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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第11章 戦神極祭編
164/172

第145話 へんてこりんなアーティファクト・ギア

久々の更新です。


今回は作中で一番へんてこりんなアーティファクト・ギアが誕生します。


私自身もこれどうだろと思いながら書いていました(笑)

「「どうしてこうなった……?」」

俺と千歳は声を揃えて呟いた。

フィールドの近くに立ち並ぶ俺と千歳は大きなため息を吐いた。

どうして俺と千歳が同じフィールドの近くに立っているのか、その理由は目の前にいる二人の男女が原因だ。

「輝夜君、君の宝具の準備は良いかな?」

「もちろんじゃ、輝明よ」

天堂輝明と富士崎輝夜、この二人の提案……副将戦と大将戦を合同してタッグバトルを提案してきた。

そんな提案が認められるわけがないと思ったが……。

『ついさっき、大会本部から連絡がありました!副将戦と大将戦の合同試合として、タッグバトルが認められました!』

数分前に大会本部からそのような通達があり、これからタッグバトルが行われることになった。

「何で!?」

「戦神極祭は選手である生徒達の気持ちが尊重されるのよ」

「生徒達の気持ち?」

「今までにあった例だと、どうしても戦いたい別チームの二人が大会本部にかけあって試合する五人の順番を変えてもらったらしいよ」

「そうなんだ……知らなかった」

戦神極祭、そこまで自由な祭りだったのか……一般的に行われている公式の大会なら考えられないけどな。

一応恭弥達のお陰で鳳凰紅蓮団の二回戦進出は決まっているから、この試合は戦神極祭の勝敗は関係なく、あくまで親善試合のようなものらしい。

「そう言えば……千歳とこうしてタッグバトルをするのは久しぶりだな」

「確か、雫先輩と迅先輩と戦った五月のタッグバトル以来ね」

「ああ、あの時から俺達の運命が変わり始めたな」

「運命か……本当にこの一年は慌ただしかったよね」

「……すいません」

あまり認めたくないけど俺の呪われた体質でみんなに迷惑をかけているのかもしれない。

「謝らなくていいよ。私の存在全ては天音と共にあるんだから」

「ありがとう、千歳」

「どういたしまして、天音」

そんなたわいもない話をしていると大会本部が派遣した建設業者が突貫工事でタッグバトル用のフィールドが用意され、試合の準備が完了した。

『大変長らくお待たせしました。タッグバトル用のフィールドが完成しました。これより特別試合を始めます』

「よし、行くか」

「ええ」

俺と千歳は階段を登り、タッグバトル用に作られた広いフィールドを見渡す。

本当に五月のタッグバトルを彷彿させるような光景が広がった。

「ふぅ……悩んでたって仕方ない。戦うからには全力でやるしかない」

「そうね。ここは私達らしく派手に行きましょう!」

「むしろ派手なのはお前だろ?」

「否定はしません!」

「はは……お前らしいな。白蓮!黒蓮!契約執行!」

『うん!』

『ワウッ!』

蓮神と銀蓮を顕現陣から取り出して鞘から抜き、刃に宿る七色と銀色の輝きを放ちながら契約執行をする。

「アーティファクト・ギア、真・鳳凰剣零式!冥覇獣王剣!」

進化した鳳凰剣零式と闇の力を秘めた冥覇獣王剣を両手で構える。

「私達も行くよ!銀羅!契約執行!」

『おう!』

レイジングとストリームを構えた千歳は銀羅と契約執行をする。

「アーティファクト・ギア、無幻九尾銃!!」

九つの形態変化を持つ銃器の無幻九尾銃のダブルリボルバーを構える。

「ふむ、良いね……さあ、輝夜君!私達も!」

「そうじゃな、わしらも行こうか!」

輝明は赤い羽根のペンダント、富士崎さんは月の形をした白い宝石を取り出した。

それは見た感じ不思議な力を秘めた宝具だった。

そして、ペンダントから赤い魔法陣、宝石からは白い魔法陣が現れた。

赤い魔法陣から炎を纏った鳥の聖獣が召喚され、俺は目を疑った。

「来たまえ!最高峰の火の鳥、不死鳥……フェニックスよ!」

『ギュアアアアア!!』

それは東洋の鳳凰と対をなす西洋の不死を司る火の鳥、不死鳥・フェニックスだった。

輝明自身が不死身だとは昨日のパーティーで知っていたけど契約聖獣が不死鳥だとは予想外だった。

そうこうしているうちに輝明は西洋剣を構えて不死鳥と契約執行をした。

それは俺と白蓮の鳳凰剣零式を彷彿させるような炎を纏った剣だった。

