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ニートに恋愛ゲームはイジメです  作者: 猫の人
3章 クエスト攻略、逆攻略
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包囲網構築:エルフの事情

 エルフのイメージは色々あるが、この世界におけるエルフは「長命種である」「森を拠点に生きている」「精霊魔法が得意」「耳が長い」「筋肉が付きにくい」となる。

 ハイファンタジーなどでは異種族との恋愛禁止や食事制限(肉類はダメ)なども付くそうだが、こちらではプレイヤーの選べる種族として、それらが解除されている。だから肉や魚を食べたり、人間と結婚してハーフエルフを作ったりすることもあるし、それらは強く忌避されない。

 異種族間結婚については日本人の男性がフィリピン人の嫁さんを連れてきた程度の感覚である。反応は個人差の範囲だ。寿命の問題があるから、多少反対されるのはしょうがないよね。

 エルフは狩人として大小様々な弓を使う。INTとDEXが高く、STRは普通に上がるがVITが上がり難い特性の為、後衛の射手・魔法使いタイプは相性がいい。「精霊魔法を上限まで鍛えようと思えばエルフ一択」とも言われる。



 目の前いにいるエルフの男性は数少ない例外で、軽めではあるが剣も扱う前衛さんだ。


「レミットの様子ですか? 以前と比べ、明るくなっていますよ。ダンジョンに潜るのはまだ無理ですが、いずれ克服するでしょう。……ええ、座学の時間に仲間を探しているようですが、まだこれはという人には出会えないようですね。私ですか? 私を頼らねばならないのでしたら、森に帰しますね。意味がない。……あなたが? いえ、別に不満とか、そういう訳ではありません。ですがあの子はまだ未熟、あなたのような上級者と一緒に行かせてもらえれば勉強になりますが、そちらの足を引っ張るだけでは?」


 彼の名前はエルキィ。姓は同じ森なので省略。名前を聞いた時に、どこぞの僧侶を思い出したのは内緒だ。

 人間に偏見がないのと、話好きな性格に助けられてそれなりに情報を得る事が出来た。

 彼も昔はダンジョンに仲間と潜っていたのだが、後輩がこの街に来る時の案内役としてこの場に留まっている。今年で40年目とか。どんだけ長生きしているのかは聞くに聞けなかった。見た目は20代の金髪碧眼細身の美形だけど、最低でも100歳以上……。さすがエルフ。

 エルキィさんはエルフ仲間が生き残る為に学園の教官みたいな事をやっている。

 彼が後輩の面倒をみるから、グリュッスタッドのエルフは生存率が高い。他のエルフがそう自慢していた。

 エルフのコミュニティは森単位で作られるので、他の森のエルフについては知らないが、これは相当すごい事らしい。犠牲が出てもこの街に来るエルフが多いのにはちょっと驚いているが、エルフの慣習と言われれば納得せざる得ない。



 エルキィさんは俺の事を冒険者として上級者扱いしている。


 実際に冒険者ギルドに加入しているが、加入しただけだ。冒険者の自覚はない。ダンジョンで手に入れたいらないアイテムを売却するだけでランクはガンガン上がっているが気にしていない。メリットも無いし。公開されないので無事だが、されたら面倒な事になる程度に思っている。もし何かあってもいくつかの冒険者グループとは“依頼主として”懇意にしているので、そこに守ってもらう心算だが。

 ちなみに、冒険者カードはあったけど、レベル表記とか水晶で個人認証できるとかそんな事はなかった。ただの免許証みたいなもので、俺ならわりと簡単に偽造できる。材料がネックになるんだよね、これ。


 彼が一般向けのではあるが秘密にしているこちらのランクを知っているのは、ついこの間ソロで13階層まで攻略し、パーティ一つを壊滅させた件に関わったから。

 オシオキ(刺青)用のアイテム()を調達してくれた縁で知り合ったのだ。

 あれは個人的研究の為に少し欲しかったが、そこまではしてくれなかった。残念。


 俺が上手く協力者の地位を得ているのも、ダンジョンに慣れた異種族の知り合いが多ければ選択肢が増えるからだ。

 レミットさんのあの一件はイレギュラーだったようで、彼も対応に苦心している。

 どうにかしたいというのはお互い一致した考えだ。


 以前ダンジョンに連れ込めたのは「仲間の仇を取る、決着をつける」という使命感を刺激したからで、同じ手は使えない。

 いっそのこと、(さら)って無理やり連れ込みたいが、入る前に入口の監視員に捕まるのでそんな事はできない。

 ポイントは「仲間を殺された」トラウマなので一人で1階層に潜らせるというのも手だが、「仲間を殺したのが他のパーティ」なのでトラウマを刺激される可能性も十分にある。1階層は初心者パーティがたくさんいるので、マップの使える俺ならともかくレミットさんが会わずに済ますのは難しいだろう。

 ダンジョンに一人向かわせ、途中で合流するのも止めておいた方が無難。

 打てそうな手は二人でいくつも出したが、そのどれもが駄目だという結果で終わっている。俺の出したアイディアぐらいはエルキィさんも思い付き、実行しようとしたり断念したり、すでにいろいろやっていたのだった。



 男二人、ああだこうだ話をして2時間ほど。

 収穫は少なかったが、この日はお開きにしようという流れになった。


「そうだ、一つお願いしたい事がありました」


 別れ際に、エルキィさんが変な事を言いだした。


「レミットの魔法を見てもらえませんか?」

「魔法、ですか?」

「あの子も中級まで進んでいますが、いずれは上級を目指したいと思っていたはずです。ですから、あなたに魔法の勉強を見てもらい仲良くなれば、一緒にダンジョンに行こうという気も起きるのではないでしょうか?」

「なかなか唐突な話ですね。……まぁ、いいですけど」

「覚えた魔法を使う場として、ダンジョンは最適ですから。よろしくお願いします」


 何か引っかかるが、申し出自体は有り難い。とりあえず引き受ける事にした。


 ん?

 13階層をソロで攻略できる実力があるのは教えたけど、上級の精霊魔法が使えるのは教えたっけ?

 あの件以前に接点はなかったし、どこで知った?

 外で上級精霊魔法を使った事ってあったっけ? ダンジョン内なら分かるけど、力を隠さず戦う時は周囲に人がいないのを確認してたし、そもそも俺の行く階層にエルキィさんはこなかったはず。瀕死のレミットさんを助けたんだから、上級の回復魔法を教えて欲しいって言うなら分かるけど……。


 まあいっか。

読んでいただきありがとうございます。

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