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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
4章 最後の平穏
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4日前:農耕民族精霊系

 昨日は散々暴れたので、今日はすっきりしている。

 昨日のあれは、ゲームで10時間ぐらいぶっ続け一切休憩なしでやり終えた後に倒れるような感覚で、実に気分が良くなる。ダンジョンに潜るのが一日一回というルールが無ければ2週目に突入したいぐらいである。


 今日は座学を入れていないので午前のうちにダンジョン踏破は終えている。

 半分タイムアタックに近いやり方をしたので、昨日は5時間以上かかったのに、今日は4時間程度で終える事が出来た。ダンジョン内で昼飯を摂る事を考えていたのだが、外で食べる事が出来た。ダンジョン内だから食欲が、とは言わないが、ダンジョンから出て食べる方がご飯は美味しい。


 さて、本日の予定は特になし。自由時間という事でアイテム制作に挑戦する事になっている。ただし、俺も今までやった事が無い事に挑戦するのだが。





 「Brave new world」時代、クランには畑や果樹園といった設備があった。

 スキルにも≪農耕≫などという専用のものがあり、薬草類や食料品関係を作るのに大いに活躍したものである。


 今回試すのはその応用と言える内容だ。



 まず畑、果樹園を耕す。

 肥料を使う。

 畑なら種、果樹園なら苗木を用意する。

 種を蒔き、苗を植えた後は定期的に手入れ(雑草の除去と肥料の追加、水撒き)をするだけ。肥料や水は1時間に1回しかできない。

 一定期間が経てば作物・果実を収穫する。



 ゲーム時代は大体こんなものである。

 使う水にポーションを混ぜたり、肥料に消耗品タイプのマジックアイテムを使うのは基本と言われていた。使えば使っただけ品質が良くなり、属性を持ったりしたからだ。

 中にはある程度肥料に高級品を使わないと枯れてしまうものもあった。

 リアルに考えると、組み合わせ次第では肥料のやりすぎや化学反応でダメになりそうな気もするが。気にしたら負けである。



 今回やるのはその応用編。

 場所は買い取った果樹園。苗木というか、若木が今回行う実験の対象です。

 土には魔法金属の粉を混ぜてあります。他には何も仕込んでいません。

 では、地面に対し撒かれた魔法金属に対し「スキルを使用」。魔神剣士の≪精霊剣≫であらかじめ召喚()んでおいた土の精霊を封じる。

 土の精霊に魔力をほぼすべて与える。MP回復用のポーションで回復しながら限界まで頑張ってみる。


 今回はMPポーション10個を使用し、上級の攻撃魔法50発相当のMPを喰わせてみた。上級精霊魔法を覚えたてなレミットさんの最大MPと比較して10倍程度である。


 やり終えた後、若木の状態を確認する。

 僅かにではあるが、若木に精霊の気配がする。

 あと数回やらないと駄目かもしれないが、上手くいけば、ここにある若木は“精霊憑き”になる可能性が出てきた。



 俺がやろうとしているのは人工精霊の作成だ。

 精霊と言っても普段精霊魔法で使うような火とか水の精霊ではない。『その他』扱いされるような木の精霊(ドライアド)である。


 これを思いついたのはずいぶん昔、とある村が突然発生した魔物(ファイアウルフ)に襲われた時の事だ。

 あの時はとても強い魔力の波動を感じ、緊急事態と思い駆けつけたのだが。

 それを疑似的に再現すれば植物が魔物化、いや、精霊化しないかと思ったのだ。

 ゲーム時代ではできなかった、個人的興味から来る実験である。そのうち、ある程度の大きさに育ったら無色の精霊石でも幹に埋め込んでやろうと思っている。


 ちなみに実験に使っている木は、全てリンゴである。





 一通りの実験を終え、珍しく魔力が枯渇寸前になっているので≪瞑想≫して魔力を回復させる。と、≪瞑想≫中に大勢の人がこちらに向かってくるのを≪警報≫(アラート)の魔法が教えてくれた。

