表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーティファクト・ギア  作者: 天道
第2章 バトルロイヤル編
26/172

第26話 目覚めし龍神

さあ、フルボッコタイムの時間です(笑)


龍神はどうなるでしょうか?

暫くすると、暴風の牢獄はゆっくりと風の勢いが衰えていき、中に囚われた龍神は全身の力を振り絞って姉さんの光の鎖と兄さんの氷結を同時に破壊して幾つもの捕縛から自由となって解放された。

『ギャォオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

 未だに逆鱗によって暴走している龍神は怒りの咆哮を上げた。

 しかし、それが俺達にとっての三回戦の合図となる!

「Let's Crazy Party!!」

龍神が解放された瞬間千歳のダイナマイトが地面に向かって投げつけられ、大爆発する。大したダメージは与えられてないが、煙が龍神の視覚を奪い目くらましになっている。

その隙に俺達は龍神を囲むように四方八方に散らばる。

「流星、行くわよ!」

先陣を切った姉さんは蒼穹麒麟弓の弦を引き、今度は黒い矢を作り出して添える。

「蒼穹麒麟弓肆式、角端黒蓮陣(かくたんこくれんじん)!」

放たれた黒い矢が漆黒の流星となり、龍神の真下の地面に命中する。すると、地面に命中した漆黒の流星から半径数十メートルに渡り、地面が黒く染まった。

それはまるで夜の暗き闇に染まった湖のようだった。

「冥界の触手よ……澪を捕らえよ……」

姉さんがドスの効いた声が黒く染まった地面に反応し、中から触手みたいな不気味な物が無数に現れ、龍神の体に絡み付いた。あれは一時的に現世と冥界を繋いで、冥界にあると言われる触手で敵を捕らえ、更に捕まえた敵の体力を奪う技らしい。我が姉ながら何とも恐ろしく、不気味な技を持っていて思わず背筋に寒気が走った。しかし、これで龍神の動きを完全に封じることは出来た。後は一斉攻撃で龍神の目を覚まさせるだけ。

始めに雷花さんがトールハンマーを振り上げて呟くように言う。

「鳴神雷花とトール……行きます……」

トールの力で上空に雷雲を呼び出し、雷花さんに向かって真下に雷が落ちてくる。その落雷をトールハンマーが受け止め、雷がハンマーに充電されると同時に地面に振り下ろす。

「爆雷閃嵐……ライトニング・ボルテックス!!」

充電したばかりの膨大な雷を全て解放して、触手に捕らわれている龍神を襲う。

雷によって龍神は感電させ、体中から煙が出ているが雨などの天候を操る力を持つ龍神には意外にも効果は少し薄いらしく、逆に怒りに身を任して上空に雷雲を呼び出して学園のあちこちに落雷を落としている。このままだと龍神の頭を冷やす前にこちらが感電してしまう。そうならないために生徒会副会長の迅先輩が攻める。

「……参る!」

降りかかる落雷を最強の楯、イージス・オブ・ペガサスで防ぎながら龍神の懐に入り込む。

「破魔……」

右腕の破魔之御剣から飛び出ている複数の刃が鋭く伸びる。特に五本の指の爪は十倍近く伸び、手首の牙のような刃は一回りも巨大化する。

天狼爪牙斬(てんろうそうがざん)!!」

まるで巨大な狼が龍神を狩っているような強烈な攻撃で、鋭い爪と牙の刃が龍神をの肉体全体を切り刻む。表面を覆う龍鱗を切り刻まれ、宙にその龍鱗の破片が散り、光に反射して輝く。

『グォオオオオオーッ!!』

龍神は苦痛の叫びを上げ、それと同時に雷雲から雷が降るのが止んだ。すると、龍神を縛り上げていた冥界の触手が切れて自由となってしまったが、触手がジワジワと体力を奪っていったから、龍神も大分弱っている。

「よし、一気に行くぞ!!」

この機を逃す手はなく、兄さんを筆頭に一気に攻め立てる!

霊閃氷帝剣を掲げ、周囲の空気から酸素と水素を取り込んで水を生み出し、それを冷気で凍らせて巨大な氷塊を作り出す。

「澪……ちったぁ、我慢しろよ!!」

兄さんは何と、氷塊を足でサッカーボールのように蹴り飛ばした。

「蓮宮流、大紅蓮氷塊烈波(だいぐれんひょうかいれっぱ)!!」

氷塊は龍神の頭に激突した。龍神は頭に強烈な衝撃を受け、氷塊は木っ端みじんに砕かれた。

「ははっ、すげぇぜ。璃音さん!こりゃあ、俺も負けてられないぜ!!」

璃音兄さんの力に感銘を受けた恭弥は走り出し、如意棒を伸ばして棒高跳びのように上空へ跳んだ。そして、前に一回転しながら如意棒を長く伸ばした。

「如意棒、天地開闢閃!!」

一回転した勢いのまま伸ばした如意棒で龍神の体を叩く。

バキッ!!

