曇り空
曇っているのか、霞んでいるのか……
俺の見ている灰色の世界は、今見えはじめたんじゃない。
ずっと前、ずぅ〜と前から見えていた。
通う仕事場の最寄駅には快速が止まる。もし止まらなければ身投げしていただろう。
駅まで続く主要道路は交通量は多い。多いが信号も多い。スピード狂がいれば身投げしていただろう。
俺の住む住宅は五階にある。一階には植え込みがあり、階段の下には屋根がある。もしコンクリートが剥き出しならば、身投げしていただろう。
食欲がなく、食べ物に味を感じない。食べたい訳じゃない。食べないといけないから食べるだけ。
心と体は分離して、肉体、精神分離する。
病を治すにゃ食べねばならぬ。病を治すにゃ眠らにゃならぬ。
それでも食べるし食べねばならぬ。味がないのは病のせいで、病が全ての元凶で。
見えてる曇った灰色世界。他人に見た日もあったけど、他人に見えた灰色世界と自分自身の灰色世界。全く別の世界です。
毎日毎日死ぬこと望み、毎日毎日希望もなくて、毎日毎日生きてた訳じゃない。
それでも見えてた灰色世界。病が治るその日まで、灰色世界は見え隠れ。
曇った空の灰色世界。