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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
1章 入学前、出会いの嵐
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クエスト:領主の館を攻略せよ!

戦闘は難しいです。

 セレスティア――もうティアでいいか――との会話を終え、仕事をして、夕飯を作って食べて。

 次に自分がやることと言えば。


 領主様(ティア母)のお館へ襲撃をかけることである。



 セイレンを区分けすると、おおよそ5分割できる。

 まず、普段自分たちがいるのは商業区である。中央の商店街と西の倉庫や馬房に馬車置き場。

 一般住宅街は南にある。俺たちの家は利便性を考慮して西寄りに建っている。

 東に目を向ければスラムがあるため、貧民街と言われるエリア。冒険者ギルドや歓楽街もあるけど、そこは一般人が立ち入ってもまだ安全な中央寄りにある。東にそんなエリアがあるのは、西の商人たちが東に貧乏人を追い払ったからだと揶揄されていたりする。

 北にはこの街の名物、王立学園がある。敷地は広大で、軍隊指揮や魔法の練習のためだとか。


 そして最後。北区のさらに北。外壁を超えたところにもう一つ外壁があり、そこが貴族様のためのエリアになっている。『頭のとっても小さい雪だるま』の頭部分と言えばイメージしやすいだろうか?

 一般エリアを囲う外壁とは比べ物にならない強固な外壁を持ち、侵入することがまず不可能と言われている。厳重なチェックをくぐり抜けても中は精鋭兵が巡回している。不法侵入者は即死刑が適用され、その場で殺される。実にわかりやすいシステムだ。

 領主様のお館はその中でも最も警戒が厳重な場所にあり、襲撃を仕掛けるのは愚か者のすることである。


 もしくは、自分のような奴とか。



 夜の7時過ぎ。日は沈み店は締まり、学園や歓楽街のような一部地域以外は静かになる時間帯である。

 ≪高速飛行≫(ソニックバード)で地上30mから貴族特区に無事潜入(ダイブ)できた。空から魔物の襲撃があるかもしれないのに、実にザルな警備である。

 この間もお世話になった≪祖魔神の仮面≫アラスティアのペルソナはもちろん、ほかの装備も高速戦闘用のガチ装備に変えている。最悪、戦闘も辞さない構えである。まあ、トラウマが発動したら詰むかもしれないのでゲームのような無茶は出来ないのだが。


 ティアから館の場所と内部情報を聞いているので迷うことなく領主の館を発見。

 金ピカで絢爛豪華な小さな城に見えるが、実に趣味が悪いと思うのは日本人の気質かね? イギリスの貴族の館を写真で見たことがあるけど、ああいう落ち着きのあるモノの方が個人的には好みに合う。

 まずは庭から門まで約50m、バレずに突入するのがミッションだな。


 館の周りには存在を主張するように配置されている警備兵と、見えない場所にバレないように配置された警備兵がいる。見える警備兵だけに注意していたら捕まってしまうというわけですね、分かります。

 ≪隠密行動≫スキルを使い、周辺にいる警備兵の死角を探しながら移動する。遠くから俯瞰すれば見える場所を通っていても、今ここにいる連中にバレなければ問題ない。≪罠発見≫で通常の、≪魔力感知≫で魔法的な罠がないかの確認も怠らず、難なく門までたどり着く。

 門も近くの窓も当たり前だが閉まっている。開けた場合、ほぼ確実にバレるだろうから≪魔力隠蔽≫スキルを使ってからの≪短距離転移≫(ショートテレポート)で館の中に潜入。無事に内部に潜入できた。

 やってから気がついたけど、中の様子を伺うのを忘れていた。見える場所に人がいたらさっきまでの苦労が台無しになるところだった。


 さて、気を取り直してティア母の位置でも探りますかね。

 いつものようにマップを確認したら赤マーカー(ここの住人)の他に、黄色マーカー(別口の侵入者)が3個。

 また厄介事ですね、分かりたくありません。



「侵入者2名、侵入者2名! フィリア様への警護を最優先に!!」


 先客は早速やらかしてくれた。

 館に詰めていた警備兵(全員女性)は武器を手に取り現場へ駆けつける。

 襲撃の一人が陽動で一人は足止め。最後の一人は本命で、前の二人を捨て駒にするつもりだろう。正直、人数差はくつがえし様がないから。前二人がやられて、多少時間をおいて気が抜けたところを強襲かな? 襲撃直後にいくら警戒を強めても、その警戒心を維持するのは大変だ。必ず綻びが出て突かれるパターンだね、これ。最初の先頭で戦力がバレてるだけに、予定も立てやすいだろう。

 マーカーを見れば赤が11個固まり、待機してる。そこがたぶん伯爵のいる場所だろう。で、その近くに赤に囲まれた黄色が。黄色は点滅(瀕死)だから、もうすぐ終わるかな? 俺は正門側から来たけど、その反対側にもう一つ黄色。こっちは赤を3つ連れて移動している。陽動要員だけど、反撃してるね。赤が一つ点滅――消滅(死亡)した。頑張ってい入るけど、逃げる先にも赤が5つあるからすぐに終わるねー。


 少しの間、状況の推移を見守っていたけど、捨石二名はさくっと消えた。

 最後の黄色は館の天井か屋根の上かに張り付いて動かない。



 しかし、この状況は俺にどうしろと?

