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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
2章 学園生活1年目、将来の夢
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授業時間:座学のジカン

必須授業は「受けなきゃいけない授業」です。試験を突破できる・できないは別にして。

受けたくない人は、実力で免除してもらいましょう。

 学校に通うようになって3日目。

 今日もダンジョンに行きたかったが、ダンジョンではなく教室に向かう。

 午前は「魔法理論」、午後から「戦術」を学ぶことになっている。ちなみに、同じ教官が担当する予定。実技の「武技」「魔法実践」もやはり同じ教官。

 「一般教養」はクリア済み、「ダンジョン討伐」は担当教官などいないので無問題(モーマンタイ)。一般教養は日本の国語算数で、小学校3年レベルでした。


 フラグがどうとか、頭の痛くなる問題があるので知り合いを増やしたくない。だからこうしてみた。ちなみに、この教官は人気が致命的にない(・・)

 生徒を確保できず、クビまであと少しだったらしい。俺以外の生徒は3人。なかなか素晴らしい環境である。

 なお、授業の最大受け入れ可能数は座学30人、実践10人と決まっている。受けたい時間、受けたい教官で授業予定を立てるのが普通だが、入学したばかりの生徒は大雑把に希望を言い、事務の人に組んでもらうのが通例である。有名な教官は大体常連がいるので入り込むにはコネが必要とか。どうでもいいけど。


 入学前に「とにかく生徒の少ない教官を教えてほしい」とリクエストしたところ、教えてもらったのがこの教官。

 高い入学費用を払った生徒には大まかな、譲れない指針があるのが普通である。本人に無くとも、(金を出す人)には明確な目的意識がある。よって、頼りない印象の、実績のない教師には生徒が寄り付かない。

 まあ、年若い教官みたいだし、実力は知らんが普通は実績など無いだろうに。OBやOGなら学生時代の実績で生徒を集めることもできるけど、細かい事情は知らんし。実技担当だと、ダンジョンに潜って実力をアピールするのも手だろうに。それをしていないのか、それでさらに評判を落としたのか。どちらにせよ微妙な人だと思う。



 思考が横道にずれたが、午前の魔法理論、筆記用具(インクと羽根ペン)紙の束(ルーズリーフ)を持って教室に入った。





 教室には、誰もいなかった。

 いや、教官はいたが、他の生徒がいなかった。……なんだろう、この状況?


「おお、よく来た少年」


 教室にいたただ一人のおっさん、無職になりどこかで時間を潰す元サラリーマンの雰囲気を漂わせ、力なく座っていただけの置物が、俺に気が付くと満面の笑みを浮かべた。

 体は中肉中背で細身。細身ながらもそれなり以上に鍛えられた体をしている。だというのに顔に締まりがなくダレた印象を与える。直感だけで言えば推定60レベルなんだけど、見た目と雰囲気だけで言えば20レベルも怪しいんじゃないだろうか。まあ、生徒がいなくて精神が摩耗したからこんな顔なのかもしれないけど。


「本日より教官の生徒になる、アルヴィースです。1年間、よろしくお願いします」


 頭を下げる。相手に持った印象はともかく、挨拶ぐらいはきちんとする。


「うん、うん。堅苦しいのは無しにしよう。今日から君に必須授業全般を教えることになるタントリス=ウォードだ。よろしく頼むよ」


 1年間、という単語に破顔したタントリス教官。どんだけヤバかったんですか。

 それよりも、1ヵ月間だけかもしれないが、級友になる人が気になる。


「教官、他に3人の受講者がいたはずですが……?」

「彼らは出戻り組でね、授業を受けてくれるわけじゃないんだよ…………」


 教官は俺の質問に目に見えて落ち込んだ。なるほど、元サラリーマンという感想は間違ってなかったか。

 地の底まで沈みかねない教官を見ると、なんというか、手のかかる人みたいだが、まあ、悪い人ではないと思う。頼りないけど。


「とりあえず、授業を始めませんか? 時間は有限ですから」

「お、おお。そうだね、そうしよう。じゃあ……」


 俺が席に着き、教官は教壇に上がる。日本の教室のように黒板にチョークで魔法の基礎理論を説明してくれる。

 正直、ゲームではまともに扱われないこの類の設定は俺の知識にはない。よって、聞くのは初めてのはずだったんだけど……


 うわー、教官の説明、なんとなく全部わかるよ。


 各種魔法スキルはカンストし、ほぼすべての上級魔法を扱える恩恵か、教官の話の内容がしみ込むように自分に入ってくる。そして、それ以上の知識が思い出される(・・・・・)

 これ、授業受ける必要無いよね? でも、ここで「魔法理論の授業、スキップします」と言ったら教官が泣きかねない。どうしよう?



 午前は、かなり微妙な気分で終了した。




 午後からの授業は戦術である。

 基本的にはモンスター知識。生息区域、生態、弱点と確立された対策について学ぶ。

 要は、wikiを暗記するイメージ。wikiで事前に情報を仕入れ、攻略に行くのは確かに効率がいい。本来なら(・・・・)重要な授業だ。だけど。



 ……こっちの授業も受けなくて良さそうです。



 すでに知っているモンスターの名前がつらつらと並び、これまた聞き覚えのある傾向と対策を延々と聞く羽目になった。

 顔が引きつってしまったのは、しょうがないと思う。

 教官はそんな俺の態度に気が付いていたが、「初めての座学で苦戦しているんだろう」って認識かもね。もし真実を教えたらどうなるんだ、いったい。



 効率だけを考えたら、授業はさっさとスキップすべきだ。

 だが、教官の現状を知ってしまった以上、放置というのは心苦しい。

 なにか、良い案でもあればいいんだけど……。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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