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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第4章 騎士王顕現編
50/172

第39話 王女様と慈愛の竜

突然ですが、皆さんから少しお願いがあります。

アーティファクト・ギアのキャラクターのCVを決定しようと思います。

そこで皆さんのアイデアを募って公式(?)CVを決めたいので感想か活動報告にお願いします。

m(_ _)m

今のところ、私が考えているのは天音は日笠陽子さん、千歳は榊原ゆいさんです。

「セシリア・ペンドラゴン……?」

ペンドラゴンと言う名前には心当たりがあった。はて?どこかで聞いたような……?

すると、セシリアさんは再び剣を鞘に収め、指を口に含めると指笛を鳴らした。

「来い、“ドゥン・スタリオン”!!」

『ヒヒィーン!!』

聞き覚えがある声が鳴き、軽快な足音がしてそれが大きくなっていく。俺達の前に走ってきたのは肌色の毛を持つ大きな馬だった。

肌色の大きな馬――ドゥン・スタリオンは馬具と馬装具が取り付けられており、セシリアは盗人を担いだままドゥン・スタリオンに跨り、片手で手綱を握る。

「じゃあな。縁があったらまた会おう!」

「あ、ああ!」

「ふふっ。はっ!」

セシリアさんは手綱を操り、ドゥン・スタリオンを走らせる。主を乗せたその走りはとても速く、あっという間に姿が見えなくなってしまった。

「何というか、ちょっと男勝りな豪快な人だったね」

千歳の呟いた一言に俺は同意した。初めて女の子でカッコいいと思ったのはセシリアさんが初めてだ。

「何か、また会えるような気がする……」

「天音の勘は良く当たるからあり得るかもね」

『ピィー!』

千歳が俺の腕に抱きつき、白蓮は雛に戻って頭の上に乗る。まあ、俺の勘が当たるかどうかは別として。

「さて、観光の続きをしますか」

「了解でござる!」

「今度は私達が周囲に目を光らせますのでご安心を!」

「任せるよ」

気を取り直して俺達は観光の続きをする。まだまだ行く所はたくさんある。明日の王女様の謁見まで今のうちに思いっきり楽しんで置こう。

その後、俺達は日が暮れるまでイギリスを観光し、天堂家が用意してくれた高級ホテルにチェックインした。部屋割りは学生寮と同じ俺と千歳と白蓮と銀羅、そして刹那と麗奈だった。何というか同居人が学園生活と同じ故に、特にこれといった旅行に来た独特の興奮は無く、リラックスする事が出来た。

ただ……いつもより千歳のスキンシップが大胆だったのが困りものだった。抱きついたり、胸を当てたり、服を着崩したり、キスを迫ったり……これ以上暴走するのと手が付けられないので、隙を見て刹那から貰った特製の眠り薬を使って千歳を強制的に眠らせてベッドに眠らせると、俺も隣のベッドで眠りについた。


   ☆


翌日。

ホテルで朝食をとり、俺達は目的の人物である王女アルティナ様が住んでいる宮殿にバスを使って向かった。そして、宮殿に到着すると俺と刹那と麗奈は口を開けて呆然としてしまった。

壮大な外装に豪華な装飾、手入れが行き届いた見事な庭。日本では絶対見られないヨーロッパ風の宮殿と庭に驚くしかなかった。

「す、凄い……」

「見事でござるな……」

「これが西洋の宮殿……」

「さあ、みんな。早く行きましょう」

俺達が驚いている間に千歳は門番の騎士に手紙を見せて宮殿の中に入る手続きを終わらせた。宮殿に入る前に武器を所持してないかどうか身体検査を受けたが、引っかからなかった。

俺はともかく、銃器を持つ千歳や大量の刀剣を持つ刹那と麗奈が引っかからなかったのには理由があった。それは……。

「いやー、やっぱり顕現陣は便利だね」

千歳のひらひらと見せた左手の掌には魔法陣が刻まれていた。それは俺に刻まれているのとは形状が異なるが、顕現陣である。

先日の神影流忍者の長・十蔵じいさんとの戦いから間もなくしてアリス先生は俺以外の冒険部のメンバーの体に顕現陣を刻ませた。これからいつ戦いが起きてもすぐに武器を出せるようにと、先生の計らいだ。

