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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第9章 文化祭編
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第122話 四霊集う時

GW、仕事がきつかったです……。


とにかく疲れました。


その合間に小説を書くのが私の癒しですよ〜。


さて、天音がキメラから霊煌紋を取り戻す為に奮闘しますが……。

「天音!お前の霊煌紋を取り戻す道先案内人は俺に任せろ!」

恭弥はニッと笑みを浮かべながら如意金箍棒を回しながら天に掲げる。

「行くぞ、悟空!」

『おうよ!』

如意棒がみるみる大きくなり、天を支える柱の如く巨大化した。

「喰らいな、天地一閃!!」

巨大化した如意棒をキメラとクライシスのいる方に向けて倒した。

倒された如意棒は地面を揺らすほどの威力で、その下には軽く百体のロボットが押し潰されていた。

恭弥は如意棒を元の大きさに戻すと、そこに一つの大きな道が出来ていた。

「行け!天音!!」

「すまない、恭弥!」

恭弥が切り開いてくれた道を一直線で進む。

目的のキメラの所まで千歳や他のみんなが他のロボットを相手をしてくれる。

まず初めに雫先輩と迅先輩と雷花さんが先陣を切った。

「行きますわよ、迅!雷花さん!」

「承知……」

「はい、雫先輩……」

雫先輩はユニコーン・ザ・グングニールを放り投げて数多の幻影の神槍を生み出す。

「ギアーズ・オーバー・ドライブ

!アンリミテッド・グングニール・ファンタジア!!」

天に生み出された数多の神槍は雫先輩の操作で真下のロボット達に刃が向けられる。

「雨の如く貫け、グングニール・ジェット・レイン!!」

雫先輩が手を振り下ろすと神槍は一度に雨の如くロボットの頭上から降り落ちて貫かれ、そのまま機能停止と共に動けなくした。

「トール……全力で行くよ……雷光激震……サンダー・インパクト!!」

既に雷をフルチャージしていたトールハンマーで地面を思いっきり叩きつけると、トールハンマーの内部に蓄えられている雷電が一気に放出されて四方八方に飛び、大量のロボットを感電させて爆発させる。