「アーティファクト・ギア、フェニックス・ブレード!!」

フェニックス・ブレード……大剣の鳳凰剣零式と対をなす細身の剣からオレンジ色の炎を噴き出していた。

これは鳳凰の白蓮を相棒に持つ俺としてはますます負けられないな。

不死鳥の登場に胸を熱くすると、突然空が暗くなり、まだ昼間なのに空に巨大な満月が現れて月光の光でフィールドを照らしていた。

「顕現せよ、月の守護神!月光龍!ルナシャイン・ドラゴン!」

巨大な満月が泉のように波紋を響かせて水のように柔らかくなり、その中から這い出るように白銀に輝く龍が現れて富士崎さんの背後に舞い降りた。

月光龍、ルナシャイン・ドラゴン……流石はチーム輝夜のリーダー、富士崎輝夜の契約聖獣だ。

月の守護神なんて、とてつもない力を秘めた上級クラスの聖獣だぞ。

「さあ、わしと一つになるぞ。契約執行!」

『グォオオオオオッ!』

月光龍の咆哮の後に銀色の粒子となり、富士崎さんの体の中に入り込んで千歳やサクラが使用する身体型のアーティファクト・ギアを形成する。

巨大な体格の月光龍が富士崎さんの中に入り、富士崎さん自身の持つ霊力や気力などの様々な力が爆発的に増大した。

「人龍一体!月光天姫げっこうてんき!!」

黒髪が銀髪に変色し、派手な着物が天女が着るような羽衣のように変化した。

不死鳥の剣に月光龍の姫……なるほど、不死を司るチーム輝夜に相応しい二人だな。

互いのチームの準備が整い、後は始まるだけだ。

「凄いな、あの二人……」

「そうね。でも、負けるつもりはないよ」

『それでは参ります!チーム鳳凰紅蓮団、蓮宮天音&天堂千歳VSチーム輝夜、富士崎輝夜&天堂輝明。AGバトル、レディ……ゴー!』

試合が始まると同時に俺と千歳はそれぞれの相手に向かって走り出した。

「天音は輝明をお願い!」

「ああ!千歳、油断するなよ!」

「もちろん!」

俺は輝明、千歳は富士崎さんを相手にする。

千歳は輝明を相手には出来ないので消去法で俺が相手をすることになった。

「勝負だ、輝明!」

「ふはははは!千歳と戦いたがったが、蓮宮天音!君と戦い、千歳を手に入れることが運命らしいな!」

「そんな運命は問答無用でぶっ壊す!鳳凰紅蓮撃!!」

「フェニックス・インパクト!!」

俺が真・鳳凰剣零式から爆炎を出すと輝明もフェニックス・ブレードから爆炎を出した。

紅と橙の爆炎が混じり合い、爆発を起こし、尽かさず次の技を出す。

「焔翔鳳凰穿!!」

「フェニックス・ダイブ!!」

巨大な鳳凰の姿を模した炎と不死鳥の姿を模した炎が激突する。

「真似するな!」

「仕方ないではないか!同じ火の鳥同士、技が似るのは!」

「だったら……冥界獣の力を見せてやる!黒蓮!」

『『『バウッ!』』』

紅蓮と黒の炎を纏いながら真・鳳凰剣零式と冥覇獣王剣を交差させ、左右に斬り払う。

「蓮宮流、黒白双獣撃!!」

焔翔鳳凰穿よりも小さな鳳凰と冥界獣の姿を模した炎が同時に現れて輝明に襲いかかる。

その輝明はフェニックス・ブレードを手の中で回転させながら自分の体も回転する。

刃から炎が巻き起こり、巻き込んだものを全て焼き尽くすような巨大な炎の竜巻が発生する。

「フェニックス・ハリケーン!!」

炎の竜巻が俺の炎を打ち消してそのまま俺の方へ向かってくる。

「天音!危ない危ない!」

「へ?」

三日月之顎クレッシェンド・アギト!!」

そこに浮遊をしながら飛んでくる千歳と光り輝く巨大な龍の頭部がやって来た。

「ふあっ!?何事!?」

「お願い!避けられないから何とかして!」

「何とかって……仕方ない、俺の側に来い!」

「うん!」

千歳が俺の側に来ると俺の体に刻まれた六つの霊煌紋のうちの一つを輝かせる。

極真霊煌陸式きょくしんれいおうろくしき

これはただの霊煌陸式じゃなく、歴代当主がそれぞれ生み出した霊煌霊操術の力を極めた真の技……混沌の使徒、獣の使徒・キメラと機の使徒・クライシスと戦う時に見せた力だ。

俺は朱音様の言葉を思い出しながら周囲に蓮の花を模した霊力の盾を作り出す。

『私の結界は二代目の術と同じく誰かへの思いの力で術の強さを増す。特に大切な存在が側にいれば、その者を守りたいと願う強い思いがあれば……』

俺はこの結界で千歳を守る。

千歳は俺の一番大切な人……今まではただ攻撃を防ぐだけだったこの結界は……。







『私の結界はどんな力をも防ぎ、跳ね返すことが出来る最強無敵の盾となる!』







これからは大切な人を守り、仇なす敵にその力を報復させる!

