表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーティファクト・ギア  作者: 天道
第2章 バトルロイヤル編
25/172

第25話 集いし仲間

さて、龍神の暴走に天音はどう立ち向かうか?


そして、決戦に向けてAGの現段階の最強パーティーが揃います。

偶然俺は龍神の逆鱗に攻撃してしまい、龍種にとって最も危険な逆鱗暴走状態を起こしてしまった。操られながらも龍神は逆鱗を触れたと言うか攻撃した張本人である俺をギロリと睨みつける。それを見た龍神を操っている瑪瑙は腹を抱えて大笑いをする。

「はははははっ!これは面白ぇ事になりやがったなぁ。まさか、小僧が逆鱗に触れるとはなぁ……何が起こるか見物だぜぇ!」

龍神から神力を提供してもらい、張り続けている強力な結界の中で高みの見物をして笑う瑪瑙に思わずムッとなるが、龍神の次の行動に俺達は目を疑うことになる。龍神の凶悪な視線は俺から外し、何故か今度は自らを操っている瑪瑙を睨みつけた。

「あぁ? 何やってんだよ、さっさと小僧を――」

『ギュァアアアッ!!』

「喰っちま――」

パクッ……ゴクン!

その言葉を最後に瑪瑙は俺達の前から姿を消した。何故なら、龍神が一瞬の内に口を大きく空けて瑪瑙を結界丸ごと呑み込んだからだ。場に食べ物を食べた時、喉に物が通る微かな音が響いた。目の前で人が食べられる光景を目の当たりにした俺達は信じられない気持ちに陥った。

「瑪瑙を……操っている自分の主を喰った……?」

「う、嘘……?」

「ま、マジ、かよ……?」

「な、何が……起きているの……?」

瑪瑙を食べた龍神は再び視線を俺に向けて口を開けて咆哮を上げて俺に襲いかかる。

『グルゥ……グルゥアアアアアアアアアアッ!!!』

「っ!?みんな、俺から出来るだけ遠くまで離れろ!!」

襲いかかる龍神から逃げるため、そして千歳達を巻き込ませないために鳳凰之羽衣の双翼を急いで広げて空高く飛んだ。

『グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』

「くっ……!?」

全速力で飛翔しているが、蛇のように体をくねらせながら飛ぶ龍神の方が早く、すぐに俺に追いついた。

「ちっ!!」

大きな口を開いて俺を真正面から喰らおうとする。だが、生憎俺は喰われるわけにはいかないんだよ!!

「蓮宮流、紅蓮爆炎波!!」

炎を纏わせた鳳凰剣零式で龍神の口の中に向かって炎を放出した。いくら龍神とはいえ、多くの生物の弱点である口の中を攻撃されればダメージも大きいはずだ! しかし、この時の俺は龍神の持つ属性の事をすっかり忘れていた。龍神は口に瞬時に膨大な水を溜め、それを大砲のように一気に発射した。

「なっ!!?」

炎は全て水で消され、蒸発した大量の水蒸気が周囲に拡散する。しまった、龍神は水神や海神として奉られている事をすっかり忘れていた!そうでなくても大半の東洋龍は水属性を有している。こんな簡単な事を忘れてしまうなんて……俺は単純なミスを犯してしまった。龍神は口を開けたまま俺の目の前まで近づく。もうダメかもしれないと目を瞑った。

「天音ぇえええっ!!」

千歳の悲鳴のような声が聞こえる。ごめん、千歳……。




「ったく、諦めるなんて、お前らしくないぜ?天音」




「えっ?」

「蒼穹麒麟弓、参式!索冥白蓮閃(さくめいびゃくれんせん)!!」

後ろから声が聞こえた後に、俺を喰おうとした龍神の体を一本の光の鎖で縛られて動けなくなった。その光の鎖を生み出していたのは、白い光を放つ流星だった。

「白い……流星……?」

「ふぅ……間一髪って、ところかな?」

地上には蒼穹麒麟弓で矢を放った体勢を取る花音姉さんがいた。

「か、花音姉さん!!」

「天音!諦めるにはまだ早いぜ!!」

背後から肩をポンと叩かれ、振り向くとそこには血だらけで瀕死の状態から回復した璃音兄さんが立っていた。

「璃音兄さん!!」

「璃音、今のうちに澪を!」

「ああ。行くぜ……轟牙っ!!」

璃音兄さんは霊閃氷帝剣から凍り付くような霊気を漂わせる。そして、空気がそれに合わせるかのように不気味な霧が龍神包み込んだ。

「蓮宮流、氷蓮霊封結界(ひょうれんれいほうけっかい)

霊気が溢れ出すように霊閃氷帝剣から飛び出し、龍神を包む霧と一つとなって冷気と化した。冷気は周囲の空気から水分を強制的に凍らして龍神の体を凍結させていく。しかし、龍神は凍結していく中、体を無理矢理動かして凍結から逃れようとする。