雫先輩と雷花さんで大量のロボットを片付けている間に迅先輩はイージス・オブ・ペガサスを構えて竜巻を起こすと、それを道に向けて放った。

「旅人に一筋の道を切り開け、トルネード・ロード!!」

すると、そこには渦巻く風のトンネルが出来て周りのロボット兵は吹き飛ばしていた。

「蓮宮、この風の道を行け!!」

「はい!ありがとうございます!」

風のトンネルに入ると、ふわりと体が浮いて飛ぶようにその中を速く進んで行った。

それに続くように千歳達も風のトンネルを入っていって進んでいく。

しかし、俺達の進行を阻むかのようにロボット兵は銃で風のトンネルの中にいる俺達を集中的に狙い撃ちをして行く。

「麗奈!」

「ええ!!」

刹那と麗奈は風のトンネルを左右に出てそれぞれがロボット兵を相手にする。

「親方様は早くキメラの元へ!」

「その間、私達がこのカラクリ達を全力で食い止めます!」

「刹那、麗奈……頼んだぞ!」

「無茶だけはしないでね!」

信頼する忍者の二人に任せ、俺達は更に先を急いだ。



sideアリスティーナ


天音達がキメラの元に行っている間、私は幾つもの複雑な術式の魔法陣を展開しながらこれから発動する魔法の準備をしていた。

「……ねぇ、蓮姫」

「何だ?」

蓮姫は私が魔法陣を展開している間、ロボットの攻撃から私を守ってくれている。

「一つ、聞きたいんだけど歴代蓮宮当主の神器はどこに納められているの?」

「歴代当主の神器?それなら蓮宮神社の本殿にあるぞ」

「ありがと、それだけ聞ければいいわ」

この魔法を発動する為には蓮宮の歴代当主がそれぞれ所有していた計十一の神器が必要になる。

だけど、一つ問題があった。

それは天音の先代当主の神器は璃音が所持して使っている事だ。

確か天音が氷蓮を璃音から譲り受けた後に亡き父の形見として使っている。

「仕方ない……“その時”になったら強制的に璃音から神器を回収するしか無いわね」

璃音の持つ神器は後回しにして、残りの現存する十の神器はエレメンタル・スピリッツ達をこの空間から出して蓮宮神社に回収させに向かう。

十一の神器を揃わせ、この魔法陣を一刻も早く完成させて、残るは……。

「この魔法を発動させる鍵はあなたよ、天音。頼んだわよ……」

天音に渡した魔法術式を霊力と共にキメラの体に注いだ時こそ、蓮宮の奇跡が起こる。

私は生徒の天音がやってくれることを信じて、今はただひたすらこの魔法陣の完成を急いだ。



side天音


みんなの協力のお陰でロボット兵団を越えてようやくキメラとクライシスの元に辿り着いた。

「ほぅ、あのロボット達を相手にここまで来ましたか」

「ヤルナ。モウスコシカイリョウガ、ヒツヨウダナ」

キメラはいつの間にかビーストモードと言っている獣の姿から人間の姿に戻っていて、お気楽にクライシスとトランプをして遊んでいた。

「さて、ここまで来たのだから相手をしますか」

「ソウダナ。ヒサシブリニアバレテヤル」

クライシスは体全体から大量の銃器を展開させて構える。

すると、千歳は絢爛九尾を発動させて無幻九尾銃を軽く上に放り投げる。

「行くわよ、銀羅。ギアーズ・オーバー・ドライブ!!!」

千歳の体からアーティファクト・フォースの輝きと共に無幻九尾銃から銀色の閃光が放たれ、九つの光が千歳の周囲を舞う。

「九つの姿形を持つ妖炎の武器達よ、真なる力に目覚めし我の元で全ての怪しき輝きを照らせ!」

絢爛九尾の九本の尻尾が器用にその光を掴み、それぞれが無幻九尾銃が変化出来る九つ全ての武器が一度に現れた。

そして、千歳の体から九魔之魔剣が現れて尻尾で柄を握りしめて最強武装が完成した。

「完全武装、炎帝九尾銃+絢爛九尾+九魔之魔剣!!」

計十種類の武器を装備した千歳のギアーズ・オーバー・ドライブに同じく多種多様の銃器を操るクライシスは興味を抱いたのか、千歳を指差した。

「オマエ、オモシロイジンギヲツカウナ。オレトショウブシロ」

「機の使徒・クライシス。私もあなたと一戦交わりたいけど、今回はそうはいかないわ。だって、これは天音の霊煌紋を取り戻す為の戦い。だから……」

千歳は妖力を全て解放して足元に新たな魔法陣を展開した。

それは銀羅と金羅と天羅の姿が絡み合うように描かれた魔法陣で、その中心にレイジングとストリームを持った千歳の姿も描かれている。

あれはもしかして、千歳が話していた体育祭の時に発現した力の……?

「行くよ、天音、みんな!幻想絶界、記憶の花園!!」

魔法陣の強い輝きと共に空間が大きく歪み、俺達とキメラを呑み込む。

「何!?」

「キメラ!?」

キメラとクライシスが驚いて一瞬反応が遅れてしまい、大きな閃光が辺りを包み込むとそこには……。

「ここは霊煌紋の……?」

「に、よく似た私の幻想絶界だよ」

蓮の花が一面に広がる俺の精神世界と繋がる霊煌紋で見たのとほとんど世界だった。

「ここが千歳ちゃんの幻想絶界か……」

「あれ?あれって千歳ちゃんと天音の?」

「千歳さんの小さい頃の記憶……?」

璃音兄さんと花音姉さんと風音が一緒にキョロキョロと幻想絶界を見渡すと、空に俺と千歳の子供の頃の姿が浮かび上がった。

それは俺の記憶にも刻まれている千歳との数々の思い出だった。

「記憶の花園、か……」

「私の原点は全て天音だからね」

「そうか……」

こう見るとやっぱり千歳は俺一筋なんだなと改めて実感する。

術者の精神をも反映すると言われる幻想絶界に俺の存在が関わっているとなると、嬉しいような恥ずかしいような色々な気持ちが複雑に絡み合っている。

そんな中、幻想絶界に巻き込まれたキメラはとても驚いた表情を浮かべて拍手をする。

「まさか学生の中に幻想絶界を使う人間がいたとは……最近の人間の子供は優れた子が多いようですね」

「それはどうも。気付いていると思うけど、幻想絶界にあなたを連れて来たのはクライシスに邪魔されない為よ」

「……そんなに奪った力を取り戻したいのですか?」

「当たり前だ!霊煌紋は俺達蓮宮の大切なものだからな!」

俺がそう叫ぶとキメラは自分の胸に手を当てて俺から奪った霊煌紋を肌に浮かび上がらせる。

「霊煌紋……確かにあなたから奪ったこの力はとても大切なものらしいですね。何せ私が奪って取り込んだはずなのに、全然その力を使えず、寧ろ複数の力が私の中で暴れていますからね」

「霊煌紋が暴れている……?」

霊煌紋がキメラを主として認めていないと言うことか?

