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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第11章 戦神極祭編
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第141話 開幕、戦神極祭!!!

遂に戦神極祭が開幕です。


と言ってもバトルまでもう少し時間がかかります。

side天音


「よし、ここなら良いだろう……」

天聖ホテルから千歳を連れ出して辿り着いたのは天聖学園の校舎の屋上で、一足遅れて白蓮達も到着した。

「悪いな、千歳。あのまま会場にいたら面倒な事になりそうだからな」

「うん、賢明な判断だよ。ううっ……」

夜風が吹くと千歳はビクッと体が震えて自分を強く抱きしめた。

そうだ、今の千歳はドレス姿で十二月の夜……体が冷えるのは当然だった。

俺は天装衣のコートを脱いでそのまま千歳に羽織らせる。

「これで寒さは大丈夫か?」

「うん、ありがとう。天音は?」

「俺は大丈夫だ。この鎧が結構あったかいからな」

千歳はぶかぶかの天装衣を着て冷えた体を温める。

「あったかーい、それに着心地が良いね」

「天装衣は璃音兄さん曰く、この世界の最高級の素材を使っているらしいからな」

「へぇー。白蓮ちゃんと黒蓮ちゃん

、おいで。一緒にあったまろ?」

『ピィー♪』

『『『わうっ!』』』

千歳は二人を招きよせてそのままぶかぶかの天装衣の中に入れて三人一緒にぬくぬくとあったまる。

『それにしても、今日の旦那は一味も二味も違っていたな。とても勇ましかったぞ』

「あっ、そうだよ!今日の天音、いつもと違っていたよ!私を……その妻とか、俺のものだとか言ったり……」

「ああ、そのことな……確かにいつもなら言わないだろうけど、その……ある人がこう言う時はこうした方が良いってアドバイスを受けたんだ」

「ある人って?」

「それは……その……」

アドバイスをした人を尋ねる千歳に口を濁す俺。

ある人について話せるわけがなかった。

何故ならそいつは……。

『ひゃはは!言えるわけねぇよなぁ?俺様の助言のお陰で漢気を見せられたんだからなぁ?』

そして、俺の頭の中で下品な口調の声が響いた。

そう、こいつが俺にアドバイスをした『ある人』なのだ。

(クウ……)

俺の中にいる謎の男、クウはこうしろああしろと頭の中で命令して普段の俺ならやらなそうなことを羞恥心を捨ててやってしまった。

今更ながらあれは恥ずかしすぎだった……。

『いやー、よく恥ずかしがらずにあそこまでやったなー?千歳もお前に惚れ直したんじゃないか?』

(……恥ずかしかったけど、千歳を輝明から助けるためにはああするしかなかったんだよな……)

『確かにな……あんな勘違いのバァカが千歳を狙っているなんてな。まあ何だかんだで顔は良いし、体も成長途中だがかなり良いからな〜』

(おいコラ、クウ!!)

『おいおい何怒ってるんだよ?お前と千歳が“行為”をしているのを何度も見て来たんだぜ〜♪』

(なあっ!?)

クウの姿が見えないけどニヤニヤしている顔が容易に想像出来る。

じ、じゃあ、修学旅行の初夜から何度もやってきた千歳との行為を……クウにずっと見られていたのかぁ!?

「天音、どうしたの?」

クウとの話で混乱している俺に千歳は首を傾げながら近付いて尋ねてきた。

「い、いや、なんでも無い!」

「そう?」

「ああ。さあ、そろそろ部屋に戻ろう。明日は本番……戦神極祭の開会式が始まるんだからな」

「そうだね。開会式と一緒に第一回戦が始まるからね」

「第一回戦か……もしかしたら俺達が最初に出るかもな」

「あはは、呪われてる天音が言うと説得力が違うね」

「呪われてる言うなぁ!」

「そんな呪われてる天音に……」

チュッ!

千歳は俺の頬にキスをした。

「あなたの女神様からの加護キスよ♪」

「……あ、ありがたいけど、お前は女神じゃなくて狐娘だろ?」

だって千歳の前世は九尾の妖狐だし。

「ひどーい!そう言うことを言わなくても良いでしょう!?」

「良いじゃ無いか。俺は好きだけどな、狐娘。狐耳とか尻尾のふさふさとか」

「え?……はっ!?ま、まさか、天音はそんな性癖が……」

『な、何!?じゃあ旦那は私の事を……!?』

「そんな訳あるか!?」

たまたま言ってしまった言葉に千歳と銀羅は変な勘違いをしてしまい、学生寮に帰るまでその勘違いを解くのに苦労するのだった。



全国八ヶ所の天聖学園から選ばれた生徒とその契約聖獣が共に日本一を決める戦いを行う一年の最後を締めくくる戦祭……戦神極祭。

その舞台となるのが俺たちが何度も戦ったAGバトルを繰り広げるフィールドのAGアリーナだ。

そのAGアリーナの観客席には関東校の生徒全員と関東校以外の生徒達と聖獣達で埋め尽くされている。

この生徒達と聖獣達は関東校以外の七ヶ所の天聖学園から選ばれた応援団である。

ちなみに来れない生徒達のためにこの戦神極祭の様子はテレビ中継されることになっている。

「すごい盛り上がりだな……」

「そりゃあ、天聖学園最大のお祭りだもんね」

選手達に設けられた控え室にいる俺達鳳凰紅蓮団のみんなは着替えが終わって時間まで待っていた。

俺は天装衣を纏っているが、千歳達は雷花さん特製の衣装を見に纏っている。

せっかく鳳凰紅蓮団と言うチーム名に所属するのだから、リーダーの俺が着ている天装衣に似た紅い紅蓮のように綺麗でデザインの良い衣装を雷花さん本人を含めた四人分を作ってしまった。

