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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
1章 入学前、出会いの嵐
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リスタート:村へ

 「Brave new world」はクラス制とスキル制を採用している。

 クラスを選び、スキルを覚え、スキルを成長させることで新たなクラスに目覚める。

 俺の場合、メインクラスを戦士から始め、剣士を経て魔法剣士にランクアップした。

 戦士は初級とはいえすべての武器の扱いを覚えることが可能で、剣士では中級の剣技まで覚えることができる。

 魔法剣士になったため、上級以上の剣技は使えないし他は初級止まり。

 何が言いたいかというと、俺のメインクラスは戦士系の発展形だが、内実は魔法使いであるということだ。


 こちらに来る前は27歳だったので、「そっち」の魔法使いではない。




 フィリスとの定時連絡を終えたマリィに向こうの様子を聞くのはいつもの日課である。

 もっとも、「いえ、特に変わりありません」と帰ってくるのがほとんどだが。


 定時連絡の話をしたあとは軽く体を動かすことにしている。

 練習用の剣を左手で構え、右手を腰に収めたままのもう一本の剣に添える。頭の中に仮想敵を用意。剣と楯のオーソドックス。訓練を開始。

 右手は剣に魔力を充填(チャージ)。一歩で10mほど距離を詰め、左の剣で≪連撃≫(ラッシュ)を仕掛ける。当然のように防がれるが、ラストに≪重強打≫(マイティストライク)を重ねて防御を崩す。そこで追撃、魔法≪複合強化・速度(神速)()一瞬≫(迅閃)を使い、右手で剣を振るう(≪一閃≫)。インパクトの瞬間に魔力を開放して攻撃力を引き上げる。

 しかし、右の剣(決め技)は仮想敵の蹴りによって阻まれた。蹴りは俺の右ひじに当たり、一撃はそらされる。

 ならばと右腕が弾かれた反動を利用して左の剣に≪土の精霊剣≫(エンチャント・アース)を使って薙ぎ払う。≪土の精霊剣≫は基本攻撃力増加と攻撃範囲の拡大。横薙であれば回避は難しく上がった攻撃力で防御も容易ではない。

 仮想敵はカウンターの構え。楯のスキル(シールドバッシュ)で反撃に出る。

 おたがいの一撃は相殺される。こちらの方が威力が高いので若干競り勝ったことになる。ただし、消費を見れば低コストで威力の大半を防ぎ切り、さらに≪生命力活性≫(ヴァイタルグロウ)の影響下にある為、実質ダメージ0に近いあちらの勝ちであるが。

 ちなみに、左で崩して右で決めるのは俺の基本戦術だったんだが公式PvPで一回見せた途端にほとんどのプレイヤーに対策をとられ、その後しばらく負け越したために封印していた。今回は≪複合強化・速度(神速)()一瞬≫(迅閃)を組み合わせたが、まだ速さが足りなかったようだ。

 その後も手を変え品を変え、下位の精霊剣と強化系の魔法で戦うが、有効打と言えるものはなく、訓練は終わった。




「おにいちゃん、今のは?」

「お疲れ様です。タオルで汗を拭います。じっとしてください」


 集中していたので二人が見ていることに気がつかなかった。

 ティアは剣を振るう俺に興味をもったのか、いつもの無表情はそのままに、瞳だけキラキラさせている。尻尾が小刻みに震えているので、少し笑った。

 マリィはあまり興味がないのか単にこちらの汗を拭うのに集中しているのか。丹念に汗をぬぐっている。服を脱がされるのも今更、抵抗せずに身を任せる。


「何かと戦っているようでした。信じられないのですが、おにいちゃんが苦戦しているよう見えました」

「一応、昔戦ったやつの中でも一番強いのを思い浮かべてやったからね。鈍った今じゃ、まず勝てないよ」


 PvPで上位に入る人は魔法剣士が多い。ダンジョン奥のボスには継戦能力が重要になるが、PvPのようなルールありの短期決戦は魔法剣士の独壇場に近い。召喚術師も瞬間最大火力と手数においては上位に入るので、こちらもPvPに有利なクラスと言われる。

 俺はそのどちらでもあり、メインが魔法剣士系でサブの片方が召喚術師系なのだが、最盛期の時は上位100人に入ることもできず、リーグ勝ち抜けしたものの初戦敗退というレベルだ。俺は魔法剣士が持たない継戦能力を高くしたタイプだから、本来の持ち味(最高火力)が失われた結果である。


「おにいちゃんより、強い人がいるのですか?」

「そりゃもうゴロゴロいたよ。俺は強いっちゃ強いけど、最高峰の連中に並ぶセンスがなかったからね。お陰様でそんなに名も売れず有名どころの引立て役がせいぜいさ」

「信じ、られません」

「遠い遠い国の話だからね。まぁ、あいつらがこっちに来ることもないし。あんまり意味のある話じゃないよ」


 俺の言葉に目を大きく開いて驚くティアに苦笑で返し、昔を思い出す。

 廃人ギルドに所属してトッププレイヤーになるより、魔法剣士で趣味に走るのを優先した結果、トップクランと仲良しクラン、どちらも水が合わなくなった。

 せめて有利なPvPで活躍できればまだ良かったんだけど、公式戦ではほとんど目立たず終わっている。おかげでひとつのクランに留まることが少なく、2年目から3年目の後半はぼっちプレイヤーだった。

 それでもちまちま続けて、趣味人の集まったネタクランの一員になれて、いろいろなクエストをこなしてきた。いろんなダンジョンを、敵を攻略してきた。

 あれは、楽しかった。


 剣を持つとやはりゲーム時代の感覚が戻ってくる気がする。

 まるでスイッチだ。


 その後は夕飯の準備の時間になるまで、ティアにゲーム時代の話を聞かせていた。




 夕飯の後。異変があった。

 感覚的にそれを理解する。

 魔力の大きなうねりを感じ、かつてダンジョンに潜っていた時の緊張感が全身を包む。

 大きな異変があったのは、普段買い物に使っている村の方角。村のある場所ってことで間違いないだろう。

 剣を手に、装備を呼び出し自動装着。

 焦る気持ちがティアとマリィへの配慮をなくし、二人には声をかけることもなく駆け出す。

 多少広い場所に出たら≪高速飛行≫(ソニックバード)を起動。村までに魔力の半分を消費するが、最短時間で移動する。


 村までは片道50km。この世界での一般人なら1日掛からない程度の距離になる。俺の場合だと普段の買い物でも3時間程度、魔法使用時の今なら20分ぐらい。

 すぐに村を視認できた。火が出て煙が上がっているのを確認する。



 今のところ、死者はなし。

 俺は、なんとか間に合った。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


6月10日 修正

何が言いたいかというと、何が言いたいかというと、

→何が言いたいかというと、

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