「反射結界!!!」

蓮の盾が輝き、襲いかかる炎の竜巻と龍の頭部を文字通り反射させて輝明と富士崎さんに向けて跳ね返す。

「な、何と!?」

「まさかわしらの攻撃を反射させるとは、なら!宝具……“仏の御石の鉢”!“火鼠の皮衣”!!」

富士崎さんの体から黒い大きな鉢と赤色に輝く大きな衣が現れた。

「仏の意思は砕けず、火鼠は炎を纏う……わしらに降り注ぐ二つの力を収めよ!」

鉢と衣が光を放つと反射結界で跳ね返した力が瞬時に収まり、そのまま消えてしまった。

『おおっと!?蓮宮選手がせっかく跳ね返した技が消されてしまったぞ!』

『ふむ、あれは富士崎君だけが持つ上級の宝具の力によるものじゃな』

「上級宝具……?」

「天音、かぐや姫の五つの難題を知っているよね?」

かぐや姫の五つの難題とはかぐや姫に求婚してきた五人の貴族にそれぞれ入手困難な宝を持ってくるようだされたお題だ。

「そりゃあ俺は昔からある古文を読んでいたから……まさか!?」

「そう、富士崎輝夜はその五つの難題で出てきた宝を全て所持しているのよ」

「マジか……」

龍の首にあると言われる五色に光る玉の『龍の首の玉』。

お釈迦様が終身持っていたとされる大きな鉢の『仏の御石の鉢』。

中国にいる火鼠と呼ばれる聖獣の皮から作られた皮衣の『火鼠の皮衣』。

安産のお守りになるらしいと言われる燕が生む子安貝の『燕の子安貝』。

そして、蓬莱山にあると言われている幻の花である『蓬莱の玉の枝』。

その五つの宝を持っているというのが!?