ただ、一つだけ納得できないことは、千歳達に刻んだ顕現陣はスタンプのような形をした魔法具であっさり刻み、痛むが一切無いというものだった。

璃音兄さんから受け取った時のあの熱い激痛は一体何だったんだ……?と思わず納得できない理不尽な気持ちになってしまった。

まあ、それはさて置き、宮殿に仕えるメイドさんに謁見室に案内されて、そこで王女様を待つことになった。高級な椅子に座り、謁見室の綺麗な装飾や高級な置物をキョロキョロ見渡して時間を潰し、しばらくすると……。

「王女様をお呼びいたしました」

ガタッ!

メイドさんがそう言うと俺達は反射的に椅子から立ち上がった。

王女様と謁見するのに座ったままでは失礼極まりないからな。そして、メイドさんが横に行き、頭を下げると謁見室に王女様が入室するが、

「チトセェッ!!!」

「おわぁっ!?」

突然、誰かが千歳にダイブしてそのまま抱き締めた。千歳はバランスを崩さないように踏ん張り、抱きついてきた人物を抱き留めた。

「おおっと、元気みたいね……アルティナ!!!」

「ええ!私はいつも元気ですよ、チトセ!」

千歳に抱きついた人物……それはこのイギリスを収める王女、アルティナ・G・セイヴァー様だった。アルティナ様は年相応の可愛らしくもしっかり者のような顔に、綺麗な空色の長髪を持っていた。身に纏う豪華なドレスは髪の色と同じで、装飾も美しく彩っていた。

「お、王女様……そのようなはしたない行為を……」

側にいたメイドさんはアルティナ様の千歳に抱きついた行為に慌てふためいていた。そりゃあ、王女様がいきなり他人に抱きついたら誰でも驚くよな。すると、アルティナ様は千歳から離れると、にっこりと柔らかい笑みをメイドさんに向ける。

「リーズ、テラスにお茶の用意を。よろしくお願いしますね」

そして有無を言わせない王女様の言葉にメイドさんはすぐに頭を下げた。

「か、かしこまりました。すぐにご用意いたします!」

メイドさんはすぐにこの場から立ち去りお茶の用意をしに行った。

「ははっ、アルティナ。言うようになったね~♪」

「チトセのお陰ですよ。せっかく大切なお友達が来ているんですから少しくらいワガママ言っても罰は当たりませんからね」

「流石~!」

……何だろう。アルティナ様の性格が千歳の悪影響を受けているのは気のせいだろうか?否……気のせいだと信じたかった。

「さて、アルティナ。私の大切な人達を紹介するね」

千歳は俺達に手を向けて紹介を始めようとする。俺は反射的にアルティナ様の前に跪き、続いて刹那と麗奈が跪く。

「お初にお目にかかれます、アルティナ王女陛下。私の名前は蓮宮天音。千歳の……天堂千歳さんの婚約者です」

あまり千歳の婚約者とは言いたくなかったが、既にアルティナ様に婚約者だと伝わっているので正直に言うことにした。

「まあ、あなたが千歳の婚約者!?」

「はい」

「本当に日本の大和撫子みたいな殿方ですね……」

「うっ……」

グバァッ!? ま、まさかアルティナ様にそんな事を言われるなんて……。

「その綺麗な黒髪……もし良ければ、触ってみても良いですか?」

「ど、どうぞ……」

アルティナ様は跪いている俺の後ろに回ると、付けていた長い白の手袋を外し、俺の黒髪を優しく撫でるように触る。

「綺麗な黒色に、サラサラしていて絡みつかない……本当にチトセの言う通り、素晴らしい髪だわ……」

「お、お褒めに預かり光栄です……」

自分の体で一番嫌いな黒髪を誉められてとても複雑な気分だけど、アルティナ様の前だから平然としなければならない。

「でしょう? 最近は私が毎日天音の髪を手入れしているのよ」

「それは素敵ね。チトセが羨ましいわ」

千歳は自慢するように言うけど、本当にこの髪は誉めたり、自慢するような代物なのか?正直、この髪の価値は俺にはわからない。満足したのかそっと髪から手を離すと、次に刹那と麗奈に話しかける。