「ちっ、流石に抗うか……」

兄さんは舌打ちをし、もう一度霊閃氷帝剣で龍神を凍結しようとしたその時、

「あの龍の動きを止めたいなら、俺に任せろ……」

「じ、迅先輩!?」

声を掛けて俺と兄さんの前に出てきたのは先程別れたばかりの迅先輩だった。しかし、今の迅先輩はいつもの姿ではなかった。それは、右腕がまるで剣のように変化していた。

「先輩、その腕……」

「この腕の事ならあとで幾らでも質問に答えてやる。今は目の前の戦いに集中しろ……」

「は、はい!」

次に凛としたもう1人の先輩の声が響く。

「迅!あなたの風であの龍の動きを封じなさい!そしたらすぐに皆さんと作戦会議を始めます!」

下を見下ろすと、地面には迅先輩の主である雫先輩が威風堂々した態度で立っていた。

「承知した……クラウド!!」

『ブルゥ……!』

迅先輩はイージス・オブ・ペガサスの中にいるクラウドと心を通わせ、巨大な暴風を生み出す。そして、技の威力を高める詠唱を唱える。

「逆巻け、暴風の牢獄。狂いし力に戒めの鎖と楔を打ち込め!」

迅先輩は暴風を生み出しているイージス・オブ・ペガサスを大きく振り上げた。

「囚らえよ、ハリケーン・プリズン!!」

イージス・オブ・ペガサスから発生した巨大な暴風が龍神を包み込んだ。呼んで字の如く暴風の牢獄が龍神を囚らえて、更に凍結と光の鎖で動きを封じている。

「これで少なくとも5分は稼げる……」

「では、時間があるうちに手短に作戦会議をしましよう!」

雫先輩の提案に、この戦場にいる8人の戦士達全員が一同に集結する。作戦会議の前に俺達は合流した雫先輩たちに現状を簡単に説明した。

「今の龍神は逆鱗で暴走状態に陥っている。どうしたら……」

 逆鱗で暴走している龍神の戦闘力は数倍跳ね上がっていると言ってもいい。そんな状態で勝つ見込みがあるのかどうか怪しかった。全員が打開策を見つけるために頭を悩ませている。

『おい、ちょいと俺も作戦会議に参加してもいいか?』

 そんな時に恭弥の如意棒から孫悟空の霊体が現れた。この状態は契約しているアーティファクト・ギアから肉体を残して魂だけ表に出ていて、言わばアーティファクト・ギアの契約を半分解除しているような状態だ。

「悟空、どうしたんだ?」

『いや、あの龍でちょっと気になることがあってな。折角だから作戦会議に参加しようとして魂だけ出てきたんだ』

「それで、気になる事って何?」

『ああ。あの龍さ、もしかしたら自分の意思を取り戻しかけているんじゃねえか?』

「「「えっ!?」」」

 全員の視線が一気に悟空に集中する。

『俺もさ、昔は色々な妖魔と戦ってきたんだ。もちろんあの龍と同じくらいの竜とも戦ったことはある。それで、何となくだけど最初に戦った時とは違って、天音が逆鱗に触れた時からだが、あの龍から“怒り”を感じ取ったんだ』

「それって、どういう事だ?」

『まあ、簡単に言えば……もしかしたらあの聖霊狩りの女が操っていた洗脳が逆鱗によって解け掛けているかもしれないってことだ。実際、あの女を喰っちまったし』

「それって、澪の逆鱗を押さえればあの龍神は元に戻るかもしれないってことか!?」

 僅かな希望を見つけた兄さんの表情は輝いた。

『だがな、龍の逆鱗はその触れた奴を殺さなきゃ治まらねぇらしいからな。流石に天音を生贄にするわけにもいかねえし……』

「当たり前よ! 何を言っているのよこのお猿さんは!?」

「落ち着けって、千歳!」

 千歳を抑えると、隣にいる雷花さんは静かに言い放つ。

「……怒っているなら、頭を冷やせばいいと思う」

「頭を冷やすって……」

「要するに、力づくってことですわね」

 雫先輩はかなりぶっちゃけた結論を言い渡した。正直な話、それが一番の打開策かもしれない。他のみんなもそれに同意するかのような表情をする。

そして、暴風の牢獄が解けるまで後残りの僅かな時間で俺達は戦いに赴くための準備を整える。

「さあ……Are you ready?」

 千歳は清嵐九尾のリボルバーを回し、銀羅の狐火を妖炎弾に補充する。

「さーて、みんなと派手に暴れようか?」

 恭弥は如意棒を曲芸のように軽く振り回して構える。

「みんなと一緒なら……何とかなる」

雷花さんはトールハンマーから発せられる雷と自分の呼吸を合わせる。

「行きますわよ、迅、ソフィー」

雫先輩はユニコーン・ザ・グングニール指で軽く回して持ち直してから構え、心を静かにする。

「今回ばかりは守る対象が雫だけじゃなさそうだが、クラウドとこの右腕で守ってやる……」

 迅先輩は左手のイージス・オブ・ペガサスを付け直し、右腕の破魔之御剣の五本の指を動かして関節を鳴らす。

「澪……必ずお前を解放してやる」

 璃音兄さんは零閃氷帝剣を肩に担ぎ、暴風の牢獄の中に囚われている龍神を想う。

「私達、蓮宮家に架せられた因縁を終わらせる……」

 花音姉さんは蒼穹麒麟弓の弦に右手の親指を掻けていつでも射られるようにする。

 そして、俺は鳳凰剛柔甲で両腕から全身の力を漲らせてから鳳凰剣零式を両手で構え、鳳凰之羽衣の双翼を大きく伸ばし、最後に白蓮に話しかける。

「白蓮、大丈夫か?」

『うん。ちちうえはだいじょうぶ?』

「俺も大丈夫だよ。お前と千歳、そして頼れる仲間がいるからな」

 俺達は逆鱗で暴走する龍神から正気を取り戻すため、自分の大切なパートナーが宿る奇跡の神器“アーティファクト・ギア”と共に戦いに挑む。



.

次回、龍神と決着がつくかもしれません。


そして、喰われた瑪瑙の生死は……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