リザルト:ゲーム世界の中の人
VRゲームで恋愛ゲームはありなんですけど、エロゲは確実に却下でしょうねぇ。
「アルヴィース。通称アルでどうかしら?」
古い魔術師の名前をそのまま貰うことになった。
どうにも厨二くさい名前を回避し、まともな名前になったと安堵する。
ようやく、「フランス人」発言について聞ける状況になった。
「私はフランス生まれのフランス人だけど、日本育ちでね。ほとんど日本人。
だけど、分かるでしょ? 外見が理由でうまく馴染めなかったのよ。
で、VRにはまって、ゲームをやってんだけど……8年前、いきなりゲームの中に来ちゃったの。
いやー、あのときはびっくりしたなぁもう」
フィリスの話、前半はわりとどうでもいいが、後半、「ゲームの中に」という行が引っかかる。
俺はここが「Brave new world」の世界だとどうしても確信できなかった。一応、ステータスウィンドウやゲーム中に使えた魔法その他が有効であったために可能性が高いとは思ったが、街の名前などが記憶にないため、「似たような世界」ではないかと推測している。
なのになぜ、「ゲームの中に」と言い切れるのだろう?
「ん? え? 街の名前も同じだよ?」
「……「Brave new world」にセイレンなんて大都市の名前は聞いたことがない。国の名前もそう。本当に、この名前があったのか?」
「ブレ……? なにそのタイトル?」
おたがいの頭の上に疑問符が飛び交う。
それは、つまり
「私がやってたのはVR恋愛学園ゲーム「王立ルースニア学園」だよ。トンネル&ダンジョン社の」
「……「Brave new worrld」も同じ会社だよ、畜生」
あまりの事実に思わず目を閉じ天を仰ぐ。
つまり。
冒険モノから。
恋愛メインのゲームに来たと。
なんで予想の斜め下を行ってくれるの?
「ちなみに男キャラで遊んでたんだよ~」
「どうでもいいよ! シモネタはそっちで覚えたの!? どうりでオヤジ臭いと思ったよ!!」
「あ、酷いね~。それは掲示板のネタを読見続けた結果だよ? 私の所為じゃないもん」
「もんとか言うなよ、年考えろよ……」
疲れた。
あの戦闘なんかよりよっぽど疲れた。
今度は項垂れていると足元に影が落ちた。
顔を上げれば目の前に笑顔だけど怒った顔のフィリスが。立っていた。
「女性に・年齢のことを・突っ込むなって・親から・教わらなかったのかな~~~」
「痛い痛い痛い!」
俺の|こめかみに拳を当ててグリグリ《ウメボシ》と絞め上げられる。
離脱しようにも何故か体が動かない。
「反省した?」
「した!したから!!」
「うん、素直でよろしい」
「それもやめろ!!!」
こめかみは開放されたが、今度は抱きしめられ、頭を撫でられる。やはり体は動かせない。
フィリスが「これぐらいで許してあげます」と言って離れた。
「うん、実験成功♪ ゲームが違っても私のスキルは有効なんだね」
「はい?」
「王立ルースニア学園のキャラは異性とイベントを起こす場合に強制力を持たせることがあるの。ほら、恥ずかしがってたら恋愛ゲームが成立しないじゃない? だ・か・ら、今みたいにオート進行のスキンシップができるのよ」
すごくいい笑顔でとんでもないことを言われた。
「Brave new world」でも一部イベントに体の自由がなくなったりする。王の謁見とか、プレイヤーに無茶をさせたらまずい場面があるから。
しかし、そうなると、俺は目の前のフィリスに行動の自由を制限される可能性があると?
こっちの考えを悟ったのだろう。フィリスの表情は「にやにや」とわかりやすいモノになっている。
「ちなみにヒロイン登録されてる子なら全員使えるし、通常、最低7人はヒロイン登録されるからね」
「最悪だ!」
「きっと、うちのティアちゃんも登録されてるはずよ。ゲームと違って年齢制限も解除されてる気がするの」
「なんとなく予想できたよ畜生!」
生まれてきたことを後悔するレベルでこれは酷い。
言葉を返せば、このおばさんも登録されてるって事じゃないか。10歳年上って誰得だよ。俺はまだ10歳なのに未亡人がヒロインとか、スタッフに年齢設定の必要性を子1時間ほど問い詰めたい。
その後も「王立ルースニア学園」の世界観や仕様について話をして、泊まっていくことになった。
泣きたくなるような、「それなんてエロゲ?」と言いたくなる設定に頭を抱えたのは言うまもでもない。
そして話の最中、何故かフィリスの機嫌が悪かったことを追記しておく。
むしろ機嫌が悪くなるのは俺の方だと思う。
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