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波状
執筆中小説一覧にあった、今の私に似た心
水面に落とした小さな破片。
全ての始まりでたった一粒の破片。
破片の周囲に広がる波紋。その波は高くなり、大きく広がり。
やがて小さく消えてゆく。
ここに落とした私の破片。
破片の周囲に広がる波紋。
破片が全ての始まりで、波紋は大きく膨らみ続ける。
見たい物だけ見えもせず。聴きたい音だけ聴こえもせずに、波紋は収縮する事を知らない。
心は波紋の中心で、波紋の辿る道を知り、身体は波紋に身を任せて、波紋の辿る道で傷を負う。
正直に生きてきた。真面目に生きてきた。少しの嘘を織り混ぜて、馬鹿正直に生きてきた。
結末は自身の破滅。
ここに落とした小さな私の破片。
周囲に大きく広がる波紋を立てて。
他人の波紋にのまれて消える。
新たな波紋……。落とすのが恐いから、ただただ立ちすくむのみ。
手にした小石を握り締めたまま……。
目を閉じ、耳を塞ぐ。
もう波紋はいらないから、私に暗闇をください。




