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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
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最終決戦:アラスティアの答え

「60点」


 俺の考察に対するアラスティアの返答である。


「辛口で60点? それとも甘口?」

「……激甘で、60点」


 あまりの点数に肩を落とす俺。

 それを慰めるアラスティア。

 アラスティアから先ほどの悲しげな雰囲気は消え、リアだった頃と同じノリに戻っている。


「減点対象は私の役割。名前が変れば役割も変わる。けど、残る役割もある」


 胸に手を当て、俺を見つめる。

 その目には消して揺らがぬ強い意志が宿っていた。


慈母(エヴァ)の役割は維持される。私は子を産み、そして死ぬ。(エヴァ)はその為にいる」





 神話において母神が子を産み、命を落とすエピソードで有名なのは日本のイザナミだろう。イザナミは火の神であるカグツチを産んだ事で火傷し、死んだ。他にもギリシャ神話のメティスなどがいる。こちらは災いの子を産むかもしれないからと殺されたのだが、ちゃんと出産してる。

 地母神なら子供に命を奪われる女神が大勢いる。母としての神は権威を持つものであると同時に権威を移譲する、簒奪される事が多い。これだと大事に守り育てた子供に反逆され、最期は孫に殺されたバビロニア神話のティアマトが有名か。

 そこまで酷い目には合わなくても、それなりに酷い目に合うのならギリシャ神話のヘラだろう。旦那に何度も浮気され、自分の子供は他の女の子供と比較される。って、ここまで来ると関係ないか。

 とにかく、神話における母神というのは、損な役割を背負うものなのだ。





 とりあえず、死ぬのは了解した。OK。受け入れよう。

 では、次の話をしなくちゃいけない。


「復活はできないのか? ≪死者復活≫(レイズ)は無理でも、他に方法はないのか?」

「無い。あれば諦めない」


 断言された。

 だけど、後半の言葉に希望が見えた。


「じゃあ。もしも生き返る手段があれば、それに賭けるか?」

「あれば、だね。あるなら手を尽くす。約束していい」


 クエストを確認すると、進行していた。


 『不可避の死を回避する』


 なかなかエグイ未来のヴィジョンだな。不可避ときたか。

 しかし、『生き返る』じゃなくて『死を回避する』ね。


「そうなると、死ぬ原因の特定と排除が俺のやる事か」

「私が知ってるのは、子供を作らない事。でもそれは『リヴリア』との約束を破棄する事になる」


 そうきたか!

 名前を分けて、二律背反のクエストに仕立て上げた訳か!

 相当性格悪いな、運命の女神は! 初級クエストにこんな罠を仕込むなよ!?


 とはいえ、まだ実行の段階ではない。

 今は口約束までで許されるはずだ。

 猶予期間はちゃんとある。俺の理性が耐えている間は。


「なら、子供を産んでも死なないようにする。その方法を見つける。それで万事解決だ」

「安請け合い。本当に出来るの?」

「さあ?」

「さあ、って。アルは真剣さが足りない」


 自信満々に言いきった俺に疑問の声を上げたアラスティア。

 一切の光明が見えないアラスティアの疑念はもっともだ。だけど、本当に方法があるかどうかは俺だって知らない。保証はできない。

 あまりにも適当な返事に不満を見せる。


「無理かもしれないし、方法が見付かるのは50年後かもしれない。だからお前も手を貸せ。いや、自分の事なんだからまだ諦めるな。とにかく頑張れ。きっと、なんとかなる!」


 一見、何の根拠も何もない勢いだけの精神論だ。

 だけど、諦めたらそこで試合終了なんですよ? だったらまずは諦めない。まずはそこからである。


 だが、すでにいろいろ手を尽くしたアラスティアの心には響かない。

 色々と手を尽くし、出来る事が無くなった相手に「頑張れ」は無神経という考えもあるし。


「俺に出来る事の中でお前には出来なかった事がきっとある。俺とおまえが協力してようやく出来る事も、だ。いざとなれば他の神も巻き込んで、世界に喧嘩を売る勢いで手を尽くせばなんとかなる」


 実は、俺は性転換用の魔法が使えたりする。

 性転換して俺が出産(・・・・)する側に(・・・・)回れば(・・・)何とかなりそうな気もする。

 アラスティアがこの魔法を知っているかは知らないが、「アラスティアが出産=死」ならこんな解決策もある。

 可能な限り回避したい未来だから後20年は秘密にするけど。



 とにかく、視点や発想を切り替えればかなり無茶でも解決策は思いつく。

 諦めるのが早いというのはそれなりに考えがあるからだ。

 とにかく今は、諦めさせないのが重要である。


「世界に、喧嘩を売る……」


 アラスティアに反応があった。

 なんとかなるか?


「多少の無茶を覚悟するなら、何か出来そうな事があったとか?」

「……父様(最高神)の討伐。事実上不可能」

「ちなみに、強さはどれぐらい?」

「私じゃダメージを与えられない」

「確かに無理だな……」


 アラスティア(知ってる限りの最強)でもダメージ0ってどんだけだよ。

 ああ、でも。


「あれ? 親御さんの説得でも何とかなるんじゃないか、それ?」

父様(最高神)に人格はない。意志を切り離したシステム」


 ふと湧いた疑問が口から漏れる。

 が、現実は無情だった。あっさり否定された。いや、説得できる可能性があるなら諦めたりしないよな。しょうがないか。

 ちなみに切り離された意志は消滅したそうです。

 というより、意志を与える手段が討伐の様です。結論は不可能と言う事で。



「まあ、手段を考えるのは後でいいか」


 説得のために手段を提示したかったけど、今思いつく手段じゃクエスト中に結論が出ずに終わりかねない。

 話を本筋に戻す。


「俺を信用できるか、できないか。それだけ教えてくれ。やろうとしてる事が無理とか無駄とか、そんな理由は置いといてさ。もっとシンプルにいこう。答えを、聞かせてくれ」


 ちょっと方向性を変えて考え付いた言葉はこれぐらい。

 もうちょっとラノベとかを読んで主人公セリフを勉強すべきだったと後悔するが、今これ以上何もできないのだからしょうがない。

 対するアラスティアは、目を閉じ、自分の考えをまとめているようだ。


 1分2分と時間がたち、アラスティアの目が開く。


「信じる。アルを、最後まで信じる」



――クエスト『未来のヴィジョンを共有しよう』

――アラスティアが終了しました。


――すべての条件をクリアしました。報酬を受け取ってください。

読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。

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