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ファンタジーあれこれ  作者: 長門のどか
第一幕 国家
2/3

国家に必要な要素と、おおまかな種別について

 ●焦点=

 皆さんはファンタジーに良く用いられる『国家』という存在に、一体何を思い浮かべるでしょう。


 ◆国家に必要なもの。


 ファンタジーと言えば、中世から近世にかけてのヨーロッパを舞台にする場合が多いですが、やはりファンタジー小説の醍醐味の一つは『国家』に関係する展開です。国家介入が難しい今の時代、政府という巨大な権力に対抗できる存在となり得る主人公は、カタルシスの提供においても大きな役割を果たします。

 ではまず、国家には何が必要でしょうか。一般には、次の三つが必要だとされています。


 第一に、領域:国家には領土や領海などの、他国との区分を行う明確な範囲エリアが必要です。

 第二に、国民:国家にはそこに定住し、国に貢献する国民が必要です。

 第三に、主権:国民を律し、他国からの侵略を防ぐだけの実力があること。これは財力も含まれます。


 とはいえ、これらは絶対ではありません。現代の平和圏(造語)ならいざ知らず、ファンタジーの舞台になるのは侵略が正義とされた中世や近世。今のような『侵略は悪』という倫理観など存在しません。今まさに傾こうとしている国や、戦争上等の国、絶対中立を保ち続ける(つまり周辺国からの信用がない)国など、問題がある国を設定に盛り込むのも良いのではないでしょうか。

 例えば、その『問題』をもっと深刻にしてみたとしましょう。帝国に侵略され、つまり他国の支配下にある国。こういった場合では、かつてあった三要素が他国に奪われてしまった、という状態にあることを指します。もしそのような状態にある国を舞台にするならば、国家を過去の状態に回復するという過程で、壮大なドラマを生んでくれることもあるのです。


 ◆国家の種別


 国家には幾つか種別があります。まず、主権の違いから。


 ・共和国:この種類は皆さんもご存知の通り、国民が主権を持つ国を指します。もしも国家が小さい場合は、国民全員で集まって会議を開くことも可能。これを『直接民主制』と呼び、代表者を選んでその人が主権を行使することを『間接民主制』と呼ぶ。普通は国民全員が集まれることはありませんからね。日本は当然、後者にあたります。


 ・君主国:言わずとも知れた、王、皇帝、首長、大公、教主などが主権を持つ国。これがファンタジーでは最も多い種別の国ですよね。国名は主権の持ち手によって異なり、例えば王であれば王国、皇帝であれば帝国といったふうに区別されます。また、君主が絶対的な権力を持する『絶対君主制』と、貴族や憲法から君主が制限を受ける『制限君主制』が存在します。制限の種類によって、国の方向性や属性もそれぞれ違います。


 国の大きさなどでも区別することができ、



 ・小国家:領土が小さく、国民が少ない国家を指します。それでも国家を運営できるのは、その国が特別な力をもつから(石油がよく採れる……というふうに、全ての国が持たぬ力)。逆説的に、そういった力がなくなればすぐさま崩潰するでしょう。つまり国が傾きやすい。


 ・都市国家:小国家に分類されることもあります。一つの経済圏——換言、都市が国として独立し、運営する国を指します。当然ながら、領土は小さく国民は少ないです。中世では各地の商業都市がこれに該当しました。


 ・通常国家:領土がそれなりにあり、国民もそれなりに居た普遍的国家。過去では土地間の行き来が難しかったので、交通が容易であれば容易であるほど、そこは発達します。例えば海賊の取り締まりができるほど強力な国ならば、海に関する商業が盛んになりますし、山賊が少なければ商人の旅も楽で、他国からの技術を取り入れやすいでしょう。そこら辺の問題から、中世でも国の大きさがそれぞれ異なりました。勿論、逆に土地の環境が旅に適していなかったり、山賊や海賊が跋扈するような無能な国ならば、それだけ国は小さくなります。


 ・帝国:複数の通常国家を支配する国(つまり侵略して領土を増やした大国)。普通は皇帝に支配されていますが、共和制であったり、王制であったりする場合もあります。帝国なので、その中に複数の民族や宗教が含まれることが多いです。反乱が起きることもありますが、無論軍事力は折り紙付きですので、その度に押さえつけられていました。

 

 このように国家には様々な種類があり、全く同じ二つの国家というのはあり得ません。うまく国家間の関係を組み上げ、その上で『あるべき姿』を小説に反映させれば、自ずと現実性に富んだ読み物となるでしょう(勿論、他の要素も上手に組み込んでいかなければ、しっかりとした現実性を演出できないでしょうが)。



 ●余談●


 このサイトでは王に謁見する主人公に対して無礼な貴族が登場する場面を良く見かけますが、もしそんな貴族が現実に居たならば、間違いなく上に立つ王は無能と見ていいでしょう。王が居る場でそんな態度をとるということは、貴族が王を軽視していると同義。従って貴族を抑えつける力がない王ということであり、国もおそらくは無法地帯です。

 人によっては、王宮の内情を見ただけで国の大まかな状態を理解することができたりします。

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