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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第6章 波乱の二学期突入編
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第68話 蓮宮天音VSサクラ・ヴァレンティア

遂に天音とサクラの決闘が始まりますが、天聖学園のイベントと化してしまいます(笑)


キャラクターCV、まだまだアンケートを募集しているのでまだ投票してない方はどうぞよろしくお願いします。

m(_ _)m

三日後、千歳と黒蓮を賭けたサクラとの決闘の日がやって来た。

サクラは冥界に選ばれ、桜花の断罪者と呼ばれる程の実力者だ。

厳しい戦いになるのは予想済みだ。

決闘の内容は話し合いの結果、AGバトルで決着をつける事となった。

しかし、どこからこの情報が漏れたのか、この決闘の内容がまさかの学園中に広がってしまった。

決闘は天聖学園で一斉に注目を浴び、折角だから生徒会主催の一大イベントとして盛り上げて行くことになってしまった。

「天音……この学園の生徒は一体何なんだよ?」

「みんな、お祭り好きだから……」

俺とサクラはAGアリーナの控え室にいた。

そのAGアリーナの観客席には天聖学園の全生徒が集まって座っていた。

天聖学園の生徒はこういう何かしらのイベントの時に特に盛り上がる。

「みんな、俺とサクラの戦いを見たがっているんだよな……」

「これが日本人か……やっぱりお祭り好きって言うのは本当だったんだな」

「そうだな……」

秘密に行うはずだった俺とサクラの決闘がみんなの見物になるなんて思いも寄らなかった。

「取りあえず、着替えるか……」

「そうだな。じゃあ、後でな……」

「ああ……」

俺とサクラは一旦別れて更衣室で着替える。

制服を脱いで神子装束に着替えて気持ちを引き締める。

ふと、左手の薬指に輝く婚約指輪が目に入った。

千歳との約束が込められた指輪……ずっと生きていくと約束をした。

その約束を絶対に破るわけにはいかない。

「千歳、力を借りるぞ……」

顕現陣から誕生日に千歳に貰った翡翠の勾玉のお守りを右手首に付ける。

勾玉は戦いに赴く男がお守りとして身に着けてきた。

お守りの力があるかどうか分からないけど、少しだけ頼ってみたくなる。

この決闘は千歳と黒蓮を賭けた戦いだから……絶対に負けるわけにはいかない。

『ピィー!』

「白蓮!」

雛の姿の白蓮が戻ってきた。

今までどこに行っていたんだろう?

『ピー、ピピピィ!』

「千歳と黒蓮のところにいたのか?二人はどうだった?」

『キュルピー!』

「えっ?綺麗になっていた?どういう事?」

賭けの対象になっていた千歳と黒蓮は朝からどこかに消えていた。

どうやら恭弥と雷花さんが連れて行ったらしいが、二人は結局何も教えてくれなかった。

白蓮は俺の頭に乗り、両腕に手甲を装着して蓮煌を持つ。

「白蓮、必ず勝つぞ」

『ピョー!』

俺は白蓮と共に更衣室を出てAGアリーナのフィールドに向かう。



AGアリーナのフィールドに俺とサクラが入場する直前、実況席にて実況者がAGバトルの開催を宣言する。

『レディース&ジェントルメン!これより生徒会主催のAGバトルを開催します!』

待ちかねた観客席で生徒達は「「「オォーッ!!」」」と騒ぎ始める。

『実況は私、放送部部長の神楽坂当夜がお送りします!』

放送部部長の神楽坂当夜先輩は天聖学園の名物実況者で放送関連の仕事を請け負っている。

『今回のAGバトルのカードは注目の対戦です。我が学園のアイドルとして名高い絶世の男の娘、蓮宮天音とギリシャからの旅人、サクラ・ヴァレンティアの二人です!!』

ちょっと、神楽坂先輩。幾ら何でもその酷い説明はないんじゃないすか!?

『解説は我が学園最強の生徒会様、雨月雫さんです!』

『よろしくお願いします、神楽坂さん』

解説には雫先輩が実況席にいた。

雫先輩はこの天聖学園で最強と言われ、神槍の異名を持っているので、自分が参加しない場合はこうして実況者として座ることがあると言っていた。

『よろしくお願いします!会長は今回の決闘を生徒会主催で、このAGアリーナを使用しようとした理由は何ですか?』

『これは多くの生徒の皆さんの要望でもありました。人気者の天音さんが恋人の千歳を賭けた決闘をするという話に皆さんは燃えて是非その決闘を見届けたいと生徒会に頼んできたのです』

『それでこの決闘が実現したんですね。流石は我らが生徒会長様です!!』

雫先輩、みんなには喜ばれるかもしれませんが、こっちからするとかなり迷惑な話なんですけど……。

『更に今回はビッグなスペシャルゲストをお呼びしております!』

『みなさぁん、初めましてぇ。サクラの後見人、冥界の王ハァデス様だぜぇ!!』

ハデス、あなたは何をやっているんですか?

