表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーティファクト・ギア  作者: 天道
第5章 ドタバタ夏休み編
71/172

第60話 海のトラブルと怪物!?

皆さん、お待たせしました(笑)


今回は色々とネタを入れてみました。


夏か……海じゃなくてもプールに行きたいですね。

雨月家の招待で南の島に訪れた俺達。

水着姿になった俺達を羨ましがった白蓮、銀羅、鈴音をアリス先生は擬人変身魔法で人間に変身させてしまった。

「銀羅……」

千歳は自分の娘のように思っていた銀羅をじっくり見つめている。

「どうした、千歳?」

今の銀羅は千歳よりも身長が高く、スタイルもとても良い美女になっていた。

「……ズルい!」

「何がだ?」

「お母さんの私よりスタイルが良いなんてズルいよ!」

「そんな事を言われても……」

「ああ、もう、悔しいな……雫先輩、水着の予備とかってありますか!?」

「ええ。更衣室に用意してありますよ」

「銀羅、行くわよ!」

「えっ?ち、千歳ぇっ!?」

千歳は擬人化した銀羅の手を掴んで更衣室に連れ去っていった。

多分、水着を着させるためだろう。

一方風音は自分より小さい人間になった鈴音を可愛がるようにギュッと抱き締めていた。

「鈴音、可愛い〜♪」

「は、離せ、風音!我は可愛くないぞ!」

「私、ずっと弟が欲しかったんだよ。だから、今は私がお姉ちゃんだよ♪」

「お、お姉ちゃんだと!?」

鈴音が風音の弟と言うことは、俺の弟ってことか……まあ、悪くないかな?

「ずいぶん可愛い姿になったな応竜よ。いや、鈴音と言った方がいいかな?」

鈴音を封印した張本人である蓮姫様は今の鈴音の姿を見て面白がりながら笑っていた。

「おのれ、蓮姫……」

「ほら、鈴音も着替えようね」

「ぬ、ぬぁああああっ!」

鈴音も水着を着替えさせるために風音に連れてかれてしまった。

「白蓮、お前も水着に着替えるか?」

「うん!」

白蓮も水着に着替えさせるために俺も更衣室に向かった。

擬人化した三人の聖獣を見送ったアリス先生はみんなの話しかける。

「みんな、擬人化して欲しい相棒がいたら遠慮なく言ってね♪」

「ソフィーは……遠慮しておきます。ソフィーは海が苦手ですので」

「同じく。クラウドは海が嫌いだ……」

聖なる森や天空に住むソフィーとクラウドは海が苦手らしい。

「あらそう?じゃあ、忍獣達は?」

「月姫は……遠慮するそうでござる」

「幸助は蝦蟇だから、海水が苦手で遠慮するみたいです」

忍獣石を通じて話をした月姫と幸助も海が苦手らしい。

「じゃあ、悟空とトール……って、あの二人は人型だったわね。そう言えばどこに行ったのかしら?」

そう言えばいつも恭弥と雷花さんと一緒にいる二人の姿が見られなかった。

「悟空は昔の仲間に会うために中国に里帰りしたぜ」

「トールはアース神族の王国“アースガルズ”にある宮殿“ビルスキルニル”に里帰りをしてます……」

仏と神の二人が故郷に里帰り……何かシュールな光景が目に浮かんだ。

それはさて置き、せっかく人間になれた白蓮を早く水着に着替えさせないとな。



「せーのっ!」

「わーい!」

水着に着替えた白蓮達と一緒に海へダイブする。海水を浴びた白蓮は顔を左右に振り、笑顔で俺を見る。

「白蓮、初めての海はどうだ?」

「しょっぱい……でも、きもちいい!」

「あはは、そうか!」

人間になれたことで思いっきり遊べることが出来て、とても嬉しそうだ。

「天音!」

「旦那!」

バシャアッ!

