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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
4章 最後の平穏
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2日前:ボス戦の予行演習

 今朝は迦月達と模擬戦をすることになった。

 朝一で楓さんとコンタクトできたのだが、昨日放置したのは少しご不満な様子で朝から時間を取るように言われてしまった。

 幸い予定を入れてなかったのでなんとかなったが、これで他の人との約束があればどちらを優先するのかという選択を迫られる事になる。注意しよう。



 迦月達との模擬戦は、ダンジョン20階層踏破の為の訓練という事で、魔法解禁・なんでもありとルールを取っ払ってみた。

 ついでに、リアもこちらの戦力として追加してみた。

 最初のルールなしという段階で大喜びした迦月が、リアの参戦を聞いた途端に真っ青になったのにはちょっと笑った。莉理さんと楓さんも顔が引きつっていたのでどんな目に遭うかは大体理解してくれたようだ。

 ……絶望的な戦は、少しぐらい経験した方がいいんだよ? これはイジメではなく教育なんだ。

 誰に対する言い訳かは横に置き、とにかく迦月達にはちょっと泣いてもらう事にした。





≪水圧砲≫(ウォータープレス)!」

「≪飛斬≫!」


 俺が≪水圧砲≫(ウォータープレス)で迦月を狙う。迦月は回避などせずに相打ち狙いで、中距離攻撃用の戦技≪飛斬≫によるカウンター。

 迦月は莉理さんに防いでもらうつもりのようだが。


「えい、やー、たー」

≪小盾≫(プロテクト・シールド)

≪防壁盾≫(プロテクト・ウォール)!」


 莉理さんはリアの相手が忙しく思うように動けない。

 当然のようにこちらは防御魔法で≪飛斬≫を防ぎ、憐れ迦月は≪水圧砲≫に呑まれるかと思ったが、後ろに控える楓さんの防御魔法により事なきを得る。

 にしても≪防壁盾≫(プロテクト・ウォール)か。成長したのか準備してたのか。なかなかいいタイミングでこちらの攻撃を潰してくれた。


 迦月はそのアシストのおかげで俺に接敵する事を成功させる。

 そのまま切りかかってくるが戦技は使わず、俺のリアクションにより使う・使わないを決めるのか。または俺が何かやった後の硬直(スキ)を狙っているのか。なかなかやり難くなっている。


 無詠唱の初級魔法乱打で距離を取らせてもいいんだけど、今回の俺はダンジョンで戦ったボスの攻撃を再現するのが役目である。下段の切り上げから上段の唐竹――≪連撃≫から≪重斬撃≫(マイティストライク)――につなげることで噛みつき攻撃を表現してみせる。

 迦月もただの≪連撃≫扱いはせず、大きくバックステップしてそれを回避し、攻撃直後の俺に対し突撃技≪一閃≫で突きかかってくる。


 俺が突きを避けると迦月の懐に潜り込む形になり、そのまま肩からぶちかましをする。これは相撲のぶちかましで、戦技でも何でもないただの体術だ。体重差はあまりないが、懐からのぶちかましは体重を数倍にもした威力を生み出す。結果、迦月は吹き飛ばされ仰向けに倒れる事になる。


 莉理さん楓さんが焦ってフォローしようとするが、莉理さんはリアが押さえているので動く事が出来ず、楓さんは懸命に俺に矢を≪連射≫して迦月からタゲを外そうとするがまだ甘い。

 楓さんには≪水圧砲≫を使い、俺自身は吹き飛んだ迦月との距離を詰める。

 迦月は俺が距離を詰め切る前に何とか立ち上がるが、まだ無防備。無限コンボという訳ではないが、再びぶちかましで楓さんの方に弾き飛ばす。


 楓さんは俺との間に迦月がいるので攻撃できず、咄嗟に防御魔法を使おうとしたが俺の使った≪水圧砲≫への対処の為にそれは遅れ、俺が迦月の首に剣を突き付けゲームオーバー。



 こうして一戦目は多くの反省点を残し終了した。

 迦月達はまずミーティングを行い対策を練ろうとしたがまだ甘い。回復ありでも休憩なしで他の疑似ボス戦もやらせてみた。

 少々愚痴をこぼしていたが、ちゃんと理由はあるのだ。

 一回一回ミーティングを行い反省点を潰していると、感覚が「訓練」になってしまうのだ。できるだけ「実戦」の感覚を養うなら、無茶で無謀な戦いを経験させなければいけない。


 今は訓練だからいいが、実戦になれば、下手すれば死ぬのだ。どうにも迦月らはそのあたりの感覚が弱い。レベルは高く上級戦技を扱えるのはいいのだが、効率のよい訓練によるもので、実戦で非常識な目にあった事が少ないように感じる。格上相手の対戦も少ないのか、どうにも強さの割に戦士としての深み(・・)がない。

