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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第11章 戦神極祭編
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第146話 迫る不幸の貝殻

バトルはひとまず終わりますが、次回からは天音に人生最大の不幸が襲いかかります(笑)

白蓮と銀羅と黒蓮、蓮神とレイジング、そして……何故か俺と千歳の右手が合わさって契約してしまったへんてこりんなアーティファクト・ギア……神霊無限銃の誕生に対戦相手の輝明と富士崎さんだけでくこの会場にいる誰もが驚いてざわついていた。

『な、な、何だあれは!?あんなアーティファクト・ギアは見たことありません!契約者同士の肉体の一部が融合するなんて!!』

『わ、わしもじゃ。長年様々なアーティファクト・ギアを見てきたが、こんな奇天烈なものは初めてじゃ……』

神楽坂先輩も学園長も動揺を隠せていなかった。

(うーん、なんか変な感じだな……)

(確かに……俺と千歳の手が融合しているから妙な気分だ)

(そうだね……って、何で天音の考えが私に伝わってるの?)

(俺も千歳の考えが伝わってるぞ。まさか手が融合した影響でお互いの心が通じ合ってるのか?)

(なるほど、まさに一心同体だね)

(とりあえず……試しに一発撃ってみるか?射撃は素人だから千歳に任せる)

(りょーかい!とりあえずこれだけ大きいと反動とかありそうだから、しっかり体を押さえていてね)

(任せなさい)

神霊無限銃の射撃を千歳に任せて俺は反動を抑える役目を果たす。

千歳は神霊無限銃を構えると俺たちから霊力や妖力などを吸収してエネルギーを充填していく。

「銀羅!白蓮ちゃん!黒蓮ちゃん!行くわよ!」

『ああ!』

『うん!』

『『『ワウッ!』』』

白蓮達も神霊無限銃に力を込めていき、銃口が光り輝いていく。

エネルギー充填もそろそろだな。

(行け、千歳!)

「喰らいなさい、Shoot!!」

千歳が神霊無限銃の引き金を引いた瞬間。







ドォオオオオオン!!





轟音爆音が神霊無限銃から鳴ると同時にとてつもない反動が襲いかかる。

「きゃっ!?」

「っ!?強化!!!」

反動が起きた瞬間、瞬時に俺は霊煌弐式の強化を発動して脚の筋力を最大限まで強化させた。

バァン!と大きく足を地面に強く踏み込んでなんとか反動を耐えた。

そして、神霊無限銃から放たれた一筋の光線は慌ててその場から回避した輝明と富士崎さんの真横を通り過ぎたが、その光線からは強大な衝撃波が放たれて二人をフィールド外まで吹っ飛ばしてしまった。

「千歳、大丈夫か!?」

「な、何とか……」

千歳は目を回してぐったりと俺に体を預けて寄りかかっていた。

試しに撃った一発だけでこれか……一応俺の狙い通り一点突破、一撃必殺のアーティファクト・ギアは出来たことは出来たけど……。

「これ、相当の暴れ馬だな」

「うん……撃ててあと一発が限界……」

「だよな。この状態じゃお前の身体強化の絢爛九尾も使えないからな」

「うん、ところで輝夜と輝明は?」

「あれ?」

さっきの光線の衝撃波でフィールド外まで飛ばされたけど……。

「蓬莱龍月閃!!」

「フェニックス・シュート!!」

「「おうっ!?」」

月光龍と不死鳥の姿をした光線と炎が襲い掛かってきた。

既に近くまで接近していたので、結界では間に合わないと判断し、霊力で脚を強化をしたまま千歳を抱き上げてその場から退避する。

「ははは!千歳、天音!よくもやってくれたね!」

「さっきのは反則じゃろ!?お陰で着物が汚れてしまったではないか!」

(怒ったか……)

(怒ったみたいね。とりあえず再チャージするから天音は全力で逃げて!)

(と言ってもこのスピードじゃ堕とされるのも時間の問題……仕方ない、あれを使うか)

「極真霊煌弐式!」

陸式の次は霊煌弐式の極みの霊操術を使う。

この力を使えば拾弐式の覚醒以上の身体能力を使うことが出来る。

そして乙音様からの言葉を思い出しながら全身に霊力を纏い始める。

『戦う前からまず自分の弱さを知れ。弱さを知っているからこそ人間は己の限界を超えることができる』

そう、誰しもが最初からは完璧ではない。

だからこそ弱さを知って己の限界を超えるんだ。

強化した肉体を更に『強化』を施して能力を高め、そこから更に『強化』を施して身体能力の限界を超えていく。







『自分の為、そして誰かの為に思いの力を重ねて自身の力を高めよ!』







千歳を守る為、この戦いの勝利を手にするために俺は自身の力を高める!

「幾重強化!」

幾つにも重ねて施した強化の霊操術は俺の体を超人の如く強化させて千歳を運びながら雨のように降り注ぐ輝明と富士崎さんの攻撃を楽々と回避していく。

強化されたのは単純な身体能力だけでなく、両眼の視力や攻撃を捕捉する視神経、そしてそれからの情報を処理して行動に移すための反射スピード。

人間の持てる限界を超え……否、超越した肉体で走り、跳び、フィールドを駆け抜ける。

(天音!速すぎるよ〜!遊園地の絶叫マシンを体感している気分だよ〜!)

(我慢しろ、こっちだって避けるのに必死なんだから)

幾重強化をしている俺自身は大丈夫だが、抱っこをされている千歳はこの超速スピードには慣れないらしい。

(それで再チャージの時間は?)

(あ、あと三十秒ぐらい……?)

(分かった!)