「あなた達はチトセのお友達ですか?」

「いえ。拙者は蓮宮天音殿に仕える神影流忍者、月影刹那と申すでござる!」

「同じく、私は天堂千歳様にお仕えしております、神影流くノ一、神影麗奈と申します」

ちょっ、まっ、おいいいいいいいいいーーーっ!?!?

刹那君に麗奈君、君達何あっさりと忍者ってバラしているんだよ!? 仮にも忍者って闇の世界の住人だよね? いくらなんでもそんな簡単にバラして良いもんじゃないよね!?

「まあ!! ニンジャですか!? では、あの伝説の分身の術や変化の術を使えるのですか!?」

ってか、アルティナ様は目の前に忍者とくノ一が居ると知るなりテンションが上がってるし!! 外国人は日本文化の侍や忍者が好きなのは本当だったのか!?

「では、まずは拙者から……忍法・分身の術!!」

刹那は印を結び、忍力を体に纏うと煙が一瞬上がって二人に分身した。

「おおっ!?」

「続いて、忍法・変化の術!!」

更に忍力を纏って煙を上げると、二人の刹那は何と、俺と千歳に変化した。まさか他人に変身出来る変化の術まで使えるとは、恐れ入ったよ。

「わあっ!? チトセとアマネに本当に変化しました。凄いです!!」

そして案の定、アルティナ様は目の前で分身の術と変化の術を見られ、興奮して何度もジャンプしている。刹那は分身と変化を解くと、次に麗奈が立ち上がる。

「では、次は私が。アルティナ様……これをお受け取りください」

麗奈は懐から木の枝を取り出すと、それをアルティナ様に渡した。

「これは……木の枝ですか?」

見たところ特に特徴もない普通の木の枝だった。麗奈はこれからその木の枝に何をするのか見物だった。

「はい。少々季節外れですが、今から日本を代表する花を贈らせて頂きます」

麗奈は手に忍力を溢れ出させると、そっと木の枝を撫でるように触った。

「木遁……桜花繚乱!」

すると、ただの木の枝から芽がたくさんの吹き出し、日本を象徴する綺麗な桃色の花……大輪の桜が咲き誇った。

「え、枝から桜の花が……!?」

「私の忍術は自然の力を少し操ることが出来ます。季節が異なる花もこうして咲かせることが可能なのです」

「ありがとうございます、レイナ!! やっぱり日本の文化、ニンジャは素晴らしいです!」

麗奈の操る五遁の忍術にアルティナ様の笑顔は更に輝いた。アルティナ様に喜んでいただくと、先程のメイドさんが戻ってきた。

「王女様、お茶のご用意が出来ました」

「ありがとう。では、テラスでお茶をしましようか」

「うん! それじゃあ、行こう!」

千歳が言うと、アルティナ様の手を取ってそのまま繋いで一緒に歩き、俺達はその後に付いて行った。



宮殿のテラスに行くと、そこにはメイドさんが用意してくれたお茶とケーキがあった。

椅子に座るとアルティナ様は何かを思い出したように言う。

「そうだわ。チトセ、あなたの聖獣は何処にいるの?」

千歳はまるでその言葉を待っていたかのような笑みを浮かべた。

「ふっふっふ……そう言うと思って、Come On!  My Sweet Children!!」

手を数回叩き、千歳の背後の空間が紫色に染まる。九つの火の玉が浮かび、中から銀色の光が飛び出る。それは言うまでもなく千歳の契約聖獣の銀羅だった。アルティナ様を驚かせるためにわざわざ銀羅を別の場所に待機させてここに呼んだんだ。