 ゲーム時代の高レベルプレイヤーの中に稀にいる、パワーレベリングだけでカンストまで持っていったような奴らに近い。最前線で戦う奴なら必ず持っているはずの常識(非常識)も足りないし。



 一通り戦い終わり、ようやく模擬戦(じごく)から解放された迦月らの背を叩き、今回反省すべき点を洗い出す。

 デカブツ相手の基本対応、地形による補正を加えた場合の想定、軍隊規模の敵に有効な戦術。その他細かいところを課題としてご飯を用意する。

 時間は昼になっていた。



 いつかは鍋を作ってみたが、今回は重箱に俵結びや出汁巻き卵、カマボコ煮豆キンピラ焼き魚から揚げお浸し……と適当に用意してみた。

 少々量が多いが多いといっても6人分だし、この女性陣は健啖家が多いので多くても問題にならないと踏んだ。

 迦月達は故郷の料理に舌鼓を打ち、美味しそうに食べている。前回のすき焼きが故郷の料理とカウントされなかったのは恐らくだがすき焼きが明治維新以降の食べ物だからだろう。

 つまり迦月らの故郷の料理を名乗れるのは江戸時代まで、と。誤差があったら設定したスタッフの趣味だね。すき焼きをはじめとした肉料理は全部アウトと思っていいだろうか。


 今回の昼飯は好評に終わり、リアが独占したキンピラ(唐辛子多め)を食べれなかった事以外に不満は出なかった。

 見事全部食べきった女性陣に、わざと聞こえるギリギリの音量で「ちょっと食べすぎかも?」と呟いたので、午後から必死に訓練をするだろう。



 昼寝の護衛までしたあと、迦月らとは別行動を取る事にした。リアだけ連れ歩く。

 ミューゼルのところに顔を出してパンケーキを購入、少し無理をして食べておく。

 味のレベルは変わらず、量産品である事を考えればこれ以上は材料頼り。値段まで考えれば現状維持がベストなので、売り方の向上を目指すようにアドバイスをいくつかしておく。


 果樹園の前に冒険者ギルドに顔を出すが、よくよく考えるとリアを連れていくのはこれが初めて。大騒ぎになったがなんとかそれを酒の力で収め、話を通す。

 果樹園に侵入した奴は今のところいないみたいで、罠は作動していなかった。

 罠についてリアに説明し、今日もリンゴの木の世話をする。

 水は昨日作った聖水(原価0)を流用、肥料にはアイテムボックスに紛れ込んでいた骨系のアイテムを粉にして作ったものを撒く。ゲームの時、最後に行ったダンジョンから考えるとワイバーンをはじめとしたドラゴン亜種の骨だと思う。安い素材で価値はない。

 最後の魔力供給は呆れられたものの、リアも手を貸してくれた。MPポーションの節約も出来たのでかなり助かった。


 木々に宿る精霊の気配はさらに強くなり、若木自体も通常の物よりかなり早い成長をし始めている。この分だと、1ヶ月で1年分とか成長しそうだ。もしかしたら、もっと早くなるかもしれない。

 昨日氷精石と土精石を埋めた2本については精石がなくなっていて、木の方に精石が吸収されていた。精霊の力も他より強くなっている。調子に乗って、土精石の方には水精石を追加、新たに他の一本に風精石を埋めてみる。

 土の精石を吸収した奴が水精石を吸収するか分らないのでとりあえず様子見。

 他についてはそのままにして、今回はデータ取りとする。結果を見てからその後の計画を立ててもいいだろう。



 一通り作業を終え、調べたい事を調べたら次へ向かう。


 次はエルフのコミュニティだ。

 レミットさんとは明日魔法の練習に付き合う約束をしているが、他のエルフさんと仲良くなるのも大事である。特に代表のエルキィさんとはちゃんとした付き合いを続けるべきだろう。何度も世話になるし。

 レミットさんには会わなかったけど、彼と歓談できたので良しとする。



 そうやってエルフたちと交流を深めても時間はまだ16時。

 もう少し何か街でした方がいいのかもしれないが、特にこれ以上寄るべき場所を思いつかなかったので今日はこれで帰る事にする。


 帰った後はティアとの時間を多めに取り、夕飯の準備を手伝ったりして時間を潰す。

 残り時間はいつものように一人アイテム制作に費やし、就寝する。

 今日はダンジョンに行かなかったのが心残りだが、そんな日もあると割り切る。


 明日はまた上級剣技の習得訓練だし、早めに寝るとしよう。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


8月29日 誤字修正

× 元早くなるかもしれない。 →

○ もっと早くなるかもしれない。

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