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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
1章 入学前、出会いの嵐
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派生クエスト:アウラに何か作ろう

クエストは単発ものの他に、連続して発生するものがあります。

また、特定のクエストを経由することでしか発生しないものもあります。

「タスケテー」

「まあまあまあまあ。落ち着こう、アル君」

「そうだぜ、何もとって喰おうって訳じゃないんだ。ただな、坊主から少し話を聞かせて欲しいだけなんだよ」


 店の隅っこで椅子に座らされ、正面におっさん、後ろからアウラさんに抱きつかれながらの尋問タイムが始まった。

 アウラさんはやはり胸がお……抱きつかれてわかるが、力が強い。本気とまでは言わないが、それなりに力を込めないと振りほどけないだろう。そんなもったいないことはしないけど。


「坊主……おまえ、何を作った?」

「見てのとおり、誕生日に贈る程度の腕輪ですけど……」


 見たまんまだ。ちょっと凝ってはいるけど、ゲームでは50レベル(駆け出し卒業)ぐらいのやつが装備する程度の代物である。珍しくもなんともない。値段で考えるなら、俺の装備なら(売らないが)桁が最低でも二つは増える。そっちを見せたならこの反応も理解できるけど。何かあったのかね?


「魔法付与はともかく、スキル効果が付与されたアイテムなんてそうそう滅多に見ねぇよ! どっかのダンジョンからの発掘品ならともかく、一個人の制作したモンって言うなら、この国の王都にいる宮廷職人でも無理なんだよ! 余所の国、ドワーフの連中になら出来る奴が稀にいるって話だが、そいつの作った作品、実物を見たことがあるわけじゃねぇ!! 「誕生日のプレゼントに作ってみました」なんてもんじゃねぇンだよ!!」


 ちょい待て。

 ≪彫金≫スキルなんて10レベルになったばかりのやつでも覚えることができる、それなりスキルなんだけど。

 覚えたばかりならともかく、一ヶ月も練習すればレベルは4まで上がって腕輪にひとつスキルを足すぐらいならできるんだけど。

 それがレアスキル扱い? なにそれ?


「俺のいた所なら、駆け出しでも出来る程度の簡単なものですけど?」

「マジか! もしかしてお前、それを人に教えることもできるのか!?」

「え、一応……できると言えば出来ますが?」

「教えろ!! 金は出す!」

「ぇえー」


 別に≪彫金≫スキルを教えるのはいいけど、覚えることができるかどうかは別問題な気がする。それに、教える時間がそんなにあるわけでもないし。

 というか、まともな素材は用意できるのかな? 超簡単なのでよければ鉄でもいいけど、効果があるかも、ってレベルだぞ。

 悩んでいると、耳のすぐそばから別の声が聞こえた。


「アル君アル君。おねーさんへのプレゼントはないのかな?かな?」

「……作業見てたじゃないですか。あれ以外作ってないですよ。今回の件は今度ご飯を奢るって話で手打ちじゃないですか?」

「材料費ぐらい出すしさー、私も一個ぐらい欲しいかなーって」

「あの腕輪ならミスリルとルーンメタル、ドラゴンから作ったパウダーを使っていたけど、用意できます?」

「え゛?」

「付与って、材料選びますから。あのレベルならそれぐらいが必要ですけど……」


 最上位ドラゴンのウロコ、1枚50万Gで10枚セットなら1000万Gはする。これは決してぼったくりな値段ではない。こちらの世界の相場が分からないので値段はぼかすけど、簡単に払えないだろうことは容易に想像できる。

 それ相応の使わないと付与が失敗するんだよね。素材のランクが低いから。あと、相性の問題もあるけど、そっちは付与するスキルや魔法次第。アウラさんの懐事情なんて知らんよ。


