クリンナップ:ミエナイケモノ
25日、投稿を忘れていました。
次からはこのようなことが無いよう、注意します。
開幕一番、真正面から一撃が来た。
視認不可、マップに敵の反応なし。ただ直感だけで避ける。
「魔法、じゃないし……『ミエナイケモノ』、ね。また懐かしいのが出てきたな、っと」
状況確認をしつつも、攻撃回避に意識を割く。
見えないからと、視覚で考えるのはやめて一定のリズムで位置を変える。
うん、“ゲームの頃”と何も変わってない。
では、昔のままの対処でいいか。
「≪包む霧≫、ついでに≪剣ノ原・限定解放≫」
見えない敵の対処法その1、霧で蝕を作る。
その2、トラップの設置。
周囲に霧を作る。ついでに霧から逃れられないおまけつき。戦闘範囲を半径100mまで限定する。
地面に対し、まばらに剣を突き立て、考えずに動くと自傷するように仕向ける。ちなみに突き立てた剣はマップで確認できる。ヴィジュアル的にはどっかの英霊みたいだが、普通に土属性の上級魔法にあるやつだ。本来は武器が壊れてしまうほど強力な≪戦技≫のため、使い捨ての剣を呼ぶのに使う。使い勝手がいいので、トラップとしても愛用している。
「ヘイトは俺だけ稼いでる感じだね。周りが起きる前に片付けますか」
『≪ミエナイケモノ≫』の≪完全隠密≫は出てきた当初は「運営やりすぎ」「バランスとれよ」などと言われていた。最初は足跡から位置を判断していたが、墨などをぶっかけるか、俺のように霧を呼ぶなどして位置を判別できるようにしてしまえばたいした問題じゃなくなった。しかもプレイヤーへの配慮ってことか、AIのパターンが単純なのでレベル70の割に楽に倒せる雑魚モンスターと化した。ドロップは大したことがないから、俺はあんまり狩ってない。
こいつの出典は確かクトゥルフ神話で、ネクロノミコンの著者を食い殺したやつだったっけ? うろ覚えだけど。
『ミエナイケモノ』は霧が消えている部分を見れば一目瞭然。とりあえず適当な剣を背にして攻撃を回避。
回避に成功すればそのまま剣に体当たり。ざっくり切れたはず。
基本は正面からの突撃、左手で剣を構えれば右にステップを踏んでから攻撃してくる。手に持った武器に注意はするけど、背後の剣には意識を向けない。本当に、わかりやすいので簡単に誘導してみせる。
HPが半分以上だとこちらより足が速いので、多少は設置した剣でダメージを与え、動きが遅くなるのを待つ。
2回、3回と躱し、剣にぶつけ、ついでに逃げそうになった時のために魔法をセット。
5回目で動きが鈍り、攻撃をためらうそぶりを見せて『ミエナイケモノ』は逃げようとする。
まあ、≪包む霧≫からは逃げられないんだけど。
「≪氷の投槍≫×2」
追いかけるのも面倒なので、後ろから前まで貫通させて殺す。まっすぐこちらから離れようとするから、狙うのは楽だった。追尾の付与も必要ない。
動かなくなったけど、念のために≪断頭の斧≫で首を刈る。見えないって不便だよね。
今度こそ本当に終わりと、俺は大きく息を吐いた。
「普通さ、あの手の会談があったらそこで終わりにしねぇかな?」
終わった事へ、もう言う事はない。
村の人や冒険者たちへのあいさつを軽く済ませ、本日最後の決戦に向かう。ある意味においては、魔神や監理神など及ばない領域の戦いだ。
そう、置き去りにした二人へ謝罪をするために、俺は山に帰らねばならない。
……気が重い。
村から隠れ家に帰った俺を待っていたのは、ティアとマリィによる非常に手荒い歓迎だった。
置き去りにしたことを怒られ、心配させたために泣かれ、思慮が足りないと詰られ、「次は無い」と釘を刺された。説明に理性が納得することと感情が納得するのは別だからって事で謝っても許してもらえなかった。
いろいろ悪かったと思うが、怒った顔を見れて少し嬉しかったというのは二人には言わない。
あの主従、微妙に感情を読みにくいからね。貴重な画だ。
今晩は一人ソファで寝ることになったが、妙に寝付けなかった。戦ったあとだし、変な話をして考えることができたからかと思った。だけど、ここ最近はずっと3人で寝ていたので、その影響かもしれないと思い至って頭の中にひとつの考えが過ぎった。
もしかして俺、調教されてる?
いろんな意味で眠れない夜になった。
最後に、このことは定時通信でフィリス側に伝わり、フィリスからもきっちり怒られたことを追記しておく。
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。
6月10日 修正
ネクロノミコンの著者 のルビを適切に表示させました。