「ん?うぷぁっ!?」

振り向いた先に千歳と銀羅の姿があり、次の瞬間顔に海水が掛かった。

「うっ、くっ、ぺっぺっ!良くもやったな……」

口に入った海水を吐き出しながら千歳と銀羅を睨んだ。

「ほらほら、天音〜!こっちだよ〜!」

「私達親子に勝てるかな?」

何の勝負かわからないけど……銀羅、今のお前と千歳は親子に見えないぞ。身長が高くてスタイルの良い銀羅が並んだら下手をしたら、姉妹にしか見えないから。

「お前ら……待て!」

「銀羅、尻尾で水攻撃よ!」

「了解だ!」

九本の尻尾で海水をすくい上げて一斉に、俺にかけてきた。

「おわっ!?ちょっ、ズルいぞ!!」

「ちちうえ、まもる!」

白蓮が俺の前に出ると、背中の小さな羽が大きな翼になった。

大きな翼を羽ばたかせて、風を巻き起こし、銀羅が投げた海水を吹き飛ばす。

「むっ!?やるな、白蓮!流石は私の弟分だ!!」

本気になった銀羅は九本の尻尾のみならず両手も使い、たくさんの海水を白蓮にかけようとする。

「ぼくもまけないよ!」

白蓮は翼を羽ばたかせながら風を操り、銀羅の水掛に対抗する。

「銀羅は白蓮に任せるとして……キラーン」

「えっ?あ、天音……?」

俺は千歳に狙いを定めて走り出した。

今度は俺の番だ、千歳に海水をかけてやる!!

「待て!千歳!!」

「キャー!たーすーけーてー!!」

「逃げるな!千歳!!」

「そう言われて止まったり逃げたりしないよ!」

あらかじめ遠くに離れていた千歳を今から追いかけるのは難しい。

しかもここは海……地上と違って上手く走れない。

「それなら……!」

俺の体に刻まれた霊煌紋を輝かせて霊力を足に込める。

千歳、俺を本気にさせた事を後悔させてやるからな!

「霊煌弐式・強化!」

霊煌紋の力で脚の筋力を強化して海水の中を驚異的なスピードで走り出す。

「ちょっとぉおおおっ!?それは反則でしょおおぉおおおっ!?」

反則?だから何だって言うんだ!

いつも俺を弄んでいる借りを返してやるぜ!

「覚悟しろ、千歳ぇっ!!」

強化された脚で走り、一気に千歳の背後に回り込んだ。

「え、えっと、えいっ!!」

「どわぁっ!?」

追い込まれた千歳は何と俺に抱きついてきた。

バランスを崩した俺はそのまま後ろに倒れてしまった。幸い海の上だったからあまり痛みはなく、水しぶきが舞う。

「痛っ……千歳、危な――」

「ひゃあん!!」

「えっ……?」

俺の上に倒れ込んだ千歳が変な声を上げた。

あれ?何か触れたことのない両手に柔らかい感触が……ええっ!?

「あ、天音……くすぐったいよ……」

俺の両手が、千歳の胸を鷲掴みにしていた。

千歳は頬を赤く染めて俺を見つめている。

や、柔らかい……小さい頃から一緒にいたから余り気付かなかったけど、千歳の胸がこんなに女性らしくふくよかに育って……って、違う違う違うっ!!!