何で実況席に座ってスペシャルゲストになっているんですか!?

ギリシャ神話の冥界の王の登場に会場のテンションも上がってきている。

『いやー、あの有名なハデスさんが来てくれるとは予想外でした。今日はよろしくお願いします』

『こちらこそぉ、よろしく頼むぜぇ!』

『はい!それで、ハデスさん。この戦いはどうなると思いますか?』

『正直のところぉ、二人はまぁだまだ、成長段階だからこの戦いで己を更に成長させてぇ、相手を凌駕すれば勝機は見えるかもしれねえかもなぁ』

『なるほど……確かに天音さんは異例のアーティファクト・ギアでその実力をどんどん伸ばしていますので、私達天聖学園の生徒としても期待しています!』

『こっちのサクラちゃんも異例のアーティファクト・ギア使いだ……期待しているぜぇ!』

三人の実況者の元、俺のサクラの決闘が始まろうとしている。

『さあ、神楽坂さん。そろそろお呼びいたしますか?』

『戦う二人の男を戦場に呼ぶかぁ?』

『そうですね。それでは、大変お待たせしました!蓮宮天音。サクラ・ヴァレンティア。フィールドに入場して下さい!!』

神楽坂先輩から入場の命令が来た。

「行くぞ、白蓮!」

『ピィー……うんっ!』

白蓮は鳳凰の姿になって俺と一緒にフィールドへ走り出す。

フィールドに入場すると、観客席の生徒達の歓声が沸き起こり、空気が震える。

向かい側のサクラもフィールドに入場し、生徒達の歓声は最高潮になりちょっとうるさかった。

控え室から別れて着替えたサクラは俺の神子装束に比べてとてもかっこいい衣装だった。

黒を基調としたケルベロスの姿を模した鎧を身に包み、黒のマントを纏っていた。

その黒い衣装はサクラの桜髪の色が映えていて、まさにサクラの異名である『桜花の断罪者』に相応しい姿だった。

「かっこいいな、サクラ」

「ありがとよ。お前は……良く恥ずかしくないな」

「慣れた」

「そ、そうかい……それじゃあ、俺は“あいつ”を呼ぶかな!」

サクラの右目と周りの皮膚には罪人が犯してきた罪を暴くためにハデスから冥界の力を刻まれた『原罪の邪眼』の刻印が浮き出て右手から闇のオーラが現れる。

「来い……“ツバキ”!!」

自分と同じ花の名前を呼びながら地面を叩くと、地面から人間界と冥界が一時的に繋がれた渦巻き状の扉が現れる。

その中から這い出るように現れたのは巨大な三つ首の獣……ケルベロスだ。

『『『ゴォオオオオオオオオオオッ!!!』』』

ケルベロスは地上に出ると同時に咆哮を上げるが、それは黒蓮とは違う個体のケルベロスだった。

黒蓮とは微妙に声音は違うし、全身には痛々しい大きな傷がたくさんあって俺を睨みつける六つの眼光があまりにも鋭かった。

「こいつがハデスの親父から俺の波長に合った新しいケルベロス……名前はツバキだ!」

「ツバキ……今度は名前を付けたんだね」

「ああ。今度は奪われないようにな……」

新たなケルベロス・ツバキは冥界獣らしく凶暴なイメージがあった。

だけど、その凶暴なツバキと相性が良いとなると、それを抑え込むサクラの包容力が高いことを意味している。

『さあ、両方の聖獣が揃ったところで今回の決闘の賭けとなったお方をお呼びしましょう!!』

AGアリーナには観客席と実況席の別にあるVIP専用の特別席があり、そこに一人の少女が現れる。

少女の体には純白の聖なる衣装を身に包んでおり、俺達は目を疑った。

「ち、千歳ぇっ!?」

『ははうえっ!?』

「女神だ……本当の女神があそこにいる……!!」

『特別席に現れたのはウェディングドレスに身を包んだ天堂千歳さんだぁ!!』

何で千歳がウェディングドレスを……ま、まさか!?