「まあ、九本の尻尾を持つ狐……!?」

『左様。私は銀羅、千歳の契約聖獣だ。そして……』

『キュルピィー!!』

銀羅の体から一緒に待機していた白蓮が現れ、一瞬輝いて鳳凰化する。

『はじめまして、わたしはほうおうのびゃくれん……』

「それは確か、東洋の不死鳥ですね?」

「ええ、まあ、そんなところです」

鳳凰は西洋の『不死鳥』と呼ばれる不死と再生を司る聖なる鳥と混合されて見られる場合がある。文献で見る限り二つの存在の姿形は似てはいるが、その秘めた力は全くの別物だ。白蓮はすぐに鳳凰から雛に戻り、いつものように俺の頭に乗る。

「この子は産まれたばかりなので力を使う時だけ成長するのです」

「そうなのですか。セツナとレイナの聖獣はいないのですか?」

「申し訳ないでござる。拙者と麗奈の忍獣は日本に置いてきたでござるよ」

二人の忍獣である月姫と幸助は日本を離れたくないという理由でイギリスに行くのを断った。だが、刹那と麗奈に戦いが迫ったら忍獣石を通じて二人の召喚に応えるらしい。

「そうですか。では、私の聖獣を呼びますね」

アルティナ様は綺麗な装飾や刻印が施された小さな鐘を取り出して空に向かって鳴らした。鐘の音が空に響くと、大きな羽ばたく音が聞こえる。

『ヒュルリィイイイーーーッ!!!』

高い鳴き声が響き渡り、俺達の前に降り立ったのはトカゲに似た姿に鋭い爪と牙、そして大きな翼を持つ蛇に似た東洋龍と対をなす西洋の竜――ドラゴンだった。

しかもそのドラゴンはアルティナ様の髪色と同じ空色の龍鱗に覆われていた。そして、その空色の龍鱗に太陽の光に反射すると、美しく輝いていてまるで花壇に咲く花のようだった。そのドラゴンにアルティナ様は臆することなく近づいて、ドラゴンの頭を撫でて俺達に紹介する。

「皆さんにご紹介します。この子は私の契約聖獣、“ラベンダー・ドラゴン”の“リーファ”です」

ラベンダー・ドラゴンというドラゴンは初めて聞いた存在だ。西洋竜は水神と崇められている東洋龍と違って邪悪で凶暴な存在だと言われているが、見たところアルティナ様にとても懐いている様子だ。

「ずいぶん大人しいドラゴンだね……」

千歳はラベンダー・ドラゴンを興味深く見るとアルティナ様は少し自慢するように言う。

「当然よ。リーファは慈愛が深くて優しいドラゴンで、紅茶が大好きなんですよ」

「ええーっ!? ドラゴンが紅茶を飲むの!?」

それは俺も驚きだった。慈愛深くて優しく、更に紅茶を好むドラゴンなんてこの世に居るとは思いも寄らなかったからだ。

『初めまして、私はリーファと言います。以後お見知りおきを』

頭を下げて丁寧な挨拶をするラベンダー・ドラゴンのリーファに驚いたまま宮殿のお茶会が始まり、アルティナ様自らがティーカップに紅茶を注いでくれた。リーファは器用にティーカップを持つと、紅茶から漂う香りを楽しむと、そっと口に持って行き、そのまま紅茶を飲んだ。

『う~ん、今日の紅茶もまた美味ですね~』

リーファは美味しそうに、そして優雅に紅茶を飲んでいる。

竜種の聖獣はあまり見たことのないが、このラベンダー・ドラゴンは穏やかな性格からして全く違うタイプの聖獣だと分かった。

「チトセ、是非あなた達が見た聖獣の話を聞かせてください!」

アルティナ様は実は聖獣が大好きで俺達から日本の天聖学園で召喚された聖獣について聞いてきたので今回用事で来れなかった恭弥達の話を踏まえて色々な話をした。そのような楽しい話を三十分くらいすると……。