 マップを確認すれば13人。視線恐怖症(トラウマ)的に許容範囲なので一応出迎える事にする。もしこの若木に何かあったら悔やんでも悔やみきれないので。



 やってきたのは冒険者風の人間達で、何人かは顔見知りである。

 全員フル装備で戦闘準備といった雰囲気である。そんな彼らのうち何人かが俺に気が付き、緊張を解いてくれた。緊急性の高い事件ではないと思ってくれたようだ。


「アルの旦那じゃねぇか。こんなトコで何してんだ?」

「果物の木の世話ですよ、ピートさん」


 最初に話しかけてきたのはピートさん。ちょっと前までターシャさんの護衛兼客を頼んでおいた人だ。ちょくちょく仕事を依頼する立場だからか、俺の事を旦那と呼ぶ。

 金払いのいい金持ちと認識されているので、それなりに信用してもらっている。


「あー。さっき旦那か誰か、デカイ魔法を使わなかったか? 俺達、トンでもねぇ魔法の気配を感じてこっちに来たんだが」

「あ、それ、俺です。世話にちょっとした道具を使ったんですよ。お騒がせしたみたいですみません」


 どうやらあの時の俺のように、使われたMPに気が付いてこっちに来たようだ。

 今後、同じ事をするなら事前に話を通さないと拙そうである。


 ピートさん以下、顔見知りの約半数は納得してくれたみたいだ。俺の事を金持と思っていたから、高価なマジックアイテムでも使ったと思っているんだろう。

 逆にこちらを不審そうに眺めている人も3人ほどいる。俺の情報を持っていないのだから当然である。11歳のガキが高価なマジックアイテムを使うとか、とんでもない魔力を持っているとか聞かされれば疑うのが道理だろう。俺の服はそれなりにいい生地を使っているので目利きができれば金持ちだと思ってもらえるのだが。この方々にはそれができないようである。まあ、揉め事を起こさないように口をつぐんでくれているので、十分に紳士的だと言えるが。

 とりあえず、「俺はお金を持ってる人間ですよ」というアピールに、近くでお酒を奢る事にする。こんな日こんな時間帯に街にいるのだから今日は仕事の無い日のはずだ。タダ酒で好感を持ってもらおう。


 タダ酒を飲めると聞かされた面々は一様に喜び、疑われないように顔を覚えてもらい、たまに依頼を受けて欲しいとお願いする。精霊石用に宝石の原石を集めたりしているので、冒険者ギルドには常に俺の“偽名”で依頼が張ってある。その話をして納得してもらう。

 完全にタダだと疑われるが、「こちらにも利益があるんですよ」と提案すると疑われずに済む。ついでに、こっちの資金力を理解してもらう事も出来るし。

 て言うかね、あんまり集まらないんだルビーの原石。宝石商が自前の冒険者で回収してる事が多いから。商売敵扱いされて宝石商からは売ってもらないし。火の精霊石を作るのにたくさんいるんだけど……。


 こうやって新たに数人の冒険者と顔をつなぎ、酒がある程度回ったところで店主に多めに支払いを済ませ、もし足りなかったら冒険者ギルドの方に行って欲しいと言伝をする。

 長時間いると俺も飲まされるので早めに逃げないとまずいのだ。この身体は酒に弱いし。飲酒は二十歳から、これがこの街この世界で通用しないのは地味に痛いよ。





 この日は帰ってからアイテム制作を行い、消耗品の補充と追加を行う。

 ダンジョンに迦月達を連れていく事を考えれば、一回それを意識した手合わせをしたいので、楓さんにその旨を伝えておく。


 リアやフィリス、ティアと少し雑談をしてから今日は寝た。

 今日は女性陣のうち何人かが早めのプールを貸し切って泳いでいたそうだ。さっそく贈った水着を着てくれるのは嬉しいが、できれば俺も誘って欲しかったというのは我儘だろうか? 一緒にいるのは気を使うし面倒だけど、なんだか仲間外れにされた気がして嫌なのだ。次に川へ泳ぎに行く約束を取り付けたのでもう安心だが。



 その約束を取り付ける際にフィリスに俺作の水着を要求されたが、それぐらいは軽い御用である。今度は仲間外れにされないと、安心して眠った。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。


8月27日 誤字修正

× ちなみに実験に浸かっている木は →

○ ちなみに実験に使っている木は

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