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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第9章 文化祭編
135/172

第116話 天繚祭ミスコン開幕!

ミスコンスタートです!


始まったのは良いですが、予想以上に長くなりそうな予感……。


バトルパートはまだありません……。



side天音


「「どうしてこうなった……?」」

俺と千歳は頭痛を抑えながら同時にそう言った。

「さあ、今年で10回になりました、天聖学園関東校、ミス・コンテント!!会場の皆さん、楽しみですか!?」

『『『オオーッ!!』』』

『『『イェーイ!!』』』

ステージの上では司会者で放送部部長の神楽坂先輩が会場のテンションを上げながら司会を進行していく。

「では簡単にルールを説明します。ミスコンは天聖学園に所属している女学生が対象ですが、本日天繚祭に来て頂いた来園者など、飛び入り参加は結果報告までいつでもオッケーです!」

つまり、最後まで何が起こるか分からない。今日来た来園者も飛び入り参加出来るからある意味波乱のミスコンってことか……。

「千歳……逃げるか?」

「逃げるにしても、これじゃあね……」

周囲にはアーティファクト・ギアを構えて俺と千歳を逃がさないようにしている。

白蓮と黒蓮は洋菓子、銀羅は和菓子でもてなされている。

本当にうちの子達はお菓子好きだなぁ……。

「天音きゅん、逃げようとは思わないでね!」

「「またお前かよ」」

俺達の前に現れたのは俺の熱狂的なファンとも言える夢野亜衣だった。

もういい加減にしてくれと思ったが、何かもう文句とか言うのも疲れてしまった。

「もう。夢野亜衣、天音を変な事に巻き込ませないでよ」

「変な事じゃない!天音きゅんをミスコンに参加させるのは私達ファンクラブのみんなの夢なんだから!」

「天音きゅん言うな。俺は女じゃないのにミスコンっておかしくないか?」

「それは問題ないよ!ミスコンルールに可愛い男の娘もミスコンに参加出来ると言う特別ルールを今年から追加したから!」

「マジすか……」

「恐るべし、お義母様から受け継がれた天音の魅力……」

十年の歴史があるミスコンだが、俺が入学して来た事で新たな特別ルールが追加されたのか。

千歳の言う通り、母さんから継いだこの顔は恐るべしだな……。

「もちろんタダでとは言いません!天音きゅん、こちらをどうぞ!」

そう言うと夢野さんは綺麗な白い封筒を渡してきた。

「何だこれ?」

「これって……えっ?旅行券?」

白い封筒の中に入っていたのは合計十万円分の旅行券だった。

旅行券とはいえ、どうしてこんな大金が入っているのかと言うと。

「私達ファンクラブのメンバーで集めたお金です。そのまま十万円を渡すのは少しマズイので、旅行券にして贈ります!」

「旅行券か……でも、流石に受け取れーー」

「受け取ってミスコンに出ないと後でファンクラブのみんなが暴動を起こします」

「「ぼ、暴動!?」」

暴動って、たかがミスコンの為にそこまでするのか、俺の非公式ファンクラブよ!?

天繚祭が終わったら次は俺が一番楽しみにしている十二月の戦神極祭が待っている。

その戦神極祭の前に天聖学園で大きな暴動が起きるのは色々と問題だ。

下手をしたら出場するこの学園の代表選手に迷惑をかけてしまう恐れがある。

ここは腹を括るしかなかった。

俺が僅かな時間を我慢するだけで暴動が起きず、無事に戦神極祭が行われるのなら……!

「分かった……ミスコンに出るよ」

「本当ですか!?」

「良いの?天音」

「ああ。それからこの旅行券はありがたく受け取るよ」

いつ使うか分からない旅行券を顕現陣をしまうと、夢野さんは俺と千歳の背中を押す。

「はい!では、更衣室へどうぞ!中に衣装があるので好きなのをきてください!」

夢野さんが押して行く先には簡易的に作られた更衣室があった。

「どうせ着替えるものは全部女物だろ……」

「天音、ここはもうやるしかないよ」

「ああ……」

俺は己を押し殺し、女装する覚悟を決めて更衣室へ入るのだった。



side璃音


天繚祭三日目に二日目の昨日と同じく花音や風音ちゃん達と一緒に来た。

特に今日は天音や千歳ちゃんが今人気の歌手であるHIBIKIとライブをするから天聖学園にやって来た。

「それで、天音は何処に行ったんだ?」

「千歳ちゃんのメールだとこのミスコンに出るらしいけど……」

「よし、このミスコンを壊すか」

俺は蓮牙を顕現陣から呼び出してミスコン会場を壊しに向かう。

天音を悲しませるものは排除させてもらう!

「やめなさい、馬鹿璃音。霊操術、霊縛鎖」

隣にいた花音は霊力で作った鎖を俺に巻きつけて縛った。

「ぐおっ!?な、何をするんだ!?」

「ブラコン璃音が暴れないためよ。大人しくしなさい」

「ちくしょう!離せ!花音!!」

「ははは、相変わらず二人共仲が良いニャー」

『仲が良い、のかニャー?』

『良いんじゃない?ところで六花と風音は何処に行ったの?』

そう言えばさっきまで一緒にいた六花さんと風音ちゃんがいつの間にかいなくなっていた。

少し気になる二人なら大丈夫だと思い、コンテスト会場に目を向けると早速ミスコン出場者が出てくる。

「ミスコンの審査はここにいるお客様の歓声によって決まります!さあ、これよりミスコン出場者の登場です。エントリーナンバー1番!最初からもうクライマックスです!我らが天聖学園生徒の代表。神槍、雨月雫さんです!」

おお、最初は生徒会長の雫ちゃんか。

会場に出てきた雫ちゃんの服装は……。

「天聖学園生徒会長の雨月雫です。ご主人様、お嬢様。天繚祭を楽しんでおりますか?」

って、あれはメイド服!?!

一般的な黒と白の二色の生地でなく、雫ちゃんのイメージカラーの水色を主体にしたメイド服だった。

雫ちゃんは雨月家のご令嬢でむしろご奉仕される側なのにな。

でも、雫ちゃんのメイド姿はかなり似合っているな。

『『『キャー!雨月会長可愛い〜!!』』』

『『『雨月会長素敵です!』』』

会場の生徒達が雫ちゃんのメイド姿に興奮して盛り上がっている。

やっぱり有能で可愛い生徒会長だから生徒達に慕われているんだな。

「迅!来てください!」

「ちっ……仕方ないな……」

雫ちゃんが呼ぶと舞台裏に待機していたと思われる迅が出てきた。

迅は制服ではなく執事服を着ていた。

メイドの雫ちゃんと執事の迅。

こうして並ぶとかなり花があるな。

「おおおおおっ!!良いぞ!とっても似合っているぞ、二人共ぉっ!!」

パシャパシャ!!

会場の前で一眼レフカメラを構えて雫ちゃんと迅の二人を撮っているのは世界最高の神医・紅さんだった。

「お、お母様……」

「紅様……」

日本を離れて医者の仕事をしているためか、紅さんは二人を溺愛している。

まあ俺と花音も天音や風音ちゃんに対しては同じだが。

すると紅さんは警備員の制止を振り切って会場に無理やり乱入すると二人にあることをリクエストした。

「雫!迅!二人で一緒に私にメイドと執事の“あの言葉”を言ってくれ!」

「あの言葉……?」

「ああ……あれですか。雫、あの言葉は……」

「……あ、はい。あれですか。分かりましたわ、お母様」

迅は雫ちゃんに『あの言葉』の意味を耳元で小さな声で説明し、理解した二人は紅さんの前に並び、綺麗な姿勢で一礼した。

そして……。

「「おかえりなさいませ、お嬢様!」」

メイドと執事が主をお出迎えする時の言葉を同時に言った。

「ぐべらぁっ!!!」

次の瞬間、紅さんは口から大量の血を吐いた。

「お母様!?」

「紅様!?」

「最高だ……まさか愛する雫と迅からご主人様と呼ばれる日が来るなんてな……」

どうやらメイド雫ちゃんと執事迅の魅力は紅さんにとって破壊力抜群の一撃らしい。

それにしても、紅さん、吐血しながらいい笑顔をしているな。

「ああ……川の向こうに蒼太の姿が……」

いかん、紅さんよ……その川は絶対に渡ったらあかん。

「だだ、駄目です!お母様!その川を渡ったら駄目です!!」

「くっ!?俺達じゃ無理だ……アスクレピオス!!アスクレピオスはいるか!?」

『何だ、どうした?せっかく美味いタコ焼きを食べていたのに……』

紅さんの大ピンチに出店で買ってきたと思われるタコ焼きを食べていたアスクレピオスがやって来た。

「アスクレピオス!お母様が三途の川を渡りそうなのです!」

『なっ!?このバカは何をやっている……医者が生死をさまような。雫、迅。紅を運ぶぞ!』

「はい!」

「分かった……!」

雫ちゃんと迅はアスクレピオスの指示で紅さんを会場から急いで運び出すのだった。

ギリシャ神話で死者ですら蘇らせるアスクレピオスなら紅さんは大丈夫だろう。

「雫ちゃんのメイド姿、とっても可愛かったね」

「ああ。花音も着てみるか?」

「冗談。私にあんな可愛いのは似合わないわ」

「そうか?」

「そうよ」

花音は自分にメイド服は似合わないと言っているが、俺は似合うと思うけどな。

そう考えていると時音叔父さんがクスクスと笑っていた。

「何だ?叔父さん」

「いや、二人を見ていると何だか夫婦に見えてしまってな」

「はぁ?俺と花音が夫婦???」

何言ってるんだよ叔父さんは……。

「ふーん。良いんじゃない?じゃあせっかくだから今日の私と璃音は夫婦ね♪」

「いや、意味わかんねーぞ」

変に悪ノリした花音は俺の腕に抱きついて来た。

ったく、俺と花音は双子の姉弟で夫婦になれるわけないのにな。

そんなこんなでやっと二人目の参加者の登場だ。

「えーと……少しトラブルがありましたが、まだまだ行きます!続いてはエントリーナンバー2番!天に瞬く双魚と共に星の海を泳ぐ学園唯一無二の人魚姫。1年D組、七海瑠璃華さんです!」

七海瑠璃華って、確か天音の事が好きでこの前の体育祭で千歳ちゃんとガチバトルをしたらしいな。

そう言えば契約者が人魚の混血で契約聖獣が黄道十二宮の双魚宮がという中々ベストな組み合わせだな。

さて、どんな衣装を着るのか……。

「皆さん、こんにちは〜!」

既に人魚の姿になっていて恐らく双魚宮の力で軽く中に浮いていた瑠璃華は……って!?

瑠璃華の体に着ていたのはあの濃い藍色で体にピッタリと張り付くような衣装は、もしかしなくても学校の水泳の授業で女子が着るスクール水着!??

しかもご丁寧に胸の名前を書く場所には『るりか』と平仮名で書いてあった。

『『『オオオオオオオオオオオオオオーーーッ!!!』』』

スタイルが中々良い瑠璃華のスクール水着姿に大興奮の男共の声援が響いた。

お前らな……単純すぎだ。

しかしそれにしても、人魚+スク水ってどんな組み合わせだ!?

ってか、人魚は下半身が魚で足がないから普通のスクール水着じゃ着られないから、瑠璃華のは人魚専用の特別なスクール水着みたいで、あれはどうやら特注品のようだ。

「うーん、スク水か……」

「着ようと思うなよ、花音」

「分かっているわよ。でも、璃音が着てくれって頼んだら着てあげるわよ?」

「俺にそんな変態趣味は無い!」

「あら残念」

花音はニヤニヤと悪い笑みを浮かべている。

昔から花音は俺をこうやって弄るからな……本当にいい性格をしているよ。

瑠璃華も舞台裏に下がり、次は三人目の参加者の登場だ。

「七海さんの登場でますます会場も盛り上がって来ましたね!続いてはエントリーナンバー3番!その美貌、振る舞いは、まさしく乙女を魅了する麗しの王子様。1年C組、小野宮翡翠さん!」

小野宮……?

確か俺たち蓮宮とはまた違う特殊な霊の力を使う一族だったな。

天音曰く俺の盟友で優しい探偵さんって言ってたな。

どうして天音の盟友か分からなかったが、その意味がなんとなくすぐに分かった。

「……皆さん、御機嫌よう」

小野宮は女性用の衣装ではなくタキシードをピシッと決めて着ていて、つまり男装だった。

心なしか笑顔はしているけど目は何かを諦めたように笑っていなかった。

『『『キャー!翡翠ちゃん、かっこいい〜!!』』』

女子達は小野宮の男装にときめいてさっきの男子達みたいに興奮していた。

小野宮はそんな女子達に笑みを浮かべて手を軽く振ったが、やっぱり目は笑っておらず、それは女装をする天音を彷彿させていた。

なるほど、天音の盟友とはそう言うことだったのか。

俺は小野宮に対し、同情の視線を送った。

最後まで本当に笑わなかった小野宮は舞台裏に去り、四人目の登場となるが、ここで俺達の本命が出ることになる。

「さあさあさあさぁ!会場の皆さん、大変お待たせしました!彼の登場を心待ちにしていた方も多いでしょう。今年度ミスコンの最有力優勝候補の登場です!」

今年度の最有力優勝候補……?

ま、まさか!?

「それではお呼びいたしましょう!エントリーナンバー4!今やこの天聖学園で知らぬものはいない期待の超新星!入学して僅か数ヶ月でこの天聖学園に数々の伝説を作り出して来た現代の大和撫子!絶世の神子剣士!!蓮宮天音さんだぁあああああああっ!!!」

やっぱりかぁあああああっ!?

天音よ、やっぱりミスコンに参加してしまうのか!?

くっ!天音よ、俺はどんな姿だろうとお前の兄貴として今のお前を受け止めてやるからな!

さあ、どんと来い!!

鍛え抜かれたこの不屈の精神で動揺せずに天音を見守ってやる!!!







「ど、どうも……蓮宮、天音でございます……」







そこに現れたのは真っ白な純白のドレスを着た天音だった。

柔らかい感じの白い布地に足元から手先まで身を包まれ、顔はベールで軽く隠されていた。

顔はほんのりと化粧が施され、程よい色気を出していた。

そして極めつけには両手には綺麗な花のブーケを持っていた。

間違いない……あれは結婚式に花嫁が着用するウェディングドレスだった。

まさかウェディングドレスで登場するとは思わなかった俺は不屈の精神で動揺しないと決めていたが、今の天音のあまりの美しさに心を奪われてしまうのだった……。




天音、遂にウェディングドレス着用(爆笑)


次回は璃音がどうなるかが見ものです(笑)

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