「うぐっ。うぅ~~~~。じゃぁ! 気になってたんだけど! 最初に火の入った炉に直接手を入れたわよね? なんで無事なのよ!」


 しまった。自分にとってはいつもの事だから、すっかり異常行動ってのを忘れていた。

 アウラさんは俺から離れて指を突き付けている。せっかくの天国が。なんて勿体な。い


「あれは俺の師匠の教えです。最初は俺も驚いたけど、いつの間にか日常になったんでほとんど習慣でやっちゃった。てへ」

「何それ可愛くない」


 ごまかすためにちょっとなれない事をやってみたけど、いきなり冷めた声で貶されました。

 細かく説明すれば、かなり異常な話なんだよね。金属加工に便利だからって理由で、火の魔法をひたすら鍛え上げ、炎の精霊から祝福を貰って火に対する完全耐性を受け取るのって。

 ゲーム時代の最上位プレイヤーでも、召喚職と精霊魔法の専門職じゃないとまず不可能な祝福だったし。

 まあ、火水土風いずれか1属性への完全耐性を貰ったところでそこまで目に見えて有利にはならないのがゲームだったけど。ほとんどのボスが光氷雷闇の上位属性を使い、そちらへの対策のほうが重要だったから。

 とりあえず、本当の事を教えると面倒なことになるだろうし、適当にごまかそう。


「火を扱うために、それなりの装備は持ってきましたよ。その恩恵です」

「ヘー、ソウナンダー」


 冷めた目で睨まれた。口調も棒読み。

 うわ、全然信用されてない。確かに嘘なんだけど。

 しょうがないので、矛先を逸らそう。


「あれと同じ材料は無理でも、それなりの素材でスキル付与したの、作りますよ。指輪なら材料費も少なくて済みますから、それでどうでしょう?」

「! その条件でオッケーよ! 付与できるスキルってどんなのがあるかな!?」

「指輪なら、魔法効果の底上げか、耐性付与が限界?です。耐性は魔法や状態異常、何でも選べるけど、1種類までです」

「うーわー。悩むなー、それ。……って大事なこと聞いてないかったわ。値段はどれくらいするの?」

「指輪サイズのミスリル鉱石って今はどれくらいします?」


 これはおっさんに話を振る。金属の相場なんて知らないし。


「金貨5枚ってとこじゃねぇか? 鉱石からインゴットに変える段階で目減りするしな、少し多めに見てそんぐらいだ」

「だ、そうです」

「うぎゅ。あ゛あ゛あ゛~~」


 妙な声で鳴く人だな、アウラさんって。

 めっちゃ悶えてる。

 おっさん、そこで少しサービスしたらきっとアウラさんの好感度が上がるよ。


「……分かったわよ。払う。払いますからお願いします」


 おっさんと二人で悶えるアウラさんをしばらく見物してたけど、5分経ってようやく結論が出た。

 しかし、金貨5枚って、日本人の感覚で言う5万円だよね。新人でも貴族お付きの兵士だから手取り40枚ぐらいが給料の相場だったはずだし、払うのはそこまで厳しいのかな? 生活費とかどれくらいかけてるんだ?

 マードックさんのところだと、食費は二人でも月に金貨4枚あれば足りたけど。



 付与するスキルを考える時間も欲しいだろうし、作るのはまた今度ってことにした。

 いい加減空腹も限界だし、早くご飯が食べたかったというのもある。

 なぜか店の厨房で店番君やおっさんの分まで夕飯を作る羽目になったが、早くそれなりに美味しいものが食べたかったので仕方ないだろう。


 4人でご飯を食べて、帰路に就く。

 プレゼントの腕輪は当然アイテムボックスに仕舞ったから無くすこともない。

 おっさんへの≪調金≫スキル講習とかアウラさんへの指輪作成とか予定外のイベントも予約されたけど、ひとまず目的は果たしたんだし、伝手もできたと考えれば結果は上々。

 もちろん3人に口止めもしたから、身の安全はたぶん確保できている。

 この日は気分よく眠れた。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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