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狂喜
これもまた、かなり以前に執筆していた作品です。幻聴が酷かった頃の作品だと思います。
聞こえるかい?
聞こえているよ
あの愛する妻の声
あの大事な子供達の声
あの優しい上司の声
あの厳しい上司の声
あれは少し間抜けな部下の声
聞こえているだろ?
その耳元に
聞こえているよ
この耳元で
愛の言葉を
日常の会話が
ありがたい言葉の数々
叱責ばかりの嫌な声
的外れな言葉
本当に?
本当だよ
いや 嘘だろう?
嘘なんかじゃないよ
いや 嘘だよ
違う
いや 違わない
違う 違う 違う 違う
どれだけ否定したって聞こえるモノは変わらない
だから
だから?
僕の周りの
周りの?
……
そうだよね答えられないよね?
いや 違……う……
違わない だって……
君の耳元に聞こえているのは……
君の周りの人達の
「お前みたいな役立たず! 早く死ねば良いのに!」
なんだから……さ……