と、何やら耳に残る嫌な音が響き渡る。絶対にあれは龍神の骨が折れた音だ。どこの骨が折れたかわからないけど、間違いない。可哀想だけど、もう少しだけ待ってくれ。

「千歳!」

「ええ、任せて!」

俺は鳳凰剣零式を地面に突き刺し、紅い炎ではなく白蓮特有の光り輝く白い炎を刃から吹き出す。この炎は龍神を焼くためのものじゃない。

「鳳凰に宿りし聖なる白き炎よ……穢れし力を浄化せよ!」

瑪瑙に操られ、罪を犯して穢れてしまった魂を浄化するための聖なる白い炎。その炎を千歳の手にある清嵐九尾に吸収させる。いつもは銀羅の青い狐火を使っているが、今回使うのは白蓮の白い炎。その炎を清嵐九尾の中で凝縮させて浄火の弾丸を作り出し、後は龍神の穢れた魂を撃ち抜くだけ。

両手で構える清嵐九尾から白い光が輝き、千歳は人差し指を引き金に添える。

鳳凰聖炎弾(ほうおうせいえんだん)聖光白蓮破(せいこうはくれんは)!!」

引き金を引いた瞬間に撃鉄が銃弾を叩き、銃口から白銀に輝く銃弾が放たれる。白銀の弾丸はすぐに龍神の体内に入り、弾丸に込められた聖なる炎を燃え上がらせる。だが、その炎で龍神が苦しむことは無い。穢れた魂を少しずつ浄化していく。

 後もう一仕事で全て終わる。龍神を救うための最後の役目を担うのは……。

「雫先輩!!」

 頼れる天聖学園生徒会長、雨月雫先輩だ。

 俺の声に微笑む雫先輩の手には獲物であるユニコーン・ザ・グングニールは無い。

 何故なら、既に別の場所に配置してあるからだ。

「アンリミテッド・グングニール・ファンタジア!!!」

 次の瞬間、無数のユニコーン・ザ・グングニールが龍神を囲んでいた。

既に呪文を詠唱し、いつでも発動出来るようにしていた雫先輩の奥の手である“無限なる幻想の神槍”こと、アンリミテッド・グングニール・ファンタジアが顕現し、逃げられないように配置して囲んだ。雫先輩は全ての幻想の神槍を操っている両手を勢い良く振り下ろした。幻想の神槍は高速で飛ばされ、全てが龍神の肉体に突き刺さった。

『グルゥ――……?』

龍神は痛みの悲鳴を上げようとしたが、キョトンとした腑抜けた声を上げた。幻想の神槍は確かに龍神の体に突き刺さったが、痛みは全く無く、しかも体から体液が一滴も出ていない。雫先輩は龍神にトドメを刺すためにアンリミテッド・グングニール・ファンタジアを使ったのではない。

「奏でましょう、癒しの音色を……」

全ては逆鱗を抑え、魂の穢れを浄化した龍神の傷を癒すためだ。

「ヒーリング・シンフォニア!!」

幻想の神槍からユニコーンの持つ癒しの力が龍神の体に直接流し込まれ、俺達が逆鱗を抑えるために攻撃してしまった全ての傷が癒えていく。その際に辺りには心を穏やかにする不思議で心地よい音色が響いていく。そして、龍神の全ての傷が癒えた瞬間に体中に突き刺さった幻想の神槍は一瞬のうちに消え去った。

「治療……完、了……です、わ……」

癒しの音色を奏でていた奏者の雫先輩は疲れ切った表情で倒れてしまった。

「雫……!!」

颯爽と迅先輩が駆け寄り、倒れた雫先輩をお姫様抱っこで抱き上げる。

「迅……少し疲れましたから、後はよろ……し……く……」

「……任せろ」

 雫先輩は迅先輩に後を託すと意識をすぐに手放し、深い眠りについた。

 癒しの力を使うには酷く力を消耗してしまう。もし人間ぐらいの大きさならユニコーン・ザ・グングニール一つだけで済み、今のようにそこまでは疲れなかったが、体の龍神だとなるとアンリミテッド・グングニール・ファンタジアの無数の神槍を使わなければ完全に癒すことはできなかった。雫先輩は全ての力を使う覚悟で龍神の傷を癒すことを了承してくれた。

「雫先輩、ありがとうございました……」

 後で改めてお礼を言うが、俺は眠っている雫先輩に向かって頭を深く下げた。

「天音……見て」

 千歳が指でさした方には逆鱗が止み、魂の穢れを浄化し、全ての傷を癒した龍神が起き上がったところだった。先程と違って、龍神はすごく穏やかで優しい目をしていた。纏う空気も龍神らしい神聖な気だった。

 龍神はキョロキョロと周囲を見渡し、そして地面にいる俺達を見下ろした。

『私は……今まで何を……?』

 それが、俺達が聞いた龍神――澪の第一声だった。



.

取りあえず、みんなの頑張りで龍神こと澪は目を覚ましました。


ですが、これで終わりではありません。


まだ瑪瑙がいますので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