「うわぁあああああああああああっ!?ごご、ごめん、千歳ぇっ!!!」

「あんっ!!」

急いで千歳の胸から手を離して起き上がり、すぐに砂浜に上がる。

「ち、千歳、そのすいませんでした!!」

俺は熱い砂浜の上で土下座をして千歳に必死で謝る。

「べ、別に良いよ……だって……」

「だって……?」

千歳は両腕で自分の胸を抑えながら口を開いた。

「前にも言ったけど、私の身も心も全てが天音の物だから、胸をいつでも触っても良いんだよ……?」

恥ずかしがりながら言う千歳の発言に俺の理性にピシッと大きなヒビが入った。

こう見えてもまた十五歳の思春期の少年。

千歳さん、その発言はかなりヤバいよ……。

するとその時、背後に背筋が凍りつくような氷のような冷気を感じ取る。

「お兄ちゃーん?何をしているのかなー?」

「風、音……?」

後ろを振り向くと風音が双蓮を構えて憤怒の形相をしながら立っていた。

「海で千歳さんとエッチな事をするなんて……」

「いや、あれは事故で……」

「問答無用!!大人しく裁きを喰らって!!」

「また風音のヤンデレモードかぁあああああっ!?」

先日の悪夢が蘇る……最も、今回は暴走しているわけじゃないけど。

再び蓮宮兄妹による哀しき戦いが繰り広げようとするが、それは起こることはなかった。

何故なら……。

「天音!風音ちゃん!あ、あれ!!」

「「あれ?」」

千歳が指さした先には……今まで見たこともない得体の知れないものが海にいた。

白くて巨大な体躯にうねうねと動く不気味な無数の触手……あれの小さいものなら何度も見たことがある。

「タコ!?」

「イ、イカ!?」

海から現れたのはタコとイカが融合したような巨大な怪物だった。

もしかしてあれは古代から船を襲う海の怪物『クラーケン』なのか!?

どうしてこの南の海にいるのか不明だった。

クラーケンはギランと目を怪しく輝かせると無数の触手を一斉に伸ばし、的確にこの場にいる女性を捕らえ初めた。

「「キャッ!?」」

「千歳!風音!!」

千歳と風音、銀羅と麗奈と花音姉さん、雷花さんと若葉さん、そして、雫先輩と紅さんがクラーケンに捕まった。

「どうやら私達以外全員捕まってしまったようだな」

「全くだらしないわね……」

蓮姫様とアリス先生は触手をかわしてあっさり回避した。

クラーケンは捕まえた女性達を自らの触手を使って縛り上げる。

体を縛られた女性達は苦しくなり、何故か色っぽく喘いでいく。

更に、触手の先で水着の中に入ったりしている。

その光景に男共は見とれている。

リアルで触手攻めを受けている女性達……正直かなりエロかった。

って、そんな事を考えている暇はなかった!!

「ヤバイヤバイヤバイ!!早くみんなを助けるぞ!!」

「若葉、お前だけでも助けるぞ!!」

恭介さんは愛用のリボルバー拳銃を構えて叫んだ。

「契約執行!!」

触手に捕まった若葉さんの体が輝いて粒子となり、リボルバー拳銃の中に入ってアーティファクト・ギアとなる。

そうか、若葉さんはドリュアスだから契約執行で触手から逃れたんだ。

「大丈夫か、若葉!!」

『ええ、私は大丈夫よ。それより早く雷花ちゃん達を!』

若葉さんの言う通りだ、早くみんなを助けなくちゃ!