やはり霊煌紋は蓮宮の血を継いだ当主……現状なら俺にしか使えないと言うわけか。

「だったら、一刻も早く取り戻して天音に返さねぇーとな」

「霊煌紋は死んだお父さんの形見でもあるからね」

璃音兄さんと花音姉さんにとってこの霊煌紋は確かに先代の十二代目当主の詩音叔父さんのものだったから確かに形見には違いない。

「詩音叔父さん……私は小さかったから記憶は無いけど、とても優しい人だったことは覚えているよ。お兄ちゃんと叔父さんの大切なものを取り戻そう!」

風音が五歳ぐらいの時に叔父さんは亡くなったからあまり記憶は無いけど、叔父さんは養女の風音も大切にしていた。

そんな詩音叔父さんから受け継いだ霊煌紋……必ず取り戻さなくちゃな。

「みんな……準備はいいか?」

「もちろん!」

「ああ!」

「ええ!」

「うん!」

「よし……行くぞ!!」

それぞれが契約執行したアーティファクト・ギアを構え、キメラと直接対決をする。

「来なさい、あなた方の力を奪って見せます!」

近距離は俺と璃音兄さんと風音、中距離は千歳、遠距離は花音姉さんでキメラと戦うが……この五人でもそう簡単に勝てる相手では無いのは承知している。

しかし、霊煌紋を取り戻す為にも今は戦うしかなかった。



side???