「失礼します、王女様……」

「あら?」

突然話に割り込んできたのは黒い衣装を身に纏った初老の男だった。

「皆さん、紹介しますわ。彼はこの国の大臣、ディルストです」

初老の大臣――ディルストは俺達に向かってゆったりと会釈をして挨拶をする。

「ディルストと申します。わざわざ日本からよくお出でになさりました……」

「どうも……」

俺達も会釈をする。だけど、どうも何かこの大臣から嫌な感じがした。雰囲気と言うか、何と言うか……まるで心に悪を秘めているような、そんな感じだった。

「王女様、お楽しみの所申し訳ないですが、もうすぐ会議の時間でございます」

「まあ、もうそんな時間?すみません、チトセ、皆さん。お茶会はここまでと言うことで……」

「構わないわ。王女様は忙しいからね。それと、明後日の誕生日パーティー、必ず行くから」

アルティナ様の誕生日パーティーは明後日にある。俺達の目的はそれに出席することだ。

「ええ。楽しみにしていますわ」

千歳とアルティナ様は別れを惜しむようにお互いを強く抱きしめてハグをする。

そして、俺達はアルティナ様とリーファと別れ、メイドさんの案内でそのまま宮殿を出た。

「さて、これからどうするか。千歳、何かある?」

明後日のパーティーまでとにかく時間はあるので千歳に意見を聞く。

「うーん、時間があるから……街の外に出て、イギリスの田舎町に行ってのんびりと過ごさない?」

「イギリスの田舎町か……良いね!行こうか」

「拙者も賛成でござる!」

「どこまでもお供いたします!」

と言うことで急遽イギリス郊外の田舎町に行くこととなった。行き当たりばったりな旅行だけど、満足するように楽しめればそれで良い。

俺達はすぐにバスに乗り、都市部の街から離れたイギリスの田舎町に向かった。


   ☆


宮殿近くからバスで一時間掛けてのどかな田舎町に到着した。

草原が広がり、大きな樹木が何十本も植えられ、所々に昔ながらの古い家が建てられていた。青い空に流れる白い雲、そして心地良い風が吹いているだけで心を穏やかにしていく。

「良いところだな」

「ええ。落ち着くし、心が安らぐね」

俺達はその辺りの草原に寝そべって青空を見上げる。背に密着した草原の草の香りが漂う。大きく息を吐き、体を伸ばして力を抜いた。このままのんびりと時間を潰そうと考えたその時だった。




「よーし、お前達。そろそろ昼飯を作りに教会へ戻るぞー」

「「「はーい!!」」」




聞いたことのある男勝りな声と元気な複数の声が耳に届く。

「この声……」

寝そべった草原から立ち上がり、声のする方を向いた。草原を歩いている複数の影、それは一人の女性を中心に複数の子供が囲んでいた。

「さーて、今日は何を作るかな……」

「私、スパゲティ!」

「サンドイッチがいい!」

「えっと、えっと……姉ちゃんが作るものなら何でも良い!」

子供達は『姉』と慕う女性に次々と抱きついて自分のリクエストを言う。

「あはははは! もう、何を作ればいいのか困るじゃねえかよ!」

女性は困ったように笑い、子供達に抱きつかれて歩きにくそうにしていた。

俺はその微笑ましい光景に微笑みながらその女性の名前を大声で呼んだ。

「セシリアさん!!!」

子供達に囲まれた女性――セシリアさんは俺の声に気付くと手を振った。

「おっ? おお! お前は昨日の観光客じゃねーか!また会ったなー!」

騎士王を目指す男勝りの少女と一日振りの再会だった。



.

ラベンダー・ドラゴンは少しマイナーなドラゴンですが、性格の優しいアルティナ様と相性がいいと思って登場させました。

次回は今回の主役(?)のセシリアさんの知られざる生活に密着します(笑)

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