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まだ見ぬ高み
約七年前の私の姿〜今
頑張れば届くと思っていた
頑張れば叶うと信じていた
あの高みへ
まだ見ぬ高みへ
蜃気楼で見えないけれど
頑張る事で近付けると信じていた
後から来た従者達
易々と私を追い抜いてあの高みへ
頑張りが足りないのだと実感した
従者達は後から後から抜いて行く
私は朝から晩まで頑張った
そして気が付けば燃え尽きていた
頑張りを評価するのは他人
私は私を評価していた
それはただの自己満足
頑張りは無駄足だった
だから
もう
頑張らない
そう決めた
筈だった
地道にコツコツすればいい
頑張らないを決めたのに
私の心は悲鳴を上げる
どうして
どうして上に行けないんだ
と……
そうしてまた
私は頑張らないを目標に
無駄な頑張りをみせている
無駄な頑張りをしてしまう
あの蜃気楼の先
どのような景色が見えるのだろう
そんな思いが心を走る
頑張れば
己の命を
己の心を
磨り減らすだけなのに