この一撃で富士崎さんの鉄壁の防御である仏の御石の鉢を撃ち抜かなければ俺達の勝利は見えない。

三十秒と言う僅かだが、戦いの中ではとても長い時間……特に敵からの攻撃を回避するこの三十秒は特に長く感じる。

だけど、ただ回避するだけじゃ芸はない……確実に富士崎さんに一撃を与えるための仕込みをする。

幾重強化に使う以外の霊力を両手に込めてその時を待つ。

残り十秒……両手に仕込んだ霊力は充分集まった。

「……よし、天音!」

「ああ!!」

千歳の合図の次に抱き上げた状態から立たせて神霊無限銃を構える。

「輝明、気をつけよ!」

「もちろん!一直線だからまだ避けやすいよ!」

「ふっ、さぁて……それはどうかな?霊煌伍式!刀剣!」

仕込んだ霊力を解き放ち、周囲に霊力で生み出した数多の剣を召喚する。

剣の切っ先は自動的に富士崎さんの方向を向き、空いている左手で銃の形を作る。

「翔けよ、数多の剣!撃ち抜け、無限の剣撃!!!」

数多の剣が一斉に解き放たれ、標的となった富士崎さんの放つ光線と相殺していく。

やがてその内の数本が富士崎さんの元へ飛ぶ。

「守護せよ、仏の御石の鉢!!」

鉢が輝き、富士崎さんの周りに強固な結界が現れる。

鉢の結界に剣撃が弾かれ、剣が霊力の霧として霧散して富士崎さんの視界を一瞬奪った。

「くっ!?龍の首の玉!蓬莱の玉の枝!行け!」

二つの宝具である龍の首の玉と蓬莱の玉の枝から閃光と光線を放ち、霧を消しながら攻撃するが……。

((これで、決める!))

より体を密着させ、俺と千歳の決め台詞と共に神霊無限銃の引き金を一緒に引いた。

「「Blake The Fate!!!」」

ドゴォオオオオオン!!!

再びの轟音爆音が鳴り響き、銃口から特大の七色の光線が放たれる。

また反動が襲いかかるがそこは幾重強化で強化した身体で難なく踏み止まった。

「「いっけぇえええええっ!!」」

その光線が三つに分かれ、それぞれ鳳凰、冥界獣、九尾の妖狐へと形を変えて飛んでいく。

「わ、我を守護せよ!」

もう一度富士崎さんは仏の御石の鉢で結界を作るが……。

ピシッ!!!

「なっ!?」

どんな攻撃も弾いて無効化してきた強固な結界にヒビが入った。

その好機に千歳はすぐに行動に入った。

「神霊無限銃、契約解除!金羅!!」

『待ってたぞ!!』

神霊無限銃の契約を解除し、俺と離れて走り出すと胸に手を置いて体が金色に輝いた。

「絢爛九尾!次元断!!」

絢爛九尾を発動させ、胸から九魔之魔剣を取り出しながら次元を切り裂いて中に入る。

次元断は金羅が持つ空間を切り裂いて別の空間に移動する手段……千歳が移動する先はもちろん。

「勝負よ、輝夜!」

「来たか、妖狐の姫!」

富士崎さんは千歳が来るのを分かっていたみたいでニヤリと笑みを浮かべた。

「集え、宝具よ!天に輝く明けの星を描け!」

崩壊寸前の結界を解除するとかぐや姫伝説の五つの宝具を呼び出して五芒星を描いた。

「魔剣に宿れ、全てを焼き尽くす地獄の龍!」

対する千歳は九魔之魔剣から見たことない色をした黒い炎を纏わせて九つの刃から龍が現れる。

かぐや姫の生まれ変わりである富士崎輝夜と九尾の妖狐の生まれ変わりである千歳……その二人の強力な必殺技が激突する。

「五星天月陣!!!」

五つの宝具で描いた五芒星から閃光が放たれ、

「九頭龍獄炎斬!!!」

九魔之魔剣から黒い炎をした九つの首を持つ巨大な炎の龍が現れた。







だがこれが……俺に人生最大の不幸を与える原因となるのだった。







九頭龍と五芒星が激突し、混ざり合った膨大なエネルギーが衝撃波となって辺りに飛び散る。

もはや結界を張るほどの霊力は残されておらず、俺は天装衣の防御力だけを頼りに衝撃波を防いだ。

『オイッ!なんか飛んできたぞ!?』

すると俺の中からクウの声が響いて何だと思って目を凝らしたら……。

「……貝殻?」

俺の元へ飛んでくるそれは白い小さな巻貝の貝殻と思われる物で、なんでこんな所にと瞬時に疑問が頭に浮かんだ。

何故かその貝殻の飛んでくる軌道は真っ直ぐ俺の元に向かって来たので反射的に貝殻から逃げた。

しかし、貝殻は俺が目的なのか一瞬で俺の前に現れてそのまま俺の体内に入ってしまった。

「何!?うぐ、ぐっ、がはぁ!?」

貝殻が中に入った瞬間、体が焼けるように熱くなった。

この熱さは戦いで受けた傷や疲労とは比べものにならない……まるで灼熱の業火に焼かれるようなものだった。

その異常な熱さに耐えられなくなり、俺はフィールドに倒れこんで胸を強く押さえた。

な、何なんだ……これは……?

「天音!!!」

『ああ、もう!全くてめえはどこまで不幸人間なんだよぉ!?』

千歳とクウの声が耳に届き、それを最後に俺の意識が朦朧としてしまい、やがて落ちてしまった……。







そして、目が覚めた時……俺は自分の人生で一番の不幸を嘆くことになるのだった。




謎の貝殻に天音は意識を失いました。


さて、この貝殻は……?


次回は作中最大の事件勃発です(笑)

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