「となると、さっきの龍の攻撃は龍の首の玉か?」

「ええ。どうする?輝明は何とかなるにしても富士崎輝夜は月の天女、かぐや姫の生まれ変わりで霊力は高いし、あの宝具のお陰で攻守共に優れているわよ」

確かに……輝明だけが相手なら勝機はある。

だけど富士崎さんは下手したら前世が天女だから上級レベルの聖獣に匹敵する力を秘めている。

「厄介ね……」

「ああ、厄介な相手だな」

「よし、それなら私のオーバー・ドライブで……」

「いや、それはダメだ。一回戦で千歳の切り札を使うわけにはいかない」

一回戦で千歳の切り札である炎帝九尾銃を使うわけにはいかない。

これから戦う二回戦からの相手に対策をされる可能性は十分ある。

「じゃあどうするの?」

「何か、新しい手を探さないと……」

「何話をしているんだい?」

「随分と余裕じゃな!」

輝明はフェニックス・ブレードから炎の羽根を生やして飛ばした。

富士崎さんは根が銀で茎が金、そして実が真珠である『蓬莱の玉の枝』を取り出し、実の真珠から無数の光線を放った。

「まずい!反射結界!!」

再び蓮の盾を生み出して攻撃を反射するが、反射された攻撃は富士崎さんの仏の御石の鉢の結界で防がれる。

さて、どうするか……お釈迦様が持っていた鉢の防御力は相当なものだ。

やはりここは防御を撃ち抜く強力な一点突破の攻撃しか手がないが、あいにく俺の攻撃方法は広範囲の攻撃技が多い。

双翼鳳凰剣の鳳凰光翼剣と冥覇鳳凰剣の黒白之終焉などがその良い例だ。

対する千歳の無幻九尾銃も対多数の戦闘が得意なため広範囲攻撃に優れている。

「雫先輩のグングニールのような力があれば良いんだけどな……」

「防御を撃ち抜く力を込めた一撃。このまま結界で守っても天音の霊力を無駄に消費するだけ……」

「だよな……ん?」

ふと無幻九尾銃に目を向けて思いだした。

そう言えば初めて千歳とタッグバトルをした時、アーティファクト・ギアは今の無幻九尾銃じゃなくて清嵐九尾だったよな。

あの時は銀羅の魂が傷ついて本来の力を持っていなくて、アルティナ女王の贈り物である銃のストリームも無かった。

今の無幻九尾銃より攻撃の爆発力は大きくないが、その代わり一発の攻撃の威力はあった。

「全ての力を一つに……」

「天音?」

「……千歳、一つ面白いことを思いついた」

「面白いこと?」

「ああ。まずはアーティファクト・ギアの契約を解除する!」

「ええっ!?」

「白蓮、黒蓮!」

真・鳳凰剣零式と冥覇獣王剣の契約を解除し、白蓮と黒蓮は何で!?と驚いている。

「天音!何するつもりなの!?」

混乱する千歳を落ち着かせるために俺がこれからやろうとする事を口にする。







「千歳のストリームと俺の蓮神を契約媒体にして、白蓮、黒蓮、銀羅の三重契約をする」







一瞬の沈黙の後、

「…………はぁあああああ!?」

結界内に千歳の叫びが木霊する。

叫びは覚悟していたけどキーンと耳に響いて地味に痛い。

「さ、三重契約執行って本気なの!?しかもレイジングと蓮神で!?」

「ああ。俺は、いや俺達は……ここぞという時にはいつも新たなアーティファクト・ギアを契約して乗り切ってきた」

「確かにそう言えばそうだけど……」

鳳凰剣零式から始まり、鳳凰剣百式、冥覇獣神剣、冥覇鳳凰剣、炎帝九尾銃、四霊天帝剣……強敵との戦いや絶体絶命のピンチの時に俺達は新たなアーティファクト・ギアを生み出して乗り越えてきた。

「このままじゃいつまでたっても逆転の手は考えられない。やるしかないんだ」

『うん、それでこそ父上だよ!』

『『『ワウ、ワウッ!』』』

「はぁ……仕方ないか。銀羅、いいかな?」

『わたしは構わない。むしろどんな力が生まれるのかワクワクしてきたぞ』

「そうこなくっちゃな!白蓮!黒蓮!」

『うん!』

『『『わうっ!』』』

「銀羅!」

『ああ!』

無幻九尾銃から銀羅を契約解除してストリームを右手に持ち、俺は右手に蓮神を持って俺と千歳の右腕を交差させる。

「行くぞ……」

「うん……」

無数の攻撃が降り注ぎ、結界で守られている中で俺達は目を閉じて心を静め、契約の魔法陣を展開して新たな契約のための言霊を発する。

「「三重契約執行!!!」」

俺たちを守っていた結界が消えて眩い閃光が魔法陣から現れ、天を貫いた。

「な、何じゃ!?」

「これは何が起きている!?」

富士崎さんと輝明もこの事態に驚いている。

いや、二人だけではない……俺たちの三重契約執行の輝きにこの会場にいる誰もが驚いていた。

白蓮と黒蓮と銀羅の体が粒子となり、契約媒体である蓮神とレイジングと一つになっていく。

そこまでは良かったのだが……問題が一つ発生した。

それは契約媒体の蓮神とレイジングと一緒に俺と千歳の右手が引き寄せられていく。

「て、手が、くっつく!?」

「ダメ!契約をやめられない!!」

ただでさえ不安定な三重契約執行を止められるわけがなく、そのまま契約を執行する。

そして、契約執行の中で俺と千歳は新たなアーティファクト・ギアの名前を考えていると、光がゆっくり晴れてそこには見たことない形をしたアーティファクト・ギアが現れた。

俺の狙い通り一撃必殺を狙えるような巨大な銃の姿をしているのは良いが……どういう訳か予想外のことが起こっていた。

「なんだ、これ……?」

「私と天音の手が……」

俺と千歳の右手が一つに融合してくっついてしまい、そこに直接アーティファクト・ギアである巨大な銃が装着されてしまっていた。

ひとまず俺が千歳の後ろに回ってその銃型アーティファクト・ギアを見る。

千歳の右手と俺の右手が一体化しているのでこのアーティファクト・ギアを動かす時は一緒に右腕を動かさなければならない。

こんなしかも移動する際には俺が千歳をこのまま後ろから左腕で抱きしめて運ぶようにしなくちゃならないからまた大変。

何ともまあ、不便なアーティファクト・ギアだな。

「どうする?これ……?」

「とりあえず……ぶっ放すまえに名前を決めよう」

「そうだな」

ひとまずこのアーティファクト・ギアに名前をつけることにした。

右手が一体化して体が繋がっている影響なのか、俺と千歳の心が通じ合っていた。

「「アーティファクト・ギア!

神霊無限銃しんれいむげんじゅう”!!」」

新たなアーティファクト・ギア、神霊無限銃を呆然としている輝明と富士崎さんに向ける。




神霊無限銃……名前はいいとして、かなり変なアーティファクト・ギアを作ってしまいました。


二人の心を一つにした銃のアーティファクト・ギアを作りたいなと思ったらこんなのが出来てしまいました。

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