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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
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終戦:クエストが終わっても次が始まる

 あくる日の昼。俺はリアに叩きのめされていた。

 以前した約束を果たしたからだ。


『2週間頑張ったらリアと戦って評価してもらう』


 ずいぶん前にした約束だが、こっちの都合で一方的に延期にしてしまったやつだ。

 期日は過ぎてるし、特訓は半分の1週間しかしていない。それでも、約束に対して誠実でありたかったのだ。


 結果についてはボロ負け。完敗。

 人が来ないと断言できる16階層のボス部屋でボスを張り倒した後に戦ったのだが……惨敗である。

 リアは『アラスティア第二形態』で戦ってくれた。前回より勘は戻っていると実感できていたので、負けても惜敗にまでは持ち込めると思っていたのだが。何度か倒した事もある第二形態だから油断した、訳ではない。何度も戦い、行動パターンを読み、反射的に動ければ基本負けは無い。

 単純に、リアも成長していたのだ。戦ってこちらのモーションパターンを覚え、その隙を突くように攻め立てる。ゲーム時代に俺がやっていた事をそっくり返された形になる。

 自意識を持ち行動するリアはゲームのNPCでは無い。その事を思い出すには十分な戦闘だった。



 俺のHPやスタミナはもう回復しきっているが精神的な疲労が激しく、大の字になって倒れている。

 無理ゲーではないが、乗り越える壁の高さに頭が痛くなりそうだった。

 そんな俺を見下ろすリアが、先ほどまでの戦闘を振りかえり疑問を口にした。


「不思議。アルは何で上級戦技を使わない?」

「クラス制限。剣士系のクラスを取る枠なんて無いし。それより、魔法で汎用性を高める方が重要」

「ん? アルは頑張りが足りない」

「いやだからシステム的な制限であって、俺が怠けている訳ではない」

「クラス制限? システム? なにそれ(・・・・)?」


 ステータスウィンドウを見せる事が出来れば楽なんだが。

 クラスはメイン一つとサブ二つまで、習得がクラス依存の戦技系統なんて選択肢は俺には無かった。

 なんとなく、ステータスウィンドウを開きクラスの項目を見る。

 ゲーム時代から変わらない、三つのクラスがそこにある。当然、四つ目のクラスが記載されるスペースなど無い。


「クラスは人の大まかな才能の方向性を決めてるものの事で、最大三つまで。俺の場合、魔法剣技、召喚魔法、全上級魔法への適性がそれに当たる。つまり、上級戦技を習得する余裕なんてないの」

「よく分からない。私、もっといろいろできるし」

「ボスキャラと一般人(パンピー)を一緒にするなよ……」


 システムの枠を超えて全戦技のコンプリートとかしたら夢が広がるが、そんなチートは貰っていない。

 俺の言葉にリアは首をかしげているが、今一つ納得していない。


 体を起こし、立ち上がる。

 体に着いた砂を払って身だしなみを整え、体を伸ばし、ほぐす。


「まあ、使えたら便利ってのもあるし。多少は練習してみるよ」

「ん。アルならきっとすぐできる」


 システム外のスキルなんて無いだろうし、習得できたとしても損は無い。軽い気持ちで練習を約束する。

 リアは嬉しそうに頷き、俺の腕を取った。現在の俺は140cm強、リアが165cmぐらい。身長差があるので微妙に恰好が付かず、顔をしかめた。俺の頭はリアの肩ぐらいまでしか無いのだからしょうがない。

 こっちのちっちゃな見栄を察したリアがニヤニヤしながら腕をつかむ力を強めた。

 振りほどく事はできない。しょうがないので、そのまま帰還用のワープゲートをくぐった。





 その後、二人で街を巡る。


 学園の訓練場で迦月達3人にリアをけしかけ、俺の時と同じ「魔法なし」ルールでやらせてみる。案の定フルボッコにされた迦月達を癒し、次の場所へと移動する。

 彼女らから仕返しに、身を寄せながら歩く様を「仲のいい姉弟(きょうだい)みたい」と皮肉られ、むっとしたリアが更に密着してきた。この娘さんは対抗心が強いので煽られると簡単に乗る傾向にある。戦闘より精神面で成長して欲しいものである。