目を凝らすと千歳の隣には雷花さんがニコニコしながら手を振っていた。

アンタかぁああああああああああ!?

裁縫は得意だとは知っていたけどウェディングドレスまで作れるとは思わなかったよ!!

ウェディングドレスの姿の千歳は本当に綺麗でサクラの言う通り女神みたいだった。

「つまり、この決闘に勝ったら女神と結婚出来るわけだな?燃えてきたぜぇ!」

「コラ、婚約者の前でそれを言うか?千歳は渡さねえよ」

「女みたいな姿をしているが、眼や性格だけは男らしいな」

「やかましいわ」

『『『ばおー!!』』』

「ん?」

可愛らしい鳴き声が聞こえ、振り向くとそこには……。

「天音!頑張れよ!」

「親方様!ファイトでござるよ!」

「気を付けて戦え、蓮宮」

「天音!負けたら承知しねえぞ!千歳ちゃんは蓮宮に嫁ぐお前の嫁さんなんだからよ!!」

恭弥、刹那、迅先輩、璃音兄さんの四人が観客席の一番前に座って俺を応援している。

刹那の膝には今回の賭けの対象である黒蓮が座って鳴き声を上げていた。

璃音兄さんは花音姉さんと共に瑪瑙を倒したサクラと俺の戦いを見届けるためにAGアリーナにいるのだ。

ちなみに女性陣は雫先輩以外は千歳の近くにいるらしい。

俺は腕を上げて四人と黒蓮に応え、再びサクラの方へ振り向いて蓮煌の切っ先を向ける。

「白蓮、契約執行……」

『行くよ、ちちうえ!』

白蓮の体は粒子化して俺の体に纏いながら三つの契約媒体と一つになり、アーティファクト・ギアの契約を執行する。

「アーティファクト・ギア、鳳凰武神装」

鳳凰の剣、手甲、衣を身に纏った戦闘形態に入るとサクラはツバキの腕を撫でながら話しかける。

「ツバキ、俺達も行くよ。契約執行!」

『『『バォオオオオオオオオオオッ!!!』』』

ケルベロスは三つ首から凄まじい咆哮を上げながらその体が黒い粒子となってサクラの頭と両腕と一つになり、人間の体を契約媒体にした異端のアーティファクト・ギアの契約を執行する。

「アーティファクト・ギア、トライファング・ケルベロス」

サクラの頭と両腕がケルベロスの三つ首を模した姿となり、その力は黒蓮よりも凶暴に感じ、どんなものにも必ず恐怖を与えるような恐ろしさがあった。

そして、お互いにAGバトルで欠かせないガーディアン・カードを取り出して上に投げる。

「「起動!」」

俺のガーディアン・カードは長髪を纏める髪飾りになり、サクラのは黒い首輪のガーディアン・アクセサリーとなり、体に体を守るための結界が発動する。

これで決闘を行うための全ての準備が整った。

『片や全てを包み込む光の剣士、片や全てを噛み砕く闇の闘士……ここに光と闇の対をなす二人の戦士が揃いました!!』

神楽坂先輩の実況が戦いを迎える俺達に言葉による花を添え、遂にその時を迎える。

『それでは、大変お待たせしました。蓮宮天音&鳳凰白蓮VSサクラ・ヴァレンティア&ケルベロス・ツバキのAGバトルを始めます。会場の皆さん、戦いの始まりを告げるカウントダウンを私と一緒に行いましょう!10秒前、10!!』

『『『9!8!7!』』』

神楽坂先輩がカウントダウンを始めると、会場にいる観客全員が一緒に声を揃えてカウントダウンを言う。

初めてこのAGアリーナで雫先輩と迅先輩を相手にAGバトルをした時を思い出す。

あの時はまだ白蓮と契約をしていなくて千歳と銀羅に頼りっきりの戦いになってしまった。

『『『6!5!4!』』』

あの時から俺の戦いが始まった……今度は千歳を守るために俺が戦う!

『『『3!2!1!』』』

サクラ、お前に千歳は絶対に渡さない。

口には出さないが、千歳は俺の大切な光……。




『0!!AGバトル、スタート!!!』




千歳は俺の女だ、必ずお前を倒す!!!