もう本当に洋服のデザイナーの仕事についたほうが良いんじゃないかなと思うのだった。

そして、観客席から聞こえるたくさんの声が控え室まで響いていた。

「やっべー、緊張してきたぜ……」

「うん、今更だけどこんな大舞台に立てるなんて少し信じられない……」

「確かにすっごいプレッシャーねぇ……」

恭弥達は今更ながら緊張して体が震えていた。

『おいおい恭弥、大丈夫かぁ?』

『もっと堂々とせい!堂々と!』

『そうそう。恥を捨てないと』

対するそれぞれの契約聖獣達は流石と言うか平然としたいた。

「そうよ、あなた達は主役なんだからもっと胸を張ってね」

そう俺達に言ったのは紅茶を片手に優雅にお茶を飲んでいたアリス先生だった。

実はアリス先生は俺達鳳凰紅蓮団の担当講師になっている。

普通なら戦神極祭のチームの担当講師は天聖学園の教師の中から選ばれるのだが、アリス先生も一応関東校の教師として登録されているらしく、しかも教職員免許までちゃっかり持っていた。

一体いつの間に取得したんだろうと大きな疑問があったが、聞いてもはぐらかされそうだからあえて聞いていない。

「あ、そうだわ。天音、これを受け取って」

アリス先生は指を鳴らして魔法陣を呼び出すとその中から……。

「鳳凰と紅蓮のバッジ……?」

それは白い鳳凰、十中八九白蓮でその背後に紅蓮が描かれた金属のバッジだった。

「これは鳳凰紅蓮団のエンブレムバッジよ」

「鳳凰紅蓮団の、エンブレムバッジ……?」

「そう、これをリーダーの天音に贈呈するわ」

アリス先生はそのエンブレムバッジをそのまま天装衣の胸元にくっ付けた。

『ピィ、ピィー!』

胸元にキラリと輝くそのエンブレムバッジは白蓮も喜ぶように俺の肩に乗る。

「ふふふ、みんな。そのバッジに触れて。面白い事が起きるから」

何が起きるか分からないがとりあえず勧めるアリス先生の言葉を信じて千歳達は俺の胸元につけられたエンブレムバッジに触れた。

するとエンブレムバッジから四つの光が現れてみんなの胸元に飛んだ。

「これ……!」

「天音と同じバッジが俺達にも……?」

「みんな、お揃いだ……」

「このバッジ……強力な魔法がかけられている魔法具ね」

その光は何と俺が付けたのと同じエンブレムバッジになってそのまま服の胸元に付けられた。

「それは天音と絆を結んだ証として鳳凰紅蓮団のエンブレムバッジが与えられるのよ。ちなみにこの場にいるメンバー以外にも刹那や麗奈、サクラや明日奈にも渡せるわよ」

「つまり、このバッジはただのバッジじゃなくて俺達の絆の証みたいなものですか?」

「そうよ。それからそのバッジは出来るだけ身につけて。いずれ役に立つ時が来るから」

このバッジが役に立つ時ねぇ……確かに魔力が込められているけど、何の役に立つのか検討もつかなかった。

でも、このバッジのデザインは気に入っているし、みんなとお揃いのものを身につけるのはなんだか気分がいい。

「ありがとうございます、後で新作のお菓子を作りますね」

「やった!楽しみにしているわ」

アリス先生に感謝をすると、控え室に放送が流れる。

『選手の皆さん、まもなく開会式が始まりますので入場口までお集まりください』

いよいよ戦神極祭の開会式が始まろうとしていた。

「よし……行くぞ、白蓮!黒蓮!」

『ピィー!』

『『『わん!』』』

「銀羅、Are You Ready?」

『おっけーだぞ!』

「行こうぜ、悟空!」

『おうよ!』

「トール……行こう」

『がははは!待ちくたびれたぞ!』

「パラケルスス、行くわよ」

『仕方ないな』

鳳凰紅蓮団メンバー全員が気合いを入れて開会式に向かおうとするその前にアリス先生からメッセージがあった。

「みんな、担当講師である私から一言、言わせて頂戴」

全員の視線がアリス先生に集中し、メッセージの言葉を待った。

「……あなた達は私の生徒達。だから自身を持ちなさい、あなた達は……強い」

アリス先生は戦神極祭が始まるまで俺達をいろいろな修行を与えて鍛えてくれていた。

俺は途中から蓮宮当主達との修行になったけど、俺達はアリス先生にはとても感謝している。

「そして……思いは大きな力になる、全てを超えることが出来る。共に戦う仲間達を、応援してくれる人達の思いを胸に秘めて戦いなさい。いいわね?」

この戦神極祭では俺達を応援してくれる人がたくさんいる。

天聖学園の仲間達、家族……みんなからの思いを胸に秘めて俺達は戦う。

「「「「「はいっ!!!」」」」」

俺達は頷いて大きな声で返事をする。

「よし!じゃあ、行ってらっしゃい!」

「「「「「行ってきます!」」」」」

俺達は信頼する契約聖獣と共に控え室から入場口へ向かった。

幾つものの思いが交差し、遂に俺が待ち焦がれていたこの時が訪れた。







『これより、第100回戦神極祭の開会式を開幕します』







全国最強の称号を手にするための祭り……戦神極祭が開幕された。




次回はかなり時間がかかると思います。


何故なら登場人物達の入場なのでモブも含めてかなりのキャラが登場するので名前とか考えるのが大変です(^_^;)

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