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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第10章 七不思議編
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第128話 七不思議探検ツアー

少しお休みをいただき、久しぶりの更新です。


今回から新章の七不思議編です。

side千歳


天繚祭が終わって数日後……祭りの慌ただしさも収まり、いつもの日常が戻った。

だけど、私の日常で一つ、大きな変化があった。

それは図書館城の地下室で起きていた。

「あまね!はやくつぎのおかしおかし!」

私の目の前に銀髪の幼女がいて、天音にお菓子を作ってとおねだりしている。

「はーい……」

そして、その幼女に言われるままに天音はお菓子を作り続けている。

天音は表情はぼーっとしているけど、お菓子を作る手はいつもと変わらず、次々と美味しそうなお菓子を作っては大きなテーブルに並べている。

『ピィー!』

『『『わうーっ!』』』

幼女と一緒に白蓮ちゃんと黒蓮ちゃんがお菓子をバクバクと食べているのはご愛嬌だ。

『モグモグ、美味いぞ千歳』

「そう、良かったね……銀羅」

銀羅も当然のように食べているのはいつものことだ。

そして私はその銀髪の幼女を見つめながらビシッと言った。







「全くもう……“アリス先生”!そんなにお菓子を食べたら体に毒ですよ!!」

「うるしゃい!おかしはわたしのえいようげんなのよ!もんくあるかしら!?」







この銀髪の幼女の正体……それは私達の先生であり、世界最強の魔女とうたわれている、齢1000歳で無限神書の魔女……アリス先生だ。

銀髪のナイスバディな美女だったアリス先生がどうして風音ちゃんよりも少し年下で可愛らしい幼女になってしまったのかと言うと、それは至極単純な話……魔力を大量に消費し過ぎてしまったからだ。

先日の天繚祭で混沌の使徒の一人で獣の使徒・キメラに天音の霊煌紋を奪われてしまった時に、アリス先生は霊煌紋と霊煌紋に宿る蓮宮歴代当主の魂を救うために錬金術で十一人分の歴代当主の肉体を作り上げた。

流石に十一人分の人間の肉体を作るのは相当の魔力を使ってしまったらしく、天繚祭三日目の夜にはこんな可愛い幼女の姿になってしまった。

どうやらアリス先生は魔力を使い果たすと幼女の姿になってしまうようだ。

もしかして、千年前にアリス先生を不老不死にした極悪な奴らの趣味か何か?

これじゃあ本当に花音義姉様が前に言っていたロリババアと言われても仕方ないわね。

「ちとせ、いまなにかいったかしら?」

「いえ、別に」

まあ、こればっかりは絶対に口が裂けても言えないけど。

ちなみに……アリス先生から生まれたとされる十三の属性の精霊達であるエレメンタル・スピリッツ達もその影響で幼児化しているらしい。

幼児の姿は流石に恥ずかしいと言う理由でアリス先生の中から出て来ないらしいが。

私としては是非その可愛らしい姿を見て写真に収めたいところだ。

さて、ひとまずこの話は置いておいて、今の問題は別にあった。

それは、私が世界で一番愛してやまない人、天音だ。

天音は天繚祭が終わってからと言うもの、ずっとぼーっとして過ごしている。

授業中や食事中も空を見ていたり、私が大胆な事をしても反応が鈍かったりとかなり重症だ。

でもそのわりにはお菓子作りの腕は全く鈍っていないのは不思議だった。

そして、そのぼーっとしている原因は既にわかっている。

それは言わずもがな、天音の愛刀である蓮煌が折れてしまった事だ。

鳳凰、霊亀、麒麟、応龍の四体の聖獣と蓮煌が契約執行したアーティファクト・ギア、四霊天帝剣。

その秘めたる力はとても強力で一時的だがあのキメラを圧倒するほどだった。

しかし、その代償として蓮煌は真っ二つに折れてしまい、それからと言うもの、天音は心の一部が欠けてしまったような日々を過ごしている。

これは何とかしなくちゃと恭弥達に相談して、何か気を少しでも紛らわせるイベントか何かを考えてもらっている。

私も天音の恋人として何とかしなくちゃならないし、色々大変だ。

さて、どうしょうかな。



side蓮姫


蓮宮神社の本殿にて、ある重要な会議が開かれた。

会議の参加者は蓮宮初代当主の私から十二代目当主の詩音、総勢十二人の蓮宮歴代当主だ。

「皆さん、お茶とお菓子です」

「ありがとう、六花」

六花が全員分のお茶とお菓子を用意し、準備が整ったところで会議を始める。

「ではこれより、蓮宮緊急会議を始める」

「母様、会議と言われましても議題は何ですか?」

「まあ焦るな乙音。議題については今言う。もっとも、何人かは議題について薄々気付いているがな」

十二代目の詩音を中心に何人かは既に気付いた表情をしていた。

「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない。会議の議題は我らが蓮宮十三代目当主……天音のことだ」