「白蓮!契約執行!」

「うん!みんなを助け――あれ?」

蓮煌を取り出して白蓮と契約執行をしようとするが白蓮の体に反応が無かった。

「契約出来ない!?何でだ!?」

「あー、ごめんね天音。擬人変身魔法を使っている時は契約出来ないのよ」

アリス先生が申し訳なさそうに言った。

「ちょっと、それを早く言ってくださいよ!!」

今の白蓮とアーティファクト・ギアの契約執行が出来ないのなら別の方法を取るしかないな。

俺の体に秘めた霊力を解放して霊煌紋を再び輝かせる。

「“霊煌伍式・刀剣”!!!」

クラーケンのような化け物を倒し、みんなを助けるために、膨大な霊力を対価に魔を祓う武器を作り出す。

放出した霊力が形を成していき、俺の周囲に数百本の武器が現れて砂浜に突き刺さった。

蓮宮五代目当主は一つの武器ではなく、あらゆる武器を使う達人だった。そこで霊力で武器を作るこの霊操術を生み出したのだ。

そして、俺が生み出したこの武器は実物や図鑑を見た日本のみならずあらゆる時代のあらゆる国の武器を思い浮かんでこの場に召喚した。

「天音!悟空が今いないから武器を使わせてもらうぞ!」

恭弥は金剛棒の代わりに俺が作った槍を取って構える。

「俺が攻撃した後にみんなを頼む!!」

召喚した全ての武器を霊力で操り、宙に浮かせる。

「斬り裂き、射抜き、砕き、貫け!!!」

俺の舞と共に武器達が踊り出し、全てがクラーケンに狙いを定める。

そして、右手で人差し指と中指を立てて拳銃の形にしてクラーケンの眉間を狙う。

「無限の剣撃 (アンリミテッド・ソードブレイク)!!!」

武器が弾丸のように一斉に発射され、数多の武器がクラーケンに突き刺さっていく。

『―――――!!!』

声にもならない絶叫を上げながらクラーケンはもがき苦しんでいった。

「今だ!!!」

男性陣のみんなが動き、クラーケンの触手に捕まった千歳達を全員救い出した。

触手で体がヌルヌルになって水着が少しズレているが、体に傷らしいものは見当たらなかったので安心した。

「みんな、良かった……」

「天音!危ない!!」

「え?」

何が危ないと聞こうとしたその時、俺は体の自由を奪われて宙に浮いた。

「えっ?ええっ!?」

いつの間にかクラーケンの触手に捕まってしまった。

クラーケンは俺の攻撃で体に傷つけられた事を恨んで俺の体を強く縛り上げていく。

「あっ、があっ、ぐあああああっ!!」

クラーケンのねっとりとした触手で体中を攻められ、俺の意識が薄れていくのだった……。



クラーケンの触手から助かった私達だけど今度は天音がその触手の餌食になってしまった。

すぐにみんなで助けに行こうとしたが、思わず止まってしまった。

何故なら……。




「ひうっ、あっ、ああっ……」




エロい。




触手に縛られている天音の姿がとてもエロかった。




天音はお義母様の六花さんの血を濃く受け継いでいるため、顔は大和撫子でとても可愛らしく黒髪長髪も素敵。

体は細いけど小さい頃から剣術や舞でかなり鍛えられている。

しかも最近はその体に刺青みたいな霊煌紋が刻まれていて不思議な魅力を出している。

私が言うのもなんだけど、天音は天聖学園で男女問わず大人気な絶世の男の娘だ。

その天音がエロい感じでクラーケンの触手攻めに合っている。

白蓮ちゃんと風音ちゃんは教育的に危ないので銀羅が目を隠しているので取りあえず安心。

天音を大切にしている璃音義兄様と花音義姉様は何故か涎を垂らして見ている。

恭弥は顔を引きつらせ、隣で天音ファンクラブの会長である雷花は片手で弟の雷輝君の目を隠しながら自前のカメラを持って触手攻めにあっている天音を激写をしている。雷花、その写真を後で渡しなさい。

せっちゃんとれいちゃんは唖然としており、恭介さんも目を点にしていた。

そして雫先輩と紅さんは何を考えているのか凝視して息を荒くしながら見つめており、迅先輩は固まっていた。

「貴様らぁああああっ!一体何しているんだ!!」

ビクッ!?

みんなが動けない時に蓮姫様の怒号が響き渡った。

「貴様ら、早く天音を助けんか!!」

「良かったわね、正常な蓮姫がいて」

そ、そうだ、早く天音を助けなくちゃ!

クラーケンにトラウマを植え付けられる前に!