 今ノコノコ出ていけば確実に不審者扱いでまともに話ができないだろう。いや実際、不審者だし不法侵入だけど。

 最後のを狩っておけば、話ぐらい聞いてもらえるかな?

 無理だよねぇ。

 一応、文句を言いたいわけだし死なれるのも何か嫌だから狩るだけ狩りますか。


 まずは移動。相手の姿を見に行く。

 ≪透明化≫(インビジビリティ)でも使えると助かるんだが、あいにくあの魔法、今は使えない。精霊を喚ぶ触媒さえあれば出来るんだけど。

 相手の死角からじっと襲撃者を確認する。

 ぱっと見、強い。

 俺(100レベル)ほどじゃないけど、かなりのプレッシャーを感じる。推定80レベルの純粋戦士職、かな。魔法の匂いがしないし。相手のレベルがわかる魔法が欲しいところだが、これはそもそも実装されていないし。ムネン。

 これは予定が大幅に狂った。

 戦力差がこれだけ少ないと、こっそりやるのはまず無理。下手すると全力の一撃も必要になる。相手の装備は魔法のかかっていない革鎧に短剣と貧弱。だけど、リスクが大きすぎる。暗殺スタイルなら一撃死のスキルを使ってくる可能性もあるし。速度特化なら、こっちの基本値を大きく上回るんだし。


 だが、逆に放置するのもできないよね。放っておいたら本当にティア母が死ぬ可能性が出てきた。なかなか状況は酷い。

 隠れてこっそりやるのはダメ。放置するのもダメ。なにこの無理ゲー。選択肢が少なすぎる。



 しばし考え込んでいたら、赤マーカーに動きが。

 具体的には、固まっていた11個がバラバラになっていく。3人1組みで巡回に行くのだろう。2グループ抜けて直衛が4人になった。直衛から巡回警備にシフト。早すぎないか? 遠方で抑えたほうがいいって判断か。悪手である。

 早期の発見・対応は確かに魅力的だけど、この化け物を相手にするには力不足だったようだ。相手がとった手段は、各個撃破の殲滅戦。しばらく待って、全体の距離が開いてから動き出す。最初に囮役を潰した5人に攻撃開始。白楼族の娘さんがバッタバッタと切り捨てられる。俺は、まだ動かない。全員行動不能だが死んではいない。

 次、巡回に移ろうとしたグループ6人を潰した。俺は、まだ動かない。一応初級HPポーションだけ準備しておく。やはり全員生きている。回復手段を削ることが目的なんだろうね。回復できる程度にすることでリソースを使い潰させるつもり、と。戦力的に全く怖くない相手だから余裕をもって動いているのかな。それともターゲット以外は殺さない主義?


 外の待ち伏せしてた人たち5人が怪我人の介抱にあたる。見事に引っかかっている。大怪我なのでHPが回復してもすぐに動けるわけではない。一人が街の方に援軍要請、一人この場に残して3人が館へともどる。


 それと時を同じくして襲撃者が領主の一団に接触した。4人の護衛のうち3人がすぐにやられたが、最後の一人はそれなりに持ちこたえている。俺は、ここでようやく動く。


「領主様、助太刀します!」

 増援を呼びに行った人がいたし、なによりこれだけ派手に戦闘していれば近くの人はふつう気が付く。来ても問題ないだろう。

 見た目10歳の謎装備をした、明らかに怪しい奴でも。領主様(ティア母)は珍客に驚いている。戦っている二人は見向きもしない。


 あ。≪祖魔神の仮面≫アラスティアのペルソナは外しています。どうせ顔を見られて困ることはないし。



 とりあえず最初は挨拶変わりに≪ダッシュ≫からの≪一閃≫。出の早い単発戦技を打ち込む。速度重視の一撃なのに簡単に躱された。やはり敏捷値は俺より上、と。

 相手からの返礼は≪小盾≫(プロテクト・シールド)を相手の短剣に先に展開することで防ぐ。

 今度は≪連撃≫で連続攻撃。≪連撃≫は攻撃と攻撃の間にある隙を小さくする戦技。その分威力は小さくなるけど、相手の行動を封じるために正面に意識を向けさせる。

 襲撃者は最初と2発目を回避するが、3回目でカウンターに転じようとする。速度差があるのだからそれは予想済み! 俺は魔法剣士の戦技≪風の精霊剣≫エンチャント・ウィンドを起動し、併せて相手の背中へ≪風の刃≫(エア・スラッシュ)を叩き込む!

 襲撃者は≪風の精霊剣≫の特殊効果、暴風で動きを阻害され、攻撃を強制キャンセル。正面は剣を、背中は魔法の奇襲を受けてあっさり倒れた。



 ……あれ?

 思ったよりもあっさり片付いたな。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


次回、1日開きます。

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