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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第6章 波乱の二学期突入編
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第73話 天音の覚醒

千歳と銀羅の新しいアーティファクト・ギア、無幻九尾銃の初陣です。


それと今回で二学期編は終わりで、次回から修学旅行編になります。

アリス先生が創り出した星界で修行をし、一休みをしていると千歳が大きく手を振りながら走ってきた。

「おーい、天音ー!みんなー!!」

「千歳、どうしたんだ?」

嬉しそうな表情で走ってきたので何か良いことがあったのかと千歳に伺う。

「天音!私とAGバトルの模擬戦をして!」

「良いけど……突然どうしたんだ?」

『それは私の力を皆に見せたいからだ』

聞いたことのある高い声が響くと、九つの青く輝く狐火が浮かび上がると、狐火を九本の尻尾に灯した銀羅が姿を現す。

しかし、そこにいた銀羅は以前とは全く違っていた。

銀色の毛皮が前よりも銀色の輝きを増しており、体中には歌舞伎の隈取りのような赤い文様が描かれていた。

そして何よりもその身に秘めた妖力が以前よりも強大になっていた事だ。

銀羅に何があったのか千歳に尋ねると、アリス先生が銀羅に患っていた魂の損傷や後遺症を全て治したお陰で九尾の狐としての力を取り戻したそうだ。

そして、銀羅が生まれ変わった事で千歳の新しいアーティファクト・ギアが生まれたことも……。

「わかった。それじゃあ千歳と銀羅の新しいアーティファクト・ギアの初陣を付き合ってやるよ。なっ?白蓮、黒蓮」

『ピィー!』

『『『ばうっ!』』』

「ありがとう!天音、白蓮ちゃん、黒蓮ちゃん!」

『さあ、ショータイムの時間だ!』

こうして千歳とAGバトルの模擬戦を行うことになり、近くの開けた岩場で戦うことになった。

他のみんなは観戦と言うことで、迅先輩がお茶とお菓子を用意して優雅なティータイムを始めてしまうのだった。

ちょっと羨ましかったが、今考えても拉致があかないので戦いに集中する。

「行くぜ、白蓮!」

『ピィー!……あねうえ、いくよ!』

「契約執行!!」

白蓮と契約して鳳凰武神装を身に纏うと、

『『『がお!』』』

黒蓮がジャンプして俺の左肩に乗る。

「しっかり掴まっていろよ、黒蓮!」

『『『がお、がうっ!』』』

俺と白蓮が戦っている時に黒蓮が待機する場所として肩に乗ることになったのだ。

「契約執行!!!」

千歳がレイジングとアルティナ様から贈られたストリームを掲げると、銀羅の体が粒子化してレイジングとストリームに粒子が入り込んだ。

そして、清嵐九尾よりも煌びやかな赤いラインが刻まれた銀色の二つの銃のアーティファクト・ギアが誕生した。

「アーティファクト・ギア、無幻九尾銃!!!」

「無幻、九尾銃……」

あれが千歳と銀羅の新しい力を秘めたアーティファクト・ギアか。

「さあ、行くわよ……My Sweet Honey♪」

千歳はガーディアン・カードを取り出して腕輪のガーディアン・アクセサリーを装着する。

「千歳……Are You Ready?」

俺もガーディアン・カードを取り出して髪飾りのガーディアン・アクセサリーを装着する。

「ふふっ、Ready……Start!!!」

千歳の言葉によって戦いが始まり、無幻九尾銃から妖炎弾が発砲される。

発砲された妖炎弾の弾速はいつもよりも早く、とっさに発動させた霊煌弐式・強化で視神経を大幅に強化しないと全く反応出来なかった。

「くっ!蓮宮流、紅蓮爆炎波!!」

鳳凰剣零式から炎の波を生み出してそのまま壁を作り、妖炎弾を防ぐと次に鳳凰の羽を模した刃を作り出す。

「蓮宮流、鳳凰炎刃羽!!」

降り注ぐ羽の炎刃に千歳は笑みを浮かべて無幻九尾銃を上に軽く投げた。

「見せてあげるわ、真の力を取り戻した銀羅の……無幻九尾銃の力を!!」

投げた無幻九尾銃が青の炎を灯しながら輝きを放つ。

『千歳、“超銃変化”だ!』

「OK!超銃変化!“ストームガトリング”!!」

二挺拳銃だった無幻九尾銃が一つに合体すると、銃身が束ねられた機関砲・ガトリングガンとなった。

「ガ、ガトリングガン!?」

変化したガトリングガンを千歳は構え、狙いを俺が放った羽の炎刃に向けた。

「無幻九尾銃・ストームガトリング、Fire!!」

束ねた複数の銃口から次々と妖炎弾が発射される。

ガトリングガンは給弾・装填・発射・排莢をサイクルを繰り返すことによって連続射撃を行うことが出来る。

連続射撃により炎刃は全て撃ち抜かれ、更なる妖炎弾が俺に襲いかかる。

「おぃいいいいっ!?マ、マジですか!?」

『『『ば、ばぅうううっ!?』』』

あまりの妖炎弾による攻撃量により驚いてしまい、霊煌紋を輝かせて左手を前に出す。

「霊煌陸式・結界!!」

強力な蓮の結界を作り出して防御するが、

ピシッ!ピシッ!!