私達が動こうとしたその時に水平線から二つの光が信じられない速度でこっちにやって来た。

そして、風を切る音と雷のような轟音が響きわたった。

「おらおら!天地一閃!!」

「ひき殺せ!!」

見覚えのある長い棒の一撃がクラーケンの脳天を叩き、大きな車がクラーケンをひき殺すように突撃した。

『全く、故郷から指定されたこの島に来たって言うのにいきなり海の化け物に遭遇するとはな!』

『しかもこいつはクラーケン……何故この海域にいるのだ!?』

「悟空!」

「トール!」

現れたのはそれぞれの故郷に里帰りしていた悟空とトールだった。

悟空は金色の雲の形をした乗り物の金斗雲に乗り、トールは古の神々の乗り物である戦車に乗っていた。

ただし、その戦車を引いているのは馬ではなく……。

『『メェー!!』』

二匹のヤギだった。

巨体のトールを乗せた戦車を引いているのだから普通のヤギではないことは確かだが、かなり違和感がある。

「悟空!天音を助けるために力を貸してくれ!!」

『おう!任せときな!』

「トール、あなたも!!」

『ガハハッ!ワシに任せろ!』

恭弥は右肩の顕現陣から金剛棒を呼び出し、雷花は左肩の顕現陣からピコピコハンマーを呼び出して構える。

「「契約執行!!」」

悟空とトールの体が粒子となり、二人の契約媒体と一つになり、アーティファクト・ギアの契約執行が行われる。

「如意金箍棒!」

「ライトニング・トールハンマー!」

学園ではいつも一緒にいる二人がクラーケンの触手から天音を助けに向かう。

「雷花、俺が天音を助けたらドデカい雷をぶっ放してやれ!」

「うん!来たれ……雷よ!」

雷花はトールハンマーを掲げ、上空に雷雲を呼び出して降り注ぐ落雷をその身に受け、トールハンマーに膨大な雷の力が充電されていく。

「よし!如意金箍棒、部分変化!」

恭弥は如意金箍棒を手の中で回すと、先端が鋭い刃の形となる。

恭弥がアーティファクト・ギアのシンクロ率を上げたことによって如意金箍棒の秘めた能力を引き出したのだ。

「切り裂け、刃龍砕破!!」

変幻自在に伸びる如意金箍棒で天音を捕らえた触手を切り裂いた。

海に落ちる天音の体に如意金箍棒が巻き付いて回収する。

「待たせたな、天音!」

「恭、弥……」

「雷花、今だ!!」

「うん……!!」

莫大な雷をチャージしたライトニング・トールハンマーを雷花は一気に振り下ろして全ての雷を解放する。

「爆雷撃神……ライトニング・ブレイカー!!!」

解き放たれた雷が巨体のトールの形となり、握りしめた拳でクラーケンを殴り飛ばした。

その瞬間、落雷数回分の威力の雷撃がクラーケンに襲いかかった。

そして、まっ黒こげになったクラーケンは遂に倒れて感電死してしまった。

「やったな、雷花!」

「うん、恭弥……!」

クラーケンを倒した恭弥と雷花はハイタッチをして勝利を喜び合う。

そして、クラーケンの餌食になった天音は……。

「“霊煌参式・治癒”!!」

霊力を解放させ、体に刻まれた霊煌紋の霊操術を使い、体中に金色の光を纏った。

「ふぅ……取りあえずこれでいっか」

「天音、大丈夫?」

「ああ。三代目の霊操術でなんとかな」

確か、天音の霊煌紋には歴代当主の霊操術が刻まれていると言っていた。参式と言うことは三代目が生み出した霊操術で、文字通り体の傷や体力を癒やす力を持っているみたいね。

