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異能力者がいる世界  作者: 雷田矛平
十章 決戦、科学技術研究会
265/327

エピローグ

二話同時更新。最新話から来た人は気を付けてください。

 ………………。


 …………。


 ……。



「しばらくはここで過ごすとしよう。今後の動きを決めなければな」

「そうですねえ」

 サーシャと鹿野田の会話。

 研究会本拠地から逃げた先、サーシャが用意したセーフハウスでの出来事である。


「それで……実際のところこれからどうするつもりだ?」

「彼らの前でも言ったでしょう? 『前の研究』に戻ると」

「すまない、確認だ。……そうか、あの研究に戻るのか」

 サーシャは思い返す。

 この一年間、高野彰という自分たちの手を放れたクローン人間を偶然見つけてからは、それに関わる実験ばかりを行ってきた。その間、手が回らないということで他の研究は止めざるを得なかった。

 しかしその前は、逆にクローン研究の方を停止して、別の研究を行っていたのだ。


「最後にあっちの研究に関わる実験をしたのは……ちょうど一年前か」

 一年前、彰と恵梨が出会うきっかけとなった出来事。






 恵梨の両親が殺された事件。






 この事件だけは一連のクローン人間の研究と直接関わりが無かった。

 彰は戦闘人形ドールを運用するテストだと判断していたが……確かにそういう一面があることも否めないが、しかしただ能力者と戦わせるのなら黄龍ファンロンにでも頼めば良かった。

 それでも恵梨の両親を襲わせたのは……その『前の研究』というのに必要だったから。


「……ならば研究機材が必要だな。そう考えると本拠地を潰されたのは痛いか。どうする、黄龍ファンロンを頼るか? 彼らなら金を払えば匿ってくれると思うが」

「いえ、今後国からの予算が見込めない以上、お金は大事に持っておくべきでしょう」

「それもそうか。……なら、あちらか」

「そうですねえ……あちらの組織ですね、はい」

 サーシャと鹿野田の意見が一致する。


「なら、善は急げだ。段取りは付けておく。主は休んでくれ」

「ではお言葉に甘えましょうか」

 話は終わり。部屋を出て行こうとしたサーシャだが、鹿野田が声をかけた。


「サーシャ」

「……ん? 何かまだあったか?」

「私は研究のことばかり考えてしまいますから……ええ、こうやってサーシャが研究しやすい環境を作ってくれること、感謝していますよ」

「……どうした、らしくない」

「ですねえ……一段落付いたからでしょうか?」

「らしくない……が、ありがたくその言葉は受け取っておこう」

 そして今度こそサーシャは鹿野田がいる部屋を後にした。




 サーシャは鹿野田に言った通り、連絡を取ろうとして……直前の会話が思い起こされる。

「感謝……そうか、感謝か」

 主にもそのような感情が……というのは失礼か。

 しかし……そうだな、悪くはないものだ。


「今後も私は……私だけでも、鹿野田様の傍でその研究を支え続ける」


 サーシャは思いをさらに固くした。






<十章 決戦、科学技術研究会 完>

 …………はい、と。

 というわけで、ようやく1st season『科学技術研究会』編が終わりました。


 何か一話前がすごい最終回っぽく終わりましたが、このエピローグを見て分かる感じ異能力者がいる世界はまだまだ続きます。


 十章は全編シリアスで通しました。

 バトルも三か所に分かれて、そして一章以来謎だった彰の正体も判明。主人公対ヒロインだったり、色々展開を詰め込みました。

 伏線もかなり消化してきましたが、まだ残ってるのは2nd season以降で使っていくと思います。


 十章、途中から隔日更新を貫き通しました。書き溜めも無い状況から、よくやれたと思います。


 それで今後ですが、少しデータ的なおまけを追加してから2nd seasonへの繋ぎのインターミッションをやる予定です。短編集になる予定。

 その前に少し更新を停止します。休憩です。


 十章終わったので感想とか期待していいんですかね……お願いします。質問なんかも受け付けておりますので、何か書いてもらえると励みになります。

 雷田矛平でした。


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