妖炎弾の連射によりヒビが入り、すぐにその場から退避すると結界がガラスのように粉々に砕かれる。

生まれ変わった無幻九尾銃で、銃器の特徴である中・遠距離攻撃が更に磨きが掛かり、強力になっている。

やはり、ここは俺らしく接近戦に持ち込むしかないみたいだ。

「紅蓮裂刃!!」

鳳凰剣零式で地面を叩いて周囲に土煙を舞わせ、走って一気に千歳に接近する。

『千歳!』

「わかっているわ。超銃変化!“ストライクブレード”!!」

ガトリングガンのストームガトリングが光り、姿形を大きく変えて今度は一振りの剣の形に変化した。

「なっ!?」

それは剣の柄がリボルバー拳銃を合体させたような奇抜な剣だった。

「無幻九尾銃・ストライクブレード!ブレードチャージ!!」

千歳はグリップを握り、人差し指で引き金を引く度に狐火が込められた銃弾が刀身に膨大な熱エネルギーを与えて赤く染まる。

そして、千歳はストライクブレードを右肩に担ぎ、俺に向かって叩き落とすように振り下ろした。

この剣技はまさか!?

「見様見真似!蓮宮流、紅蓮裂刃!!」

「くっ!?」

千歳が振り下ろす直前に後ろへ回避し、その直後に振り下ろされたストライクブレードは地面を粉々に砕いて石つぶてが周囲に飛び、それが俺の結界に当たる。

まさか千歳が紅蓮裂刃を使うとは思わなかった……。

『蓮宮天音。結界エネルギー、4パーセント低下。エネルギー残量、96パーセント』

そして、石つぶてにより僅かながら結界エネルギーを削られ、千歳はストライクブレードを投げ飛ばす。

「超銃変化!“ダブルリボルバー”!!」

ストライクブレードが真っ二つに割れ、千歳が最初に手にした二挺拳銃へと変化する。

「い、いったい幾つの姿に変化出来るんだ!?」

「銀羅の九本の尻尾になぞらえて九つの変化よ!」

「九つ!?マ、マジですか!?」

「お喋りしている暇はないわよ、天音!」

「うわぁあああああっ!?」

千歳の怒涛の銃撃が俺達に襲いかかる。

一方、ティータイムをしているみんなはこんな話をしていた。

「あらあら。流石の天音も愛する婚約者の前では形無しかしら?」

「いやいやいや。形無し以前にあれはヤバいですって」

『すげーな、嬢ちゃんと銀羅!!流石だぜ!』

「カッコイイ……これはアルバムに後ろ残さなきゃ……」

『ふむ。是非ともワシと手合わせをしたいのぉ!!』

「千歳さん、無幻九尾銃を見事に使いこなしていますね」

「今までの清嵐九尾はアーティファクト・ギアとしてかなり未完成だった事か……」

「頑張るでござるよ、親方様!」

「奥様、お美しいですわ!」

「美しいぜ……千歳。流石は俺の女神だ!!」

何て言うか、みんな好き勝手言っていてのんびりとしている……。

こっちは必死なのに。

そんな中、千歳は新しい力を手に入れた嬉しさからの高揚感なのかとんでもない提案をしてきた。

「天音!この模擬戦、私が勝ったら明日一日中天音を好きにしても良い?」

「……はぁ?」

「朝から晩まで天音の事を何でもして良い権利を頂戴♪」

「……具体的に何をなさるおつもりですか?」

「バグして、キスをいっぱいして、デートをして、その後は……キャッ!恥ずかしくていえないよ〜!」

要するに俺と年齢制限がある事をやりたいんですね千歳は……。

呆れ果てる俺だが千歳は本気で瞳がメラメラと燃え上がっているように見える。

「銀羅!私と天音のラブラブな一日を築くために力を貸して!」

『千歳……お前は私の契約者である前に私の母みたいな存在だ。千歳の幸せの為に喜んで力を貸すぞ!』

もはや千歳には勿体ないくらいの献身的な契約聖獣の銀羅に思わず涙が誘った。

『それと、もしよかったら千歳と旦那の子供が出来たら是非とも私も面倒を見させてくれ』

「もちろん!数年以内に天音と私の赤ちゃんを産むから待っていてね!」

前言撤回……銀羅はどうやら千歳のハチャメチャな性格の悪い部分の影響を受けてしまったらしい。

千歳、銀蓮……二人ともどうやら少し調子に乗っているみたいだね。

まあ、調子に乗りたい気持ちは分かるけど、だからって……そんな言い分が通るほど俺は甘くないよ。

「……白蓮」

『なに?』

「黒蓮……」

『『『わう?』』』

「俺の……蓮宮最強の“切り札”を使う。付いてきてくれるか?」

トーンが一段階下がった声で白蓮と黒蓮に話しかけると、

『う、うん!』

『『『ばうばうっ!!』』』

何故か震える声で脅えるように返事をした。

あれ?俺はそんなに恐い感じで言ったっけ?