「あーあ。しばらくはイカとタコは喰えないな……」

「私もちょっと無理かも」

クラーケンにあそこまでされたらしばらくの間はイカとタコが食べられなくなるのは当たり前だ。

「それにしても、どうしてクラーケンが現れたんだろうね?」

「さぁな……」

これは後で知ったことだが、世界各地でクラーケンが大量発生するという異常事態があったそうだ。それにより、クラーケンが大量に捕獲され、そのまま食材にされたようだ。

もっとも、私達は食べる気にはならなかったけど……。

クラーケンを退治した後は気分を入れ替え、合流した悟空とトールと一緒に海を思いっきり堪能した。



夕暮れ時には俺達は海に上がり、迅先輩が腕によりをかけて作った絶品料理と、俺が常夏のフルーツで作った絶品スイーツを振る舞った。

お腹もいっぱいになったところで主催者の紅さんがあることを発表した。

「さて、迅と天音君の美味しい料理を食べたことで部屋割りを決めたいと思う」

部屋割り……旅行で決める重要な事だ。

ここは紅さんの発言が一番だから、拒否をすることは許されない。

「私は娘の雫、それと迅と一緒の部屋だ」

「っ!?お……お待ちください!」

その部屋割りを聞いた迅先輩は目を見開いて驚いて抗議をし始めた。

「な、何故私が……お二人と一緒の部屋に!?」

「ん?何か不満か?」

「不満ではなく、私はお二人とは別の部屋の方が……」

「息子同然のお前と一緒に寝たい母の気持ちを分からんのか?」

「む、息子!?」

紅さんに息子と言われ、衝撃を受ける迅先輩。

この強気で自分勝手な発言……やっぱり雫先輩のお母さんだなと確信した。

「迅、諦めて私達と一緒の部屋ですよ♪」

「くっ……」

何も言えなくなった迅先輩はそのまま膝をついてしまった。

迅先輩……ファイトですよ。

「では、次だ。アリス先生と蓮姫さんのお二人だ」

「あら?一緒の部屋よ、蓮姫♪」

「ああ。そうだな」

アリス先生は蓮姫様に抱きついて嬉しがっている。

「次は浅木夫婦のお二人です」

「おう、分かったぞ」

「はい」

恭介さんと若葉さんは頷いて了承した。

「次は璃音君と花音君の二人だ」

「りょーかい」

「ま、いつも通りね」

兄さんと姉さんはいつも一緒にいるので特に問題はなかった。

「次は刹那君と麗奈君だ」

「心得たでござる!」

「はい!」

忍者カップルの二人も問題なし。

「次は天音君と……」

そこで紅さんの声が詰まった。

何故なら……。

「「…………」」

千歳と風音が俺を挟んで睨み合いをしていたからだ。

二人の俺を巡る気迫に紅さんは少し困った表情を浮かべて言う。

「……よし、ちょっと広めの部屋だから、千歳君と風音君。それと白蓮君と銀羅君と鈴音君の六人だ!異論は認めないぞ!」

「「……はい」」

紅さんにそこまで言われたら二人はぐうの音も出ず、大人しく頷いて了承した。

これで大半の部屋割りは決まり、後は恭弥や雷花さん達だ。

ここで紅さんは何故かニヤリと笑みを浮かべて二人を見ていた。

「恭弥君、君は雷花君と一緒の部屋だ。この旅行を二人で大いに楽しみたまえ!」

「……は?」

「え……?」

部屋割りを決められた恭弥と雷花さんは呆然としてしまった。

すぐに恭弥は正気を取り戻して抗議し始めた。

「ちょっと待った!何で俺が雷花と一緒の部屋何だよ!?悟空と一緒で良いじゃねえか!」

「その悟空君はトール君と雷輝君と一緒の部屋だ」

「何でそうなる!?」

ちなみに悟空とトールと雷輝君は……。

『別に構わないぞ。雷輝の面倒は俺達が見るし』

『ワシもだ。ワシ自身、雷輝をなかなか気に入ってるからな!』

「悟空兄ちゃんとトール兄ちゃんとお話がしたいから僕もオッケー!恭弥兄ちゃん、お姉ちゃんをよろしくお願いします!」

三人共、部屋割りに特に不満が無い様子だった。

納得出来ない恭弥は再び抗議をしようとしたが、その前に笑顔の紅さんが鍵を前に差し出した。

「異論は認めないからな?」

「……はい」

これ以上抗議が出来ないと悟った恭弥は大人しく部屋の鍵を受け取った。

恭弥と雷花……この南の島の旅行で二人がどうなるか見物だった。

ちなみに、恭介さんと若葉さんはニヤニヤしながらも二人を見守っていた。




.

海にいやな思い出ができてしまった天音君でした(笑)


それと、ちゃっかり千歳にラッキースケベも発動してしまいました。


千歳は満更ではないですが(爆)


そして、本編(?)の恭弥と雷花のイベント発生です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