 屋台のエリアでミューゼルのところへ向かう。ミューゼル印の新作はまだ無いが、定番商品だけでも客は多い。今は客にどんな新商品が欲しいかをリサーチしているようだ。新規の顧客確保より、今のお客を逃がさないようにする方針なのかね。

 ミューゼルのところでパンケーキを二人分買う。ミューゼルはリアをまじまじと見つめた後、ウェイトレスにならないかと誘ってきた。リアは助けを求めるように俺を見るが、むしろ追撃してみた。可愛い恰好をしたリアというのも見てみたいし。


 拗ねたリアを宥めるべく、学外の屋台に向かう。リア好みの辛い肉串などはこちらでしか扱っていなかったからだ。

 何故かその屋台ではタントリス教官に出会った。この流れだとレミットさんと出くわすかなー程度に考えていたので不意打ちである。

 ただ単に、数少ないというか、たった二人の受講生が今日まで休みだから暇を持て余していたらしい。黒いオーラを出す教官に明日から授業に出ますから、と、平謝りする。

 肉串は全員分俺が支払いましたとも。俺は満腹で食べれなかったが、二人は健啖家でたくさん食べていましたとも。ストレスを食欲に変えているんですね、わかりません。


 冒険者ギルドに顔を出す。何度か依頼者になっているので顔見知りも増えた。近くに来たので、ちょっと顔を出しておこうと思ったのだ。

 中途半端な時間帯なので閑散としているギルドのロビー。受付にはエルフの娘さんがいた。

 レミットさんは最近、近くの森のまで薬草採取に出かけているそうだ。他にも街の錬金術師が使う素材を回収し、売却しているとか。ダンジョンに潜らなくなった分、戦闘の感覚が鈍るのを防ぐというのが建て前。本音は自由に空を飛びたかったから、らしい。頭の痛くなる話だが、俺が禁止したのは街中での飛行だから約束は守っている。

 少しお説教をしそうになったがここは堪え、レミットさんとはその場で別れて帰る事にした。


 帰り道、ターシャさんとキーリさんに捕まる。

 二人はちょっと早めの出勤だったので、まだ時間に余裕があったのが災いした。俺と連れ歩くリアに過剰な反応を示し、近くの服屋に連れ込まれた。

 そして始まるファッションショー、だったなら俺もまだ楽しめたのだが。「楽しみは後に取っておくものよ」といわれ2時間の放置プレイ。憐れんだ店員が仮眠スペースを貸してくれたので一人眠って待つ。そしたらリアは寝ている間に元の服に戻っていて。起きていなかったから選んだ服を見ることも叶わず。見たければ努力が必要と励まされた。

 店を出て二人と別れたあとにリアに頼んでみたが、「恥ずかしいからダメ」と言われた。確かに努力が必要なようです。



 屋敷に戻れば夕飯の時間である。

 買い食いをしたのであまり食欲は無いが、それでも用意された分は残さず食べる。使い魔を生物ベースにして残飯処理できるようにと考えたが、さすがにその為だけに使い魔を作るのは色々間違っている。一応今の使い魔も知性のあるタイプなので、気軽に増やせば拗ねてしまうだろう。


 食後、フィリスとティアのところで軽く雑談をする。3人、ソファに並んで座る。

 左隣のティアは俺の膝の上に頭をのせ、半分眠っている。もう部屋で休むように言うと、体をすりつけるようにして離れようとしない。思わず苦笑するが、可愛いので良しとする。

 右隣のフィリスはその日の仕事の話から入り、俺の今後の話に話題を移した。

 正直、クエスト終了直後なのでしばらくはのんびりしたい。クエスト中の約束のうち、迦月とレミットさんには時間を割く事になるが、他は急いですることも無い。ダンジョン攻略と新しく出来たやってみたい事に集中したいと告げる。


「やってみたい事って何なのかな?」

「リアと話している時に思いついたんだけど」


 もったいぶって間を開ける。

 明日からは学園復帰だし、そんなに時間はとれないけど。できる事は増やした方がいいよね。



「新しいアイテム制作に手を出してみようと思う」

3章終了。

いつも通り幕間を挟んで4章になります。

4章は戦闘と生産活動をメインにします。


読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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