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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第7章 千年京都編
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第78話 神子剣士VS陰陽師

安倍晴香とのバトルです。


千歳とのバトルで見せた覚醒状態の天音の全力全開の力が見れますよ〜。

銀羅と千歳を誘拐した少女を追い、鳳凰光翼剣で空間を切り裂き、この亜空間に訪れた。

「蓮宮十三代目当主?そうか、あなたは東の破魔を操る一族の末裔ね……」

「そう言うお前は安倍晴明の子孫、安倍晴香だな?」

鳳凰剣百式で千歳を縛る光の鎖を凍らせて破壊しながら聞く。

「ええ、そうよ。それよりもあなたは『自分の大切な家族を奪い返しに来た』って言っていたけど……まさか、そこの子だけじゃなくて、この九尾の妖弧もあなたの家族なの?」

「ああ。銀羅はいずれ俺達蓮宮の一員になるからな。返してもらうぞ」

「それは、無理な相談ね……この九尾の妖弧は京都を滅ぼそうとしている。だから渡すことは出来ない」

「フザケたことを言うな。銀羅はそんな事をしない。どうしても渡さないと言うなら……」

「力尽くで奪うまで!銀羅、契約執行!!」

「何っ!?」

「ナイスだ、千歳!」

「おいで、銀羅!」

『ああ!』

千歳は顕現陣からレイジングとストリームを構えて捕まった銀羅を粒子化させて契約をする。

「アーティファクト・ギア、無幻九尾銃!!」

無幻九尾銃を構える千歳に晴香は悔しそうな表情を浮かべる。

「既に契約をしていたのか……」

「そうよ!でも銀羅は契約聖獣であると同時に私の大切な娘みたいなものよ!絶対にあなたなんかに渡さない!」

「それなら、アーティファクト・ギアごと九尾の妖弧を退治をするまでだ!来たれ、十二天将!!」

晴香の呼び声に足下に巨大な魔法陣に似た陰陽道の紋章が浮かび上がり、晴香を中心に十二の方向にそれぞれ聖獣が立ち並ぶ。

十二天将……確か陰陽道の神だったな。

「天音、どうするの?戦力は圧倒的に不利よ」

「心配するな。そろそろ来るはず――」

『『『ガァアアアアアアアアアアアッ!!!』』』

「ほら来たよ」

亜空間にヒビが入り、轟音と共にケルベロスに変身した黒蓮が殴り込んできた。

「待たせたな、天音!」

「いや、ナイスタイミングだよ!」

黒蓮に続き、既にアーティファクト・ギアを契約して手にして恭弥達冒険部のみんなが亜空間に殴り込んできた。

「あれ?知らない人がいるよ……」

「え?だ、誰だ?」

よく見ると知らない二人が一緒に来ていた。

一人はニコニコしている可愛らしい女の子で、もう一人は右目の瞼に傷がある男で二人の手にはそれぞれ刀型のアーティファクト・ギアが握られていた。

「初めまして〜、新選組一番隊組長の沖田総詞で〜す!」

「同じく、新選組三番隊組長、斎藤一士……」

「「し、新選組!?」」

あの最強剣客集団の組長が二人がどうしてここに!?