「蓮宮流、鳳凰紅蓮撃!!!」

「ダークネス・フレイム!!!」

俺は鳳凰剣零式から聖なる光の炎を放ち、サクラはトライファング・ケルベロスから闇の炎弾を放った。

バトルスタートど同時に放った二つの炎が激突して混ざり合い、爆炎となってフィールドに熱風が広がる。

『おおっと!開始早々いきなり爆炎がフィールドに巻き起こった!』

『これはぁ、二人の千歳ちゃんに対する思いが最初から爆発した感じだなぁ!』

『ええ。これは最初から白熱したバトルが期待できそうですね』

そうだ、最初から全力全開で戦わないとサクラには勝てない……俺の全てを賭けて戦う!

「さあ、It's Show Timeだ!!!」



AGアリーナのVIP専用の特別席で私は天音と白蓮ちゃんの戦いを見ていた。

「天音……白蓮ちゃん……」

私は手を合わせ、二人の戦いの無事を祈った。

『旦那と白蓮は大丈夫だろうか……』

銀羅は天音と白蓮を心配していた。

サクラとケルベロスの力はここから見ただけでもその力は一目瞭然で、流石は冥界に選ばれた断罪者と呼ばれるだけはあった。

「それにしても、奥様……お綺麗ですよ」

「んー?ありがとう、れいちゃん」

私は今、結婚式で着用するウェディングドレスを着ている。

これは雷花が作ってくれたドレスで、天音とサクラの決闘が分かった瞬間から僅か1日で作ってしまった。

本当に雷花のお裁縫技術は素晴らしいと思うほど凄かった。

もう一流のデザイナーとして就職した方が良いんじゃないかなと本気で考える。

「千歳、良く似合っている。今度はみんなにウェディングドレスを作ってあげるよ……」

雷花は私のウェディングドレスを作れて機嫌が良かった。

「ウェディングドレスか……私、結婚できるのかな?」

花音姉さんは私達と違って恋人がいないから結婚できるかどうか不安になっていた。

「何を言っているのよ。あなたには既に相手がいるじゃない?」

アリス先生はいつものようにお菓子を食べながら言う。

て言うか……そんなに食べて全然太らないってどんな体をしているんですか?

「え?誰をですか?」

「決まっているじゃない。あなたの弟の璃音よ」

「……はぁ!?」

またもやアリス先生は爆弾発言を投下した。

花音義姉様と璃音義兄様か……お似合いとはいえ言えなくもないけど……。

「ななな、何を言っているんですか!?璃音と私は双子の姉弟ですよ!!」

「良いじゃない。私はお似合いだと思うけどなー」

「タブーですよ、タブー!姉弟が結婚できる訳ないじゃないですか!!」

「いやー、でも昔は血筋を絶やさないために近親結婚は良くあったのよ。あなた、璃音の事は嫌い?」

「嫌いじゃない!璃音の事が嫌いなら今まで一緒にいないわよ!!」

丁寧語だった花音義姉様はだんだん本心をさらけ出すと同時にいつもの口調に変わっていく。

「璃音はブラコンで色々甘いところはあるけど、私達家族を何よりも大切にする男で……とってもカッコいいのよ!!」

「ふぅーん、自分の弟にそこまで言うなんてね……やっぱり璃音が好きなんじゃないの?男として♪」

散々いじられた花音義姉様は頭に怒りマークを付けたように震えだした。

「この……この年増ぁ!ロリババア魔女!!万年糖分馬鹿ぁ!!!」

ピシッ!!

今、何かが切れた音がはっきりと私達に聞こえた。

これは、アカン……私達はそう感じた。

「ふふふふふ……言ってくれるじゃない、小娘ぇ……ぶっ飛ばして魅力的で淫らな格好にした後に璃音の前に突き出してやろうかしらぁっ!?」

様々な暴言に完全にブチ切れてしまったアリス先生は魔力を解放して杖を呼び出した。

「上等よ!私達より年上だからって調子に乗りすぎよ、このババア!!」

花音義姉様は胸の谷間にある顕現陣から神弓の蓮月を取り出した。

「あー……お二人さん、暴れるならここじゃなくて別の場所でやってくれますか?」

「付いて来なさい、小娘ぇ!ギタギタにしてやるわよ!!」

「それはこっちの台詞よ、ババア。惨めな姿を蓮姫様に見せてやるわよ!!」

二人は特別席を出て行き、暴れるためにどこかに行ってしまった。

天音とサクラが戦う中で別の決闘が始まってしまうのだった……。




.

天音とサクラの決闘は始まったばかりですが、別のところでも決闘が始まってしまいました(笑)


次回は本格的に天音とサクラの決闘が行われます。

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