とにかく、二人の了承を得たので『あれ』を使うことにしよう。

「行くよ〜、銀羅!超銃変化!“ブラストランチャー”!!」

今度は破壊力抜群の面制圧兵器のグレネードランチャーと来た。

本当に九つの銃器……どころか兵器に変化出来るみたいだな。

「さぁ、これで一気に天音を大手にかけるよ!」

変化したブラストランチャーを構える千歳……だけどな、調子に乗るのはここまでだ。

霊煌紋に込められた霊力を解放し、霊煌紋に刻まれた霊操術を発動させる。

「霊煌拾弐式」

「え?拾弐式??」

千歳は霊煌拾弐式と聞いて、キョトンとしている。

拾弐式は十二代目当主……詩音叔父さんが作り出した霊操術だ。

初めてこの霊操術を使った時は、夏休み霊煌紋を受け継いだ後……十二の霊操術の威力や能力を確かめるために璃音兄さんと修行をしていた時だ。

この霊操術は攻撃的な術でもないし、防御的な術でもない……。

発動した瞬間から俺の全てが変わり、進化する。




「霊煌拾弐式……“覚醒”!!!」




霊煌拾弐式・覚醒を発動した瞬間、

「ふぇ……?」

ブラストランチャーを構えた千歳の敗北は決定した。



「ふぅ……んにゅ……はぇ?」

「ん?起きたか?」

目が覚めると天音の顔が近くにあった。

あれ?何で天音の顔がこんなに近くにあるんだろう……?

それと、後頭部に温かくて柔らかい感触が……。

「羨ましいぞ、天音。千歳に膝枕をしてやるなんて!」

「ひ、膝枕!?」

目で周囲を確認すると天音は正座をしていて、膝に私の頭を乗せて膝枕をしていた。

「サクラ、別に羨ましい事じゃないよ。小さい頃からよくこうやって千歳に膝枕をしてやったからな」

天音は優しい笑みを浮かべると両手で私の頭を撫でたりする。

そう言えば、私がまだ小さくて体が弱かった時、こうして天音に甘えてたくさん膝枕をしてもらったっけ?

「私、何をしていたんだっけ……?」

「覚えてないのか?模擬戦で体力を使い果たして倒れたじゃないか」

「そうだっけ……?よく覚えてない……」

「そうか。まあ、良いよ。気の済むまで俺の膝を使って良いから」

珍しいって訳じゃないけど、こんなにまで優しい天音は滅多に見られない。

「う、うん!じゃあ、もう少しだけ眠らせて?」

「ああ。良いよ」

「えへへ〜、お休みなさ〜い」

「お休み、千歳」

私は天音の膝枕と優しさで嬉しさを噛み締めながらもう一度眠りについた。



俺の膝枕でスヤスヤと眠りについて千歳の頭を撫でていると、少し離れた場所でみんながひそひそと話をしていた。

「千歳、どうやらかなりの衝撃を受けて記憶を失っているようね」

アリス先生は表情を引き吊らせながらお茶を飲んでいる。

『ピ、ピィー……』

『旦那、恐すぎるぞ……』

『『『がぅっ……』』』

白蓮、銀羅、黒蓮の三人はガタガタと脅えて体が震えている。

「雷花、わかったか?天音を怒らせると……」

「う、うん……」

『人は見た目では判断出来ないと言うが……』

『下手すれば我ら北欧の神に匹敵するぞ……』

恭弥は脅える雷花さんを宥め、悟空とトールは呆然としている。

「天音さん……本当に素晴らしいです」

「雫……お前の後継者が決まったんじゃないか?」

雫先輩と迅先輩は俺に関する何か相談していた。

「親方様……どこまでもついて行くでござる!」

「あの方が私達の主君で幸せです……」

刹那と麗奈は良く分からないけど俺に感動していた。

「天音の真の力か……あれを使われていたら、この前の決闘で天音はもっと楽に勝っていたかもしれないな……」

そしてサクラは下唇を噛み締めて俺を見ていた。

霊煌拾弐式・覚醒……その力は俺の全てを覚醒させて凌駕させる。

確かに覚醒を使えば決闘の結果はまた大きく違っていたかもしれない。

「詩音叔父さん……覚醒は本当に凄い霊操術だ。ありがとうございます」

今は亡き詩音叔父さんに向けて感謝をして千歳の頭をもう一度撫でると、あることを思い出す。

「そう言えば、もうすぐ修学旅行か……」

千年の歴史を持つ日本の西の都……京都へ九月の下旬に行くことになっている。

初めて訪れる京都に俺は本当に楽しみで今から心を踊らせていた。




しかし……イギリスに続いて修学旅行の京都でもまた新たな出会いと戦いに巻き込まれてしまうのを今の俺は知る由もなかった。




.

天音の覚醒については後の派手なバトルの為に一部省略しました。


その時まで楽しみにしていてください。


設定は修学旅行編の開始と同じくして投稿しますのでお楽しみに。


修学旅行では私の大好きな新撰組と陰陽師ネタを使いますので書くのが楽しみです。

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