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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
4章 最後の平穏
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幕間:プチーナ

4章の幕間はこれでラスト。

明日から5章です。

 果樹園管理人、プチーナの朝は早い。

 毎朝5時から雑草の処理を行う。

 「ぱぱ」から贈られた外套を身にまとい、朝のお勤めを始める。


「ぜんた~い、きおつけ!」


 プチーナ・リーダーの声に雑草が一斉に身を起こし、敬礼(?)をする。


「せいれつ! まえに~、すすめ!」


 雑草たちは整列し、果樹園の外まで移動する。


「やすめ!」


 そしてただの雑草に戻る。

 雑草は外から根を伸ばし毎日のように生えてくるのでこの仕事はとても重要だ。

 やらないと地面が痩せて、プチーナ達の「ごはん」が減ってしまう。

 なので、毎日気を抜く事無く草を抜く。それがプチーナの日課であった。



 プチーナはリンゴの木の精霊、その亜種である。

 普通の木の精霊(ドライアド)なら寄り代である木はそのまま残るのだが、プチーナ達は木が人型に変身する。これがプチーナ第一の能力である。

 第二の能力として植物の精霊として周辺の植物に対して魔法的な命令権を持つ。具体的には、先ほどのようにモンスターとして行動させるといったものだ。

 ただし、若いプチーナに従うのは植物として格の低い草や苗木程度である。樹齢が10年を数えた木々には命令などできない。

 それでもこの果樹園を管理するには十分有用な力である。

 その派生だが、第三の能力として植物と会話ができる。木々のあるエリアなら情報収集ができるのだ。植物を警戒して会話をしない奴などまずいないので、使い処は限られるが強力な能力である。



 仕事が終わると日向ぼっこである。

 人型のまま地面に寝そべるのが好きなのだが、それをやると魔力は自然回復より消費する方が多くなるので「ぱぱ」がいない時はやらない。

 日を浴び風を受け、水で癒される。ただ何も考えず静かに過ぎる、そんな時間をプチーナ達は愛している。


 が、あいにく今日は闖入者達が現れた。

 近所に住む、孤児院の子供たちである。


「ダメだよ~、バレたら怒られるよ~」

「うるさい! いいからお前はだれか来ないか見張ってろ!」


 数人の子供たちがプチーナのいる果樹園に近づいてくる。

 果樹園には「この先に入った場合、確実に死ぬと思ってください。死ななくても殺しに行きます」と書かれた看板があるが、子供たちは気にしない。本気にしていないのだ。それに、子供たちの目的はプチーナ達ではなく、そこに隣接する別の人が管理する果樹園。通り道にするぐらいなら怒られないと、その程度に考えている。

 しかしアルヴィース管轄の果樹園には深さ10mの落とし穴(+鉄槍)や地雷をはじめ、「殺すことが前提」の罠が満載である。軍隊や騎士団だって避けて通るレベルである。設置した本人は≪罠作成≫スキルの使い勝手を確認するために対ドラゴン用の罠まで用意している。


 子供たちが果樹園の柵を越えようと、手をかけようとした。

 柵の先の地面を踏めば秒間10点、最大200点のHP固定ダメージの呪いが降りかかる。一般人のHPなら半死半生、子供たちなら死亡確実。

 まさに命が奪われるその瞬間。


「ぴーーー!! しんにゅうしゃ、しんにゅうしゃ、ぜんいんげいげきたいせいー!!」

「「「おぉーー!!」」」


 首から下げたホイッスルを鳴らすプチーナ・リーダー。

 そして一斉に人型になるプチーナズ。


 子供たちは侵入がバレたことで蜘蛛の子を散らすように逃げだした。


「バレたぞー! 逃げろー!!」

「なんでー!? さっきまでいなかったのにー!」

「そんなの後だ! 逃げろー!」

「置いてかないで~!」


 とにかく走れと散っていく子供たち。

 そんな中、一人だけ女の子が取り残される。最初に他の子供を止めようとしていた子だ。


「てきぜんとーぼーはじゅーさつけーなのですー! にげるなー!」

「たいちょー、ついげきのきょかをー」

「ぱぱから『きょてんぼうえいをだいいちにと』いわれている! ついげきはなしだ!」

「むねんですー。せんめつのきかいをむざむざと~」


 追いかけようとするプチーナズを諌めるプチーナ・リーダー。

 柵によじ登り逃げる子どもを見ていたプチーナズの一体が逃げ遅れた女の子に気が付く。


「むむ、ほりょであります」

「ろかくであります」

「じゅねーぶじょうやくはまもれよー、であります」

「何この子たち? え? え? 僕、どうなっちゃうの?」


 プチーナズが女の子に群がる。

 女の子は怯える。

 それを見ていたプチーナ・リーダーが一喝!


「ぜんいんもちばにもどれ! たいきせよ!」

「「「いえす、まむ!!」」」


 プチーナズの返礼はその場の勢いである。変わることも珍しくない。

 とにかく怒られたプチーナズは女の子から離れ、果樹園の中に戻る。


「おくびょーものどもがほうほうのていでにげるなか、ひとりしんがりをつとめるとはてきながらあっぱれである!」


 実際は、逃げ遅れただけである。


「そのほうびにこれをとらそう!」


 プチーナ・リーダーは懐から草を取り出す。

 女の子はただの草を渡され困惑する。


「それはけがによくきくやくそうである! 「すりきず」や「きりきず」にたかいこうかをしめすのである! だいじにつかえ!」


 胸を張って尊大に言い放つプチーナ・リーダー。

 女の子は渡された物が意外と価値のあるものである事を知り、ちょっと驚いた。ただの罰ゲームだと思ったのだ、最初は。


「ありがとうございます」

「うむ!」


 頭を下げ、「それでは失礼します」と言って帰る女の子。

 それを見送り、プチーナ・リーダーは満足気にうなずく。


 しかし、それを見ていたプチーナズの1体がぽそっと小さな声で漏らした。


「あれ、「ぱぱ」にあげようっていってたやつじゃ……」

 

 ビクン、とプチーナ・リーダーの背が震えた。

 ぎ、ぎ、ぎ、という擬音付きで振り返る。


「りーだー、あげちゃった」

「「「あげちゃったねー」」」

「ぱぱにあげるの、なくなっちゃったねー」

「「「ねー」」」

「うるさーい! 「ぱぱ」がくるまでにもういちどつくるのです!!」





 部下達の造反(?)に怒鳴って誤魔化すリーダー。

 その後、「ぱぱ」が来るまでに新しい薬草の調達に成功し、なんとか褒めてもらうことに成功する。

 このあと、果樹園の一画を使って薬草畑が作られ、その管理をプチーナがする事になるのだが、それはまた別の話。別の機会に語られる物語である。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


9月6日 日本語修正

× 「あたりがとうございます」 →

○ 「ありがとうございます」

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