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アーティファクト・ギア  作者: 天道
第9章 文化祭編
134/172

第115話 天繚祭メインイベント!?

本格的に会社に就職し、仕事が始まりましたが何とか時間を見つけて書いています。


これからもよろしくお願いします!

(>_<)

side雪乃


私は雪村家当主、雪村雪乃……最高の和楽器演奏をする私達は日本の長い歴史の中で様々な舞台で演奏してきた。

だからこそ、私達はどんな舞台でも演奏を失敗するわけにはいかない。

もちろん、今日の天聖学園の記念演奏会でもだ。

私達はいつものように美しい和楽器演奏をするだけ……だけど、今回は少し状況が違う。

それは、私を裏切った娘の六花と癪に障る孫の天音がいること。

六花は次期雪村家当主として相応しい和楽器演奏の腕を持ちながら、私の期待を裏切り、蓮宮に嫁いだ。

そして、天音は……あの子には素晴らしい才能があった。

六花譲りの雪村独特の演奏技術をすぐに習得し、和楽器演奏特有の雅な音を奏でられた。

私は天音を六花に代わる雪村の次期当主にしようと考えていた。

蓮宮には既に当主の子供がいたと聞いていたので、問題はないだろうと思った。

そんなある日天音は幼馴染の少女に演奏したいと言ってきた。

天音の話を聞く限り、その幼馴染の少女は天音にとって一番大切な人らしく、最高の演奏を聴かせてあげたかった。

しかし、私は誰かの為に演奏をすることは愚かだと天音に言った。

私は過去の出来事から人間はとても愚かな存在……愛し合ってもいつかは裏切られる、そう考えていた。

そして、天音に誰かの為に演奏することの愚かさを教えた。

それに対し、今まで私に反抗して来なかった天音は私を睨みつけてこう言った。

『愛する誰かのために演奏をするのが愚かじゃない!愚かだと考えるお祖母様に……本当の和楽器演奏なんて出来るわけない!!』

真正面からそう言われ、私は頭に血が登り、思わず天音の頬を思いっきり叩いてしまった。

そして、天音とはそのまま喧嘩別れとなってしまい、現在に至る……。

私はどうも悪態を言ってしまう悪い癖がある。

六花と天音と仲直りをしようと考えていても、口は災いと言わんばかりに悪態をついてしまい、二人を傷付けて怒らせてしまう。

この癖を直さない限り、私は前に進むことは出来ないだろう。

出来れば、残り少ない人生の間に六花と天音と仲直りができればいいなと願いつつ私は天聖学園に向かった。



side明日奈


天繚祭もついに三日目の最終日。

祭りの楽しさは刹那の如く早いなと感じながら私はA組の教室に向かう。

「明日奈、どうした?」

昨日から一緒にいることになったイチこと、いっちゃんは私の隣で一緒に歩いている。

「ううん、なんでも無いよ。早く行こうか。みんなが待っているよ」

「う、うん!」

私はいっちゃんと手を繋いで1年A組の教室に向かった。

いっちゃんは何年も人の温もりに触れておらず、いっちゃんは私を姉か母のように慕っている。

私もいっちゃんは可愛いし、大好きだから妹か娘のように可愛がっている。

同じ家族のいないもの同士で互いを慕い合っていた。

「さあ、いっちゃん。ご挨拶を」

早速私はいっちゃんをA組のクラスメイトのみんなに

「イ、イチだ。よろしく頼む……」

恥ずかしがり屋なのか、数十人のクラスメイト達からの視線に耐えられなくなったいっちゃんは私にしがみついた。

ああ、もう、本当にいっちゃんは可愛いな。

今すぐぎゅうって抱き締めて頬ずりしたくなるよ。

「ふっ……それが本当のお前か?斬罪者よ……」

「だ、黙れ!うるさいぞ、サクラ!」

笑を堪えているサクラ君に対し、いっちゃんは小さく怒った。

全くこの二人は相変わらずなんだから。

「こらこら、二人とも。仲良くしなくちゃダメだよ?」

「ちっ、分かったよ」

「はーい」

私が二人の喧嘩をすぐに終わらせると、何故かクラスメイト達の視線が集まった。

どうして集まったのか分からなかったが、それを千歳ちゃんが代表して言ってきた。

「明日奈、いつの間に結婚してその子を養女にしたの?」

はい……?

何故、そう、なったの……?

「……は?結婚?私と誰が?」

「サクラと」

千歳ちゃんは私の隣にいるサクラ君を指差す……って、サクラ君!?

「いやいやいや!千歳ちゃん、私はまだ結婚してないよ!?」

「だって、明日奈はそのイチちゃんのお母さんみたいだし、サクラは明日奈の旦那さんみたいだし……」

いやいやいや!ちょっと待ってよ!千歳ちゃん!?

確かに今の私はいっちゃんの保護者みたいなものだし、サクラ君とは仲がいいけど千歳ちゃんと天音君みたいに恋人同士じゃないし……。

「サクラ、ちゃんと責任取れよ?」

「いきなり妻と子持ちとは色々大変だなぁ」

「だが、拙者達はサクラ殿を応援するでござる!」

「お前らは一体何を言っているんだ!?」

「「「お幸せに〜(でござる)!!」」」

天音君、恭弥君、刹那君の三人だけでなくクラスメイトの男子達がサクラを祝福していた。

しかし、それがサクラ君にとってはおちょくられたように聞こえたのか、額に青筋を浮かべていた。

「てめえらぁっ!!全員まとめて冥界に送ったろうか!?ああん!!?」

「ヤバイ、サクラがキレた!?A組全員退散!!」

不良のようにキレたサクラに天音君達は一斉に退散した。

「待ちやがれお前ら!!断罪者としてお前らに裁きを下してやる!!」

「うぉおおおおおっ!?みんな散れ!固まらずに散って逃げるんだ!!」

天音君がリーダー格となり、みんなに指示を出していた。

このクラスでは委員長の私以外でリーダー格と言えば天音君だからたまにこうしてみんなに指示を出している。

「サクラ、罪人以外の者に手を出したらダメだ!」

いっちゃんは刀を取り出して暴走するサクラを止めに向かった。

暴走したサクラ君はいっちゃんに任せるとして……。

「それで、明日奈。サクラとはどうなのよ?」

「私達だけにも教えて……?」

「お願いしますよ、明日奈さん」

千歳ちゃん、雷花ちゃん、麗奈ちゃんの三人は他人の恋を知りたがる乙女の目で私を見つめてきた。

やっぱり女の子は他人の恋を知るのが好きなのよね。

私の、サクラ君に対する気持ちか。

サクラ君は冥界の断罪者として偶に冷たい部分があるけど、人としての優しさとかの温もりがちゃんとあるし……。

「私はともかく、サクラ君の気持ち次第かな?サクラ君、断罪者と言う理由で断りそうだし……」

「あー、なるほど。確かに断りそう……」

「サクラさん、罪の意識から明日奈さんを避けそうです……」

「それなら、外堀を埋めたらどうでしょうか?」

「外堀?」

ガードが固そうなサクラ君に対し、麗奈ちゃんの提案をとりあえず聞くことにした。

「サクラさんには育ての親である冥界の王・ハデスさんとその妻、冥界の女王・ペルセポネさんがいます。特にペルセポネさんはサクラさんを自分の息子同然に愛しています。ですから、ペルセポネさんにまず気に入られることから始めたらどうですか?」

「冥界の女王、ペルセポネさんか……」

ギリシャ神話で冥界の王・ハデスに気に入れられて無理矢理冥界に連れさらわれ、そのままハデスの妻になった女神……ちょっと会ってみたいかも。

「明日奈、試しにペルセポネさんに手紙を出したら?」

「ペルセポネさんに手紙?手紙か……」

手紙の送り先冥界に届けるならソロモン72柱の誰かに頼めばいいから、後は書いて送るだけか。

「分かった。ちょっと書いて出してみるよ」

「そうだ!手紙のついでにサクラの写真を送ったら?ペルセポネさん、絶対に喜ぶよ!」

「うん、それいいね!」

私はすぐにレターセットを用意してペルセポネさん宛に手紙を書いた。

そして、手紙にサクラ君が天聖学園に来てから撮影した写真を添付して封をし、それをソロモン72柱の悪魔の一体に持たせ、速達で冥界に送らせた。



sideペルセポネ


冥界にある私とハデスが住む冥界城で私は何時ものように暇を持て余していた。

一応冥界の女王としての仕事をしているが、それ以外は基本暇で特にやることは無い。

なので、音楽を奏でたり、書物を読んだりして暇を潰しているが、流石に何千年も同じことを繰り返したら飽きてしまう。

「はぁ……暇ね……」

自室の窓を開き、いつもと同じ黒や紫の暗い色が広がる風景を眺めながらため息をつく。

「サクラ、元気かな……?」

子供を作れない私にとって息子同然の子であるサクラ(と言うか冥界で新たな命を育めないだけで私やハデス自体には問題ないけど)。

サクラは今、冥界の断罪者をやりながら親友のアリスのいる天聖学園に通っている。

ちゃんと学生としてやれているのか、友人をちゃんと作っているのかとても気になるが、サクラは手紙をなかなか寄越してくれない。

元気だと思うが、やはり母親心としては心配になってくる。

今度ハデスやアリスに頼んで冥界と現世を交信できる道具を作ってもらおうかな?

そんな事を考えていると、冥界の空の向こうから何かが近づいて来る。

「鴉……?」

目を凝らしてよく見るとそれは冥界の空の色に紛れて飛んでいる一匹の鴉だった。

その鴉は真っ直ぐに私の自室の窓に降り立った。

「あなた、何者?あなたは冥界の眷属ではありませんね?」

私はこの冥界に住む住人では無いとすぐに判断し、その未知なる鴉に警戒し、ハデスから頂いた冥界の闇の力を纏って戦闘態勢に入った。

すると、その鴉は小さな女の子の人型の姿となって私にお辞儀をしてきた。

『お初にお目にかかれます。冥界の女王、ペルセポネ様。私、ソロモン72柱の序列24番、ナベリウスと申します』

「ソロモン72柱!?あの有名なソロモン王の悪魔が私に何用ですか?」

『我が主からあなた様にお手紙を預かっております』

ナベリウスは私に手紙を差し出してきた。

手紙には特に力を感じないけど……少し怪しい。

「……私はあなたの主とは面識がありませんが?」

『私の主はあなたの御子息様であるサクラ・ヴァレンティア様のご友人でございます』

「えっ!?サクラの友人!?」

サクラの友人と聞いて私は疑いの心を一瞬で捨て去り、ナベリウスから手紙を受け取った。

「『始めまして、私はサクラ君のクラスメイトで友人の霧夜明日奈です』……明日奈って事は、あなたの主は女の子?」

『その通りです』

「ほう……『この手紙が無事に届くか分かりませんが、もし届いたらペルセポネさんとハデスさんにお伝えしたい事があります。今度天聖学園で天繚祭と言う学園祭があります。そこでサクラ君と私達でライブを行います。もしお時間があったら是非来てください』……ライブ!?」

あのサクラがライブをするなんて信じられなかったけど、手紙に同封されている写真を見て私は目を疑った。

それはサクラがドラムを叩いている姿と、サクラが可愛らしい女の子に腕を組まされている写真だった。

この女の子がソロモン72柱の主、霧夜明日奈……なかなかいい子じゃないの。

これはサクラのお母さんとして一目見に行かなくちゃね。

「ありがとう、ナベリウス。あなたの主によろしく言っておいてください。私もすぐにでも現世に行きますから」

『はい。では、失礼します』

ナベリウスは再び鴉の姿になって窓から飛び去って行った。

私はサクラと明日奈さんに会う為にすぐに行動を開始した。

クローゼットからお気に入りの黒いドレスを選んでそれを着てハデスの元に向かう。

ちょうど今は書類を片付けているはずだから書斎室にいるはず。

私は書斎室の扉を開けると、案の定そこには面倒臭そうに書類を見ているハデスがいた。

「ハデス!現世に行くから冥界を出る許可を頂戴!」

「あぁん?ペルセポネ、いきなりどうしたんだよぉ?」

「サクラが現世でライブをやるのよ!それに、サクラのお嫁さん候補の明日奈さんに会いたいのよ!」

「……色々ツッコミどころがあるがぁ、それは無理だなぁ……俺様も忙しいし……」

冥界の王であるハデスが忙しいのは百も承知。

こうなったら……申し訳ないけど、少しハデスを脅すしかないわ。

「ハデス!今すぐ私の現世に行く手配をしなかったら離婚よ離婚!!」

「な、何ぃいいいいっ!!?」

ハデスは私の離婚宣言に驚愕し、手に持っていた書類をばら撒いてしまった。

よし、ここで一気に畳み掛ける!

「もしサクラのライブに間に合わなかったら数百年はあなたと口を聞かないし、夫婦の営みも何もしないから!あ、ちなみにまた浮気をしたら骨の髄までシメるからそのつもりで」

ハデスは過去に浮気をしたから二度としないように脅しとかないと。

「ぬぉおおおおおっ!?マジかぁあああああっ!?」

「それが嫌だったら今すぐ行動に移しなさい!!」

「分かった!待ってろ!すぐに準備するからよ!」

ハデスは私が冥界から現世に出られるように急いで手配をしてもらう。

ふふふ、楽しみね。

サクラのライブ、そして……サクラのお嫁さん候補の霧夜明日奈さん!



side天音


「ふわぁ〜……」

喫茶の休憩時間に俺は校舎の大きな欠伸をして寝転がった。

俺が寝転がると、千歳は俺の頭を持ち上げて自分の膝に乗せて膝枕をしてくれた。

「天音、眠いの?」

「うーん。ちょっと天繚祭で色々疲れたからな。明日はもう爆睡決定かな?」

「明日はちょうどお休みだからお昼くらいまで寝ようか」

「そうだな」

『ピィー』

『がうー』

『『『私も寝たいぞ〜』』』

白蓮と黒蓮は銀羅の尻尾を毛布代わりにしており、その銀羅は千歳に寄りかかっている。

みんなやっぱり始めての天繚祭の疲れが出ているんだな。

明日はゆっくり寝て疲れを癒そうかな……。

「ふぅ……しばらくこのままのんびりとしているか」

「そうねぇ」

『キュルピー』

『そうだな』

『『『わうっ』』』

天繚祭の色々な声やBGMが混ざり合う中、俺達は屋上でゆっくり休んでいて午後のライブなどの英気を養うのだった。







しかし、俺はどうやら天繚祭でも呪われているらしい。







「蓮宮天音!天堂千歳!発見!!」

「えっ?」

目を覚まし、千歳の膝枕から起き上がると俺たちしかいなかった屋上にいつの間にか数十人の男女がいた。

「確保ぉっ!!!」

「「ええっ!?」」

数十人の男女が一斉に襲いかかってきた。

殺気とか感じなかったので俺と千歳の反応が完全に遅れてしまい、白蓮達も一緒にそのまま何処かに連れて行かれてしまった……。

そして、謎の男女に連れて行かれて数分後。

「ここ、何処?」

「さぁ……?」

何処かの舞台裏みたいな場所に連れて行かれ、俺と千歳は周囲を警戒しながら一体何が起きたのか冷静に確かめる。

そして、一体何が起きるのか判明する。







『レディース&ジェントルマン!!皆さーん、お待たせしました!!これより、第10回天聖学園関東校、ミス・コンテントを開催します!!!』







「「……はあっ!!?ミ、ミ、ミスコン!!?」」

『ピピィー?』

『ミスコン?』

『『『ばうわぅ?』』』

何故天聖学園のミスコンのコンテスト会場にいるのか分からず、混乱してしまう俺と千歳だった。

そもそも、俺は女じゃなくて男なんだけどな……。

「はぁ……」

せっかくの休憩時間を潰され、大きなため息を吐いた。




次回は天音と千歳のミスコンです(笑)


女の子キャラ総出演かも!?

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