しだけど言葉を交わした。また挑まれる可能性も大きかったけど、それを差し引いても「助けよう」と思った。時間がなくてまともに考える時間がなかったこともあるけど、たぶん、戦闘中に見た「生きた表情」が一番の理由だ。

 なんか、普通にPvPやってる気分になって、プレイヤーと同じ感覚で扱ったんじゃないか。

 まあいいや。とにかくあんまり考えなしに動いたんだから、「なんとなく」でいいじゃないか。

 思いつくままに説明すると、何故かアラスティアは顔を逸らしていた。


「えっと。助けてくれて、ありがと」

「お礼を言うときは相手を見て言いなさい」


 子供の様な態度に年長者(?)として思わず説教してしまう。ばつが悪そうにするアラスティアの顔を両手で挟み、こちらを向ける。抵抗なくこちらを向くアラスティア。その顔がみるみる間に赤く染まっていく。


 ……え?


 続けて説教しようと思っていたのだが、言葉に詰まる。こちらの焦りが伝染したのかアラスティアも挙動不審になり、収拾がつかなくなる。俺まで顔が赤くなる。

 俺の手を除けようとしたのか、アラスティアが俺の手首をつかむ。しかし全然力が入っていなくて、ただ手を添えているだけのようで、俺の方から手を離そうとすると反射的に(だと思うが)手首を強くつかまれ離す事ができなくなってしまう。

 俺の顔を見るのが恥ずかしいのか、アラスティアの視線が下を向く。俺もつられて視線を下に向ければ先ほど貫いた(・・・・・・)胸がある(・・・・)胸甲(ブレストプレート)を破壊され、ブチ抜かれたために服に大きな穴のあいた(・・・・・・・・・・)胸が。


 アラスティアさん、なかなか育ってますね。あのサイズの胸甲じゃ押さえつけられて厳しかったんじゃないかな? あんまり押さえつけると形が崩れるらしいよ? いやもう、服のサイズもあってないのか、自由を求めてこぼれてるじゃないですか。


 俺の顔が、さっきまでより赤くなったのが自覚できた。体温が高くなり、手に汗がにじむ。


「っ! ~~~~~~!!!!」


 視線を察知したのか、俺の変化を読み取ったのか。

 祖魔神とかまったく関係なく、女性らしい羞恥を発揮したアラスティアの≪重撃≫(ヘヴィストライク)が俺の顔面を捕らえた。

 拳にブッ飛ばされ、いいところに当たった事で脳震盪を起こし、俺は気絶した。


「えっちーー!!」



 最後に見たのは、涙目になったアラスティアだった。

 そういえば、俺はどうやってここから出ればいいんだろうね。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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