キメラの体内にある霊煌紋の中にある蓮宮歴代当主の十一の魂はこのままでは取り込まれてしまう。

なので……。

「おらおらおらぁっ!!行くぜ行くぜ、行くぜぇえっ!!」

「そいやそいやそいやぁっ!!」

蓮宮歴代当主の中でも屈指の武闘派と言われている四代目と五代目の当主が魂の状態にも関わらずキメラの中で大暴れをしている。

「ここで暴れても意味も無いのに父上とお祖母様は……」

そんな二人を見て呆れているのは五代目の娘の六代目だった。

他の当主達も同じ気持ちだったが、一人だけ神妙な面持ちで上を見上げる者が一人いた。

それは十二代目当主の詩音で、詩音の隣に煙管を持った十一代目当主が座って話しをする。

「どうした?詩音よ」

「お祖母様……いえ、近くに璃音と花音がいるのを感じるので……」

「花音と璃音か……本来なら璃音が十三代目を継ぐのであったな」

「ええ。しかし、私と弓子が亡くなった所為で二人はみんなを守る為に天星導志に入る決意をしてしまいましたが……」

「やはり親として、当主としての気持ちは複雑か?」

「ええ。しかし、あの子達の選んだ道です。それに二人が公開がなく幸せならそれでいいのです」

「そうか……さて、あの二人ほどでは無いがここから出る方法を考えないとな」

十一代目は煙管の吸い口に再び口に咥えて紫煙をふかせる。

詩音は自分の手を見つめ、そのまま胸に手を当てて思いにふける。

「璃音、花音……」

一番大切な息子と娘を想い続けるのだった。

再びこの手で二人に触れて抱きしめたい……親としてその気持ちでいっぱいだった。



side天音


霊煌紋を取り戻す為にキメラに再び戦いを挑んだが、正直言って状況は劣勢に近かった。

先程のビーストモードはなっていないが、連携の取れている俺たちの攻撃をことごとく回避して全く攻撃が決まらず、逆にキメラのスピードがある攻撃で俺達が押されていた。

「くっ……一撃すら与えられないなんて……」

アリス先生から預かった魔法術式を霊力と共にキメラに打ち込めばいいのにそれさえも出来ないのは正直厳しすぎる。

「私達の妖炎弾でも隙を全く見せない……何か方法は無いのかな……?」

『……方法ならあるぞ』

「金羅!?」

千歳の中にいる金羅が策を思いついたらしい。

『これは私の推測による賭け……可能性が零に近い賭けかもしれない』

金羅の念話に近い声が俺達全員に響き渡った。

「金羅!今は藁にもすがりたい状況よ。いいから早く言って!」

千歳が急かすようにそう言うと金羅は思い口を開いた。

『分かった。私が考えた方法、それは……』

全員がキメラと戦いながら金羅の話に耳を傾けた。







『ここにいる四体の瑞獣……“四霊”の力を一つにするのだ』







それは予想外過ぎる方法だった。

「し、四霊を!?」

四霊はこの場にいる四人の聖獣、鳳凰の白蓮、霊亀の轟牙、麒麟の流星、応龍の鈴音の事だ。

確か金羅は鳳凰は平安、霊亀は吉凶、麒麟は信義、応龍は変化を象徴していて、この四人の聖獣を四霊を集めた者は強大な力を持つ王となる事が出来る……と言っていたな。

四人の聖獣の力を一つに……つまり、アーティファクト・ギアの『四重契約執行』をしろと言うことか!?

「四霊の四重契約執行か……天音、お前がやれ!」

「璃音兄さん!?」

璃音兄さんはとんでもない無茶ぶりを俺に押し付けて来た。

「ま、待ってくれ!二重契約執行でも大変なのに……」

そんな四重契約執行なんて前代未聞な契約なんて出来るわけがない。

不安な俺の気持ちに四霊の契約者である三人は……。

「お前は今まで色々な苦難を乗り越えてきた。お前なら出来るはずだ!」

「そうね……天音の運命を超える力なら出来るわ!」

「やって、お兄ちゃん!」

璃音兄さんと花音姉さんと風音は俺を信じてそう言ってくれた。

「天音なら出来るよ!」

『ぼくもちちうえをしんじるよ!』

そして、千歳と白蓮も俺を信じてくれて全員が視線を向ける。

そうだ、この戦いは霊煌紋を取り戻す為の戦い……その為なら俺は何でもすると決めたじゃないか。

「分かった……やってやる!!白蓮、轟牙、流星、鈴音、力を貸してくれ!!!」

『うん!もちろん!!』

「轟牙!天音の元に行ってくれ!」

「流星、あなたも!」

「鈴音!お兄ちゃんに力を貸してあげて!」

璃音兄さん達はアーティファクト・ギアの契約を解除して聖獣達を俺の元に寄越してくれた。

『『『ワウッ!』』』

「黒蓮?」

すると冥覇獣王剣は俺の手元から離れて単身でキメラの元へ飛んだ。

どうやら俺が契約する間に単身で動いてみんなと一緒に戦ってくれるみたいだ。

「黒蓮……よし、白蓮!」

『分かった!』

白蓮は鳳凰剣零式の契約を解除し、俺の周りに四霊が一同に集まった。

四霊は己の持つ力で契約の陣を地面に引き、俺は契約媒体である蓮煌を上に掲げて構える。

「行くぞ、白蓮!轟牙!流星!鈴音

!」

『うん!!』

『ゴォオッ!!』

『バウッ!!』

『ああ!!』

四霊は俺を信じて頷いてくれた。

俺はその信頼に応えるために必ずこの契約を絶対に成功させて見せる!

「鳳凰白蓮!霊亀轟牙!麒麟流星!応龍鈴音!」

四霊それぞれの名を呼ぶと、四霊の体が光の粒子となり、契約媒体の蓮煌の中に入る。

混ざり合う四色の光の粒子が蓮煌と一つになっていき、その形を変えて行く。

「四重契約執行!!!」

そして、契約執行の宣言と共に眩い閃光がこの世界を包み込んだ。

「な、何だ!?」

突然の閃光にキメラは何が起きたか分からず驚いていたが、すぐにその答えが判明する。

閃光がゆっくり止むと、俺の周りには四霊の姿はなく、代わりに右手には新たな力が生まれた。

鳳凰、霊亀、麒麟、応龍の四霊の力を一つにした巨大だが鳳凰剣零式にも劣らない美しい大剣、その新たな力……アーティファクト・ギアに俺はすぐに名前をつけた。

「アーティファクト・ギア……“四霊天帝剣”!!!」




新たなアーティファクト・ギア、四霊天帝剣はどうでしたか?


次回はまたまたとんでも展開になりますのでお楽しみに(笑)

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