「いや〜、休暇でここに来ていたんですけど、事件が起きたので〜」

「そこにいる現行犯を捕まえに来た……」

沖田さんと斎藤さんは新選組隊士の証である背中に『誠』の文字が描かれた浅黄色の羽織を纏い、その現行犯である晴香にアーティファクト・ギアを向ける。

「安倍晴香!誘拐及び、契約聖獣殺害未遂の容疑であなたを逮捕します!」

「大人しくお縄についてもらおうか……」

警察のような言葉を並べるが、晴香は全く臆せずにカードを構える。

「私を止めたいなら力尽くで来なさい!」

「あ、やっぱりそうなります?」

「だろうな……仕方ない。助太刀するぜ、お姫様よ……」

そのお姫様は十中八九俺のことだろう。

「あ、ありがとうございます。でも俺は一応男なんで……」

その瞬間、二人は口を開けて驚いた表情を浮かべた。

「えっ!?う、うう、嘘ですよね!!?あなたみたいな人が男の子!?」

「おいおい、嘘だろ……!?」

「そこまで驚かなくても……」

いつもの事だから慣れているけど、そこまで驚かなくても良いでしょう。

「とにかく……晴香は俺が相手をします。みんなは十二天将の相手を頼みます」

「待って、天音。私も一緒に戦う!」

「千歳……分かった。一緒に行こう!」

「うん!」

俺は千歳と一緒に走り出す。

「十二天将……他の奴の足止めを頼む。天一は私と一緒に……」

『はい、かしこまりました!』

十二天将の長である天一以外の十一の天将がみんなと対峙をして戦闘を開始する。

そして、俺と千歳は晴香と天一と対峙する。

「天一、行くわよ!」

『はい!』

晴香は一枚のカードから槍を取り出した。

「契約執行!」

晴香は天一の体を粒子化させて槍と契約させる。

「天神槍……“天極星(てんきょくせい)”!!」

天一の身に着けた金細工のような飾りがついた白い槍が姿を現す。

十二天将の天一と契約したアーティファクト・ギアか……相手にとって不足はない!!

「天音、援護するよ。超銃変化!“ブラストビット”!!」

無幻九尾銃が輝くと、二丁拳銃はそのままだが千歳の周りに九つの小さな銃が現れて宙に浮いている。

あれはもしかして、ロボットアニメで出てくる遠隔操作型の小型銃器か!?

「Ready……Go!!」

九つの銃器は縦横無尽に飛び、細長いレーザーに似た妖炎弾が晴香に襲いかかる。

「ふぅ……はあっ!」

晴香は手の中で天極星を高速で回転させながら襲いかかる妖炎弾を弾き返していく。

「蓮宮流、天凛蓮華!」

双翼鳳凰剣で乱撃を放つが、それを見越した晴香はカードを俺に投げつけると右手で握り拳を作った後に人差し指と中指を立てて印を結んだ。

「爆!!」

カードが爆発を起こし、爆風によって天凛蓮華が未然に防がれた。

「くっ!?爆発する札か!?」

「このカードは私の霊力を込めて作った“神霊符”よ。まだまだ私の陰陽術はこれから!!」

九枚のカードを投げ飛ばし、高速で様々な形の印を結びながら声を発する。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!!!」

あれは九字護身法か!?それを陰陽術で使うなら……。

「黒蓮!」

『『『ガァアアアアアアアアアッ!!』』』

「九字霊光破!!」

唱えた九字と共に九枚のカードが光の球体となり、無数の光の刃となって弾け飛ぶ。

しかし、それよりも早く走ってきた黒蓮と神刀と神剣、そして魔法剣と契約を執行する。

「冥覇獣神剣!!」

三本の大剣を自分の意志で自在に操り、纏う闇の力で光の刃を打ち消す。

「やはり、複数の神器使い……それなら!」

「ブラストランチャー、Fire!!」

「なっ!?」

千歳は無幻九尾銃を超銃変化させてグレネードランチャーの姿であるブラストランチャーを発射した。

妖力をかなり圧縮した妖炎弾が晴香に近付き、晴香は天極星では防げないと判断し、カードを取り出すとそれが盾に変化する。

「玄武!!」

『任せろ!』

恭弥達と戦っていた十二天将の一柱である黒髪の幼い少年――玄武が晴香の前に現れる。

「契約執行!」

玄武と盾が契約したその直後に妖炎弾が地面に着弾して周囲数メートルを巻き込むほどの爆発が起きた。

「やった!?」

「いや……防がれている」

煙の中から亀の甲羅を模した盾を持つ晴香が現れた。

巫女装束が若干汚れていたが、傷は見あたらなかった。

「水甲盾、“玄武絶甲(げんぶぜっこう)”。全く、お陰でヒヤヒヤしたわ……騰蛇!!!」

『何だ?』

晴香の背後にヘビ柄の赤い軽装の鎧を身に着けた赤い肌の女性――騰蛇が現れる。

「このままじゃ埒があかないわ。あなたの炎で一気に決着を付ける!」

『分かった』

天極星と玄武絶甲を地面に置くと、カードから弓矢を取り出す。

「ねえ、天音。あの子ってもしかして……」

「ああ。少し信じられないが……安倍晴香は十二のアーティファクト・ギア使いみたいだな」

契約聖獣である十二天将それぞれに対応したアーティファクト・ギアを使いこなす陰陽師か……相当の力を持っていないと出来ないことだ。

そうこうしているうちに晴香は騰蛇と弓矢を契約させた。

「紅蓮弓、“火神炎蛇(かしんえんじゃ)”!!」

炎を纏う弓を持った瞬間、みんなが戦っていた他の十二天将達が一斉に消えて晴香の背後に現れる。

何だ?何で、晴香の元に集まったんだ?

