戦闘中:アラスティア①
差し替えです。
戦闘開始直後に鋭い一撃を貰ってしまった。
左腕が肘から切り飛ばされ、「ペナルティメーカーの時みたいだ」などと考えてしまった。当然叫びたいほど痛いから、その叫びのままにアラスティアへ切りつける。同時に≪蘇生≫を詠唱開始。切り飛ばされた腕を再構築する。新しい盾をアイテムボックスから取り出し装備する。
先ほどの攻撃、アラスティアは受けようとしたが威力重視の≪重斬撃≫の追加効果により弾き飛ばされる。
こっちの攻撃で少し距離ができた。しかしアラスティアはその距離を一息で詰める。反射的に≪高速5連撃≫で迎撃するが、最上級剣技≪鳳翼天翔≫――≪突貫≫≪高速5連撃≫から≪貫殺≫につなげる大技――によりこちらの攻撃はすべてはじかれ、体勢を崩したところに強烈な一撃を貰いかけた。なんとかバックステップと≪小盾≫が間に合い回避に成功した。
今の俺は攻撃失敗により両腕を使えないが、密着状態ともいえる現状を無駄にしないよう、魔法剣士の戦技|≪魔力武器作成≫で膝に突角もどきを作り、鳩尾にひざ蹴りをぶち込む。上手く攻撃が入り、多少なりともダメージを与えることに成功する。
そうやって一撃入ったことで、アラスティアの表情が、わずかに歪む。苦痛に耐える様に。
その表情を見た瞬間、自分の中にあるスイッチが入った気がした。
ゲーム中のアラスティアは無表情だった。それが、この程度の一撃で、顔に、出る。
――やばい。萌えるというか、楽しい。
≪鳳翼天翔≫のあとは僅かに隙ができる。
先ほどまでのやり取りで、なんとか相手のパターンはつかめた。記憶に残る、ゲーム中とあまり変わらないモーションパターン。初期タイプと思えば間違いなさそうである。
バフ無しでは押し負けるが、あればなんとか対抗可能。魔法剣技であれば押し勝つこともできるだろう。
気になるのはこれがゲームではないということ。ゲームでは最後まで行動パターンは変わらなかったが、ここでは変わる、学習される可能性がある。学習を前提に戦闘を構築する。
考えを一瞬でまとめる。
ひざ蹴りではノックバックは発生しない。いまだ密着状態。
≪短距離転移≫で距離を離す。アラスティアを正面視界に収め、距離5m。バックステップでさらに距離を離しつつ詠唱開始。
「光、無数の槍となりて我が剣を纏え≪殲滅の光槍・銀星≫凍てつく眠りは汝を無垢の白へ誘う刃となる≪氷の棺・付与≫」
アラスティアがこちら向く。俺に向かって駆け出すが詠唱はすでに終了した。
剣の刃は氷で覆われ、俺の周りには20の光球が浮かんでいる。
「『千桜走破』!」
アラスティアはこちらの突貫に≪鳳翼天翔≫で合わせようとするが、≪高速5連撃≫を最初に繰りだす≪鳳翼天翔≫では最強の一撃のみで組み上げた『千桜走破』を防ぐ事は出来ない。
こちらの刃が敵に届くまでに≪高速5連撃≫の2発が俺の剣に撃たれたが、それを受けても俺の刃はそのままの威力で敵を捕らえる。
「ブチ抜けぇ!」
刃がアラスティアに触れると≪氷の棺≫が解放される。
瞬く間に氷に包まれるアラスティア。
結果吹き飛ばされることも許されず、『千桜走破』の威力を倍加されその身で受けることになる。HPを2割削った。
最後、氷の棺はアラスティアを圧殺しようとして砕け散る。ちなみにHPが0になった場合はそのまま氷漬けになる。
大技直後の勢いそのままに、距離を再び取りながらも反転してアラスティアを視界に収めようとする。
が、振り向こうとしたところで背中を切られる。HPが3割持っていかれる。
距離をもう詰められた。反転の勢いのまま剣を横に薙ぐ。
俺の苦し紛れの一撃はアラスティアの籠手に防がれ、当たったもののダメージは微小。
目の前のアラスティアに蹴りでも入れて距離を取りたいが、同じ手では通じないだろうと目の前で≪爆炎≫。本来詠唱しないといけない魔法だけど、威力を犠牲に無詠唱で即発動。爆発で距離をとる。これはお互いダメージなし。もっとも、相手の体勢は崩れていないが、俺は結構崩れている。自分でやったんだけど、吹き飛ばされた後って難しいんだよ。
三度アラスティアの突撃。今度は戦技なし、距離を詰めた後にやる気だろう。
さて、どう対処しようか。
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