そう、会議の議題は現蓮宮当主の天音の事だ。

「先日、天音はここにいる十一人の当主の魂を救うために無茶を繰り返し、その結果……大切な愛刀である蓮煌を失った……」

「しかし、まさか蓮宮の神器がぶっ壊れるなんてなぁ……」

様々な剣を使うことから剣王の異名を持つ五代目の剣音は未だに蓮煌が折れたことを信じられなかった。

「蓮宮の神器は祭神・蓮霊之神のご加護が込められているから壊れることは決してない。我々の持つ神器は今だに健在だからな。しかし……」

「神器が壊れたのは天音が初めてかもね」

四代目の初音と六代目の朱音は自分の神器である刀と鏡を見ながらそう言った。

他の当主の神器も同様に時間の経過はかなり違うが、みんな神器は健在でまだまだ使用出来る。

「そこで、天音の為に何かしてあげたいと私は思っている。みんなはどう思う?」

「私も母様の意見に賛成です」

「ですが、どうやって天音を慰めますか?」

「代わりの武器をやりゃあ良いんじゃねえか?」

「それが妥当だな。蓮煌に似た神器を作りゃ天音も納得するだろ?」

「父上、お祖母様。そうは言っても天音はそう単純な話じゃ無いですよ」

「天音は、意外に……繊細……」

「簡単に代用品を出しても心は晴れませんよ」

「そりゃあ、あそこまで落ち込んでいたらな……」

「ただ代わりを用意する訳にもいきませんね」

「詩音よ、天音は物を大切にする性格か?」

「ええ、天音は小さい頃から物を大切にする性格で、自分の大切な物は特に大切にしています」

ふむ……これはちょいと厄介な事案だな。

天音の心を晴らすにはやはり蓮煌を渡すしかないが、折れた刀は元に戻すことは叶わない。

さて、どうするか……。

「……あっ」

「詩音、今何か思いついた声を出したか?」

「いえ、ちょっと天聖学園であることを思い出して」

「天聖学園で?」

そう言えば詩音は天聖学園の卒業生だったな。

天聖学園に何か打開策があるのか?

「実は天聖学園には伝説の鉱物が隠されていると言われているんです」

「伝説の……鉱物?」

「はい。実際に見たと言う人はいませんが、何でもこの人間界とむこうの聖霊界でもかなり貴重で特殊な鉱物らしいのです」

「ほう……両世界で貴重な鉱物か。それで、その鉱物は何だ?」

「あくまで伝説で確証は無いですが……その鉱物の名前は“オリハルコン”と言います」

オリハルコン……前にアリスから聞いたことがある名前の鉱物だ。

確か神が作ったとか不思議な力があるとか色々な噂のある鉱物だった。

「オリハルコンか……良いかもしれないな」

その鉱物で蓮煌に代わる武器を作れば天音も喜ぶだろう。

「よし決めた!天音の為にそのオリハルコンと言う鉱物を取って来て新しい神器を贈ろうではないか!」

「しかし、初代様。オリハルコンへの道はとても危険と噂が……」

「何を腑抜けたことを言っておる。お前の周りを見渡してもその台詞は言えるか?」

今……この蓮宮神社には強力な霊煌霊操術を操ることが出来る十二人の歴代当主が勢揃いしている。

そのオリハルコンを取る為にどんな困難な道が待っていようとも私達は恐れる必要は無い。

「さあ、まずは情報収集からだ。織音。期待しているぞ」

「お任せください」

情報収集に一番優れている力を持つ十一代目の織音に任せ、私達はその時まで待つ。

オリハルコンが本当にあるかどうかは分からないけど、私の直感であると信じている。

待っていなさい、天音。

みんなを救ってくれたあなたに最高の贈り物をするからな!



side天音


「ドキドキワクワク!天聖学園七不思議探検ツアー!」

『『『イェーイ!』』』

「はい……?」

テンションマックスな恭弥の一言に俺は首を傾げた。

ある日の放課後、恭弥に冒険部全員集合と言われて突然呼び出されるとそう宣言して俺は何が何だかよくわからなかった。

「何だ何だ?テンション低いな、天音!」

「お前のテンションが高すぎなんだよ。それよりも七不思議探検ツアーって何だよ……?」

「文字通りだ。この天聖学園の七不思議を探検するんだよ!」

「……この学園に七不思議なんてあったんだ」

「当たり前だ!学園もとい、学業をする場所には色々な人間が集まる。つまり人間の数だけそこで何かが起きる……何かが起きるからこそ七不思議が生まれるのだ!」

「そんな事を力説されてもな……」

正直あまり興味が無いと言うか、今はあまり乗り気になれない。

「悪い、恭弥。今日は……」

「行こうよ、天音!」

すると千歳は俺の腕に抱きついて逃がさないようにした。

「ち、千歳!?」

あの千歳さん、逃がしたく無いのは分かりますが腕にあなたの胸が当たっているんですけど!?

「当ててるのよ」

「心を読むな!?」

「それはさておき」

「置くな!」

「天音、気分転換しないと体に悪いよ。みんな心配しているんだから」

「えっ……?」

気分転換って、もしかしてこの七不思議ツアーは俺の為に……?

「蓮煌が折れてから天音の心は曇りっぱなしで、みんな心配しているんだよ?」

『ピィ』

『『『わぅ』』』

白蓮は頭に乗り、黒蓮は肩に乗って心配そうな表情で俺を見つめる。

そうか……みんな、俺を心配して。

だから気分転換の為にこのツアーを企画してくれたのか……。

みんなにここまでしてもらって断るわけにはいかないな。

「ありがとう、みんな。それじゃあ、行こうか」

「よっしゃあ!それじゃあ七不思議探検ツアー、スタートだ!」

こうして始まった七不思議探検ツアー。

俺は七不思議がどんなのか知らないけど、恭弥が言うには天聖学園関東校の七不思議は……。




『学園にさ迷う幽霊』




『本性を暴く真実の鏡』




『図書館城に住む魔女』




『聖霊樹に宿りし精霊』




『異世界と繋ぐ時空の扉』




『神器の歴史を刻む部屋』




『難攻不落の巨大地下迷宮』




これらしく、この七不思議が真実か嘘か調べる為のツアーである。

一つだけ俺たちの知っているものがあるけどそれはとりあえず置いておき、順番に一つずつ七不思議を調べるために恭弥を先導に七不思議のある場所に向かった。




天聖学園の七不思議は後々のフラグになるかもしれません。


天音と蓮姫の同時進行で話が進みます。

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