プレワールド
プロローグではヒロイン不在、学園タグは未来への投資です。
とあるゲームの話である。
巨大なドラゴン相手に、6人の冒険者たちが戦いを挑んだ。
彼らはゲーム内でも最高クラスの装備を集め、限界まで鍛えたスキルと戦技、魔法でドラゴンを圧倒する。
彼らの中心に立つのは人間を辞め、人を超えた亜神の魔法剣士。彼のクラスはゲーム中では「単体相手の瞬間最大出力は全クラス最高だが、育成が面倒だし何より燃費の悪さで使いにくい」と称され、意外と人気がない。
だが彼は最大MPが最も多くなるように育成を行い、弱点を克服。欠点を補うビルドのために長所がそれなりに殺されてしまったが、それでもパーティでは最強のアタッカー兼タンクとして活躍している。
今回の戦いも彼の魔法剣「極光の一閃」がドラゴンにとどめをさした。
冒険者たちはドラゴンから素材を剥ぎ取り、溜め込まれた財宝に歓声を上げる。
宝剣の一つを彼が手にすると、剣に填め込まれた宝石が輝き、辺りを包む。
その場にいたほかの冒険者たちは突然の閃光に驚きながらも周囲を警戒する。
そして冒険者たちは気が付いた。
彼がいないことに。彼に連絡ができないことに。彼の名前が思い出せないことに。
読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字、日本語の間違いなどありましたら指摘をお願いします。