火神炎蛇を構えた晴香は炎の弦を力いっぱい引くと、炎の矢が現れてそこに霊力を込めていく。

「百鬼退散!炎上浄火!!」

霊力が炎の矢に込めていくごとに炎の輝きが増していく。

霊力を日頃使っている俺はすぐに気がついた。

あの炎の矢を放ったらこの亜空間が文字通り火の海になる。

だから十二天将を下がらせたんだ。

「みんな!すぐに俺の元に来て!早く!!」

みんなを俺の元に呼び集め、霊力を身に纏いながら霊煌紋を輝かせる。

火の海からみんなを守るには……あれしかない。己の力を極限にまで高めつつ、倍増させる!

「天音、どうするの!?」

「こうするのさ!霊煌拾弐式……覚醒!!!」

詩音叔父さんが作った霊煌紋で霊煌紋の輝きがいつもより増していき、秘めた霊力も倍以上となる。

霊煌弐式・強化は身体能力を上げるのに対して、覚醒は俺の持つありとあらゆる『力』を一時的に極限まで高めて倍増させる能力を持つ。

つまり、霊力だけじゃなく身体能力も倍増させて強化させたのだ。

「霊力を増幅させたか……だけど、もう遅い!紅蓮弓、劫火滅却塵(ごうかめっきゃくじん)!!」

極限まで霊力を込めた炎の矢が火神炎蛇から放たれた。

炎は勢いを増しながら矢が地面に突き刺さり、爆炎となって辺りを焼き尽くしていき、炎がこっちに近付いてきている。

蓮宮の先代当主達よ……みんなを守る力を!!

「咲き誇れ、大輪の蓮の盾!」

両手を左右に広げ、霊力をみんなの周りに広げるように散布する。

「霊煌陸式・結界!!」

結界は一つの強力な蓮の盾を作り出すが、覚醒によって力を高めた今の俺なら出来る!

「百花繚乱!!!」

蓮の盾が文字通り百花繚乱の如く俺達の周囲に咲き乱れ、数多の蓮の盾が半球体のように構成されてみんなを炎から守る。

「白蓮!ありったけの炎を喰らえ!」

『うん!いっぱい食べる!!』

半球体の一番上の盾を消してそこから抜け出て、周囲の火の海から大量の炎を白蓮が宿る鳳凰之羽衣と鳳凰剛柔甲に吸収させる。

「天音君!残りの火は任せて!」

明日奈委員長はソロモンズブックを開いて新たな悪魔を呼び出す。

「ソロモンナンバーズ41!“フォカロル”!!」

ソロモン72柱、序列41位の悪魔でグリフォンの翼を持つ男が魔法陣から現れた。

「フォカロル!この火を全部消して!」

『……風よ、巻き起これ。海よ、荒れ狂え!!!』

フォカロルは風と海を操る悪魔……両手から作り出した風と海で亜空間を埋め尽くした火の海を一瞬で消火した。

「ありがとう、明日奈委員長!」

「こちらこそ、綺麗で堅い盾をありがとう!助かったよ!」

「さて……安倍晴香!俺達はまだやられていないぞ!」

「おのれ……東の神器使い達が……!」

ここに来て晴香はトドメを刺すつもりで放った炎の矢が破られ、唇を噛んで苦い表情を浮かべた。

「おお、凄いですね〜。あの安倍晴香さんに負けてませんよ〜」

「関東校から来たアーティファクト・ギア使い……やはりまだ世界は広いな」

一方、こっちの沖田さんと斎藤さんは俺達の活躍にとても感心していた。

「負けない……私は負けられない!!」

晴香は陰陽師として譲れない何かを持ち、霊力を解放させてカードから剣を取り出す。

「十二天将よ、一つに集え!!」

十二天将が一つの剣に全て集まり、契約執行される。

「十二天将の同時契約執行か!?」

十二天将……つまり、十二の契約聖獣を同時契約執行させる事はとても用意ではない。

だとすると、自らの力でアーティファクト・ギアの魔法陣の術式を作り替えたんだな……。

平安最強の陰陽師である安倍晴明の子孫で、現代に残る唯一の陰陽師・安倍晴香。

「天神剣……“天壌十二天(てんじょうじゅうにてん)”!!!」

十二天将と一つになった剣は美しい虹色の輝きを放つ両刃の剣となり、剣から十二天将全員分の神力が解放される。

霊煌拾弐式・覚醒の使用時間も残り少ない……決めるとしたら、あの奥義で一気に決めるしかない!

「黒蓮!!」

『『『ガウッ!!』』』

「白蓮!!」

『うんっ!行くよ!』

冥覇獣神剣の契約を解除して地面に三本の剣が突き刺さり、鳳凰之羽衣と鳳凰剛柔甲の契約を解除して元の神子装束と手甲となる。

白蓮と黒蓮が俺の両側に並び立ち、サクラとの決闘で見せた俺達の最強の力を晴香に見せつける!

「二重契約執行!鳳凰白蓮!!冥界獣黒蓮!!!」

『行くよ、黒蓮!!』

『『『グォオオオオオオオオオオオオオオオーーーッ!!!』』』

白蓮と黒蓮の咆哮が轟き、二人の粒子となって混ざり合い、三本の剣と一つになる。

そして、二つの力が一つになった黒白の大剣が姿を現す。

「アーティファクト・ギア、冥覇鳳凰剣!!!」

俺達三人の絆の証である冥覇鳳凰剣を両手で構え、アーティファクト・フォースを発動させる。

覚醒の効力でアーティファクト・フォースの力も更に高められ、今まで見たこと無いほどの力と輝きを見せた。

「天壌十二天……急急如律令!!!」

「蓮宮流剣術奥義!!!」

晴香は天壌十二天を構えて霊力を纏わせながら振るい、俺もアーティファクト・フォースを冥覇鳳凰剣に纏わせながら振るい、お互いの奥義が今ここに激突する。




「十二天之理!!!」

「黒白之終焉!!!」




十二の輝きと黒白の煌めきが亜空間内にて混ざり合うように激突するが、俺は振り下ろした冥覇鳳凰剣を上に振り上げた。

「霊煌肆式・斬撃!!」

黒白之終焉を斬撃の形にし、更に霊煌肆式で斬撃自体を大幅に強化して全てを切り裂く黒白の斬撃を放つ。

黒白の斬撃は十二の輝きを真っ二つに切り裂いた。

「ええっ!?」

驚いた晴香だが既に遅く、黒白の斬撃は晴香に直撃した。

黒白の斬撃は晴香の体を傷つけず、意識だけを奪い取った。

陰陽師・安倍晴香との戦いに勝利した俺はすぐに冥覇鳳凰剣の契約を解除してその場に座り込んだ。

「何とか勝ったな。白蓮、黒蓮」

『うん!』

『『『ワンッ!』』』

返事をしながら甘えてくる白蓮と黒蓮の頭を撫でると、沖田さんと斎藤さんが近付いてくる。

「お見事です!感動しました〜!」

「是非今度俺達と手合わせをしてくれ……」

「あ、はい。わかりました」

「じゃあ、取りあえず安倍晴香を新選組のアジトに運んじゃいますか〜」

「お前達も一緒に付いて来てくれるか?話を聞いておきたい……」

京都最強の剣客集団組織・新選組のアジトか……みんなの顔色を伺うと、みんなも行ってみたいと頷くので答えは決まった。

「わかりました。一緒に行きます」

「はいは〜い!それではご案内しま〜す!」

「すぐにアジトから迎えを出すように手配をする……」

こうして俺達は安倍晴香から事情を聞くために新選組のアジトに向かうことになった。

天聖学園・関西校から選ばれた選りすぐりの学生剣士達が集まる新選組に行くのを実は楽しみにしていた。




.

相変わらずチート過ぎましたかね?(笑)


次回は天音達が新選組のアジトに向かい、局長や副局長、更に他の組長